キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第156回:映画『非常宣言』感想と考察

今回は現在公開中の映画『非常宣言』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。いや、今回は結構核心にも触れているのでご覧になる予定の方はお引き取りを。

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イントロダクション

バイオテロが発生した航空機内を描く韓国産パニック映画。「非常宣言」とは 航空機が災害や事故等に直面し正常な運航が不可能な状態の際に出されるもので、他の航空機よりも優先的に着陸が許可される航空用語だそうです。

ある事がきっかけで飛行機恐怖症となったパク(イ・ビョンホン)は娘とともにハワイ行きの航空機に搭乗する。しかし離陸後まもなく謎の死を遂げる乗客が現れ、機内はパニックに。一方、国内ではネット上にアップされた航空機を標的にウイルステロを行うとした犯行予告動画の捜査をベテラン刑事(ソン・ガンホ)が行っていた。

主演は韓国内のみならずグローバルに活躍をするソン・ガンホイ・ビョンホンソン・ガンホは去年『ベイビー・ブローカー』でカンヌ国際映画祭の主演男優賞を獲得してました。何だか結構ビックタイトルのハリウッド作品への出演も決まった的なニュースを最近見た気がするんだけど気のせいか。そしてイ・ビョンホンといえば、随分昔にTBSだかのゴールデン帯に『IRIS/アイリス』って韓流ドラマやってましたよね?あれのイメージがめちゃくちゃ強いんですよね。謎に秋田が出てくるスパイアクションのドラマ、好きで観てたなぁ。ってかなぜあの時ゴールデンの時間帯に韓国のドラマがやってたんでしょう。TV局が製作に関わってたのかな?

犯人の動機は…

まず本作は航空機内という閉塞された環境下で繰り広げられるスリルとドラマが見もの。『新感染/ファイナル・エクスプレス』(2016年公開)でもそうでしたけど、この手のジャンル、韓国映画は得意なのでしょうかね。またウイルステロという事もあり、今なお続くパンデミックによる分断も要素として盛り込まれていました。

しかし、それ以上にとうとう「拡大自殺」を明確に扱う作品が登場するようになったのかと個人的には思いました。ウイルスを機内でばら撒いた主犯の男に動機を問うシーン。身代金か勤めていた企業への腹いせかそれとも国家への挑戦か。しかし男は機内の全員が死ねばそれで良いとの趣旨だけをします。そして作中内には2017年にラスベガスで発生した銃乱射事件や2015年のパリ同時多発テロが実際に起きた事として扱われておりニュース映像が挿し込まれます。

日本でも度々起きている明確な目的はなくただ暴力に駆られ自滅と共に凶行に及ぶこの事象。原因には無論加害者本人の倒錯した思想や価値観等の責任もあるのでしょうが、孤立や絶望を生み出しやすい現代の社会環境にも非があると思います。夢や楽しみ、支えてくれる人が存在しなければ人は狂気に取り憑かれるばかり。世の中には不器用にしか生きれない人だって居るのですから(私もそうです)、そんな人たちを見捨てない社会であって欲しいと切に願います。っと少し脱線しましたが、拡大自殺は国際的な問題であることを感じました。

まとめ

以上が私の見解です。

本作には韓国(ソウル)からアメリカ(ハワイ)というルートなので、当然日本も通過地点として登場するわけですが、ほんと頼むよアメリカ&日本って気持ちになります。まぁこのコロナ禍に入るタイミングで似たような事がありましたね。ダイヤモンドプリンセス号とか飛行機で帰国した感染者をどう隔離するのかといった話が。だからまぁ当然の処置といった内容の描写なんですが、有事の際に保身よりも共有/協力の姿勢を取る事が平和な国際社会を培っていくんじゃないかと平凡な一市民は思うわけですが…ムズいのかなぁ。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※ちなみに

本作において機内にお医者は1人という設定でしたが、それを観ていて思い出したことがありました。

少し前に私が新幹線に乗っていた時のこと。斜め前方の席で急病人が出たんですよ。で、車内に医師や看護師、医療従事者が居るかどうかのアナウンスが流れました。まぁ1~2人ぐらいは来るのかなと様子を伺っているとびっくらこいた。老若男女問わずなんと10人近くの方が駆けつけ通路はごった返しに。実際に手当てにあたったのは2〜3人で急病者の方もそこまで重篤ではなかった様でしたが、ちょっと感動しました。“あっこんなに乗ってるものなんだ”って。だから飛行機の場合でもきっと3〜4人は乗ってるんでしょうし0人のケースは確率として低いんだと思いました。なんか頼もしいですね。