キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第34回:20世紀FOXを偲んで『コマンドー』やら『X-MEN』を語る

つい先日、私にとって悲報が2つほどございました。

まずは、こちら。

natalie.mu

そしてもう一つがこちら。

www.cinematoday.jp

コマンドー』の再上映がもうないことと『デッドプール』の続編がなさそうなこと。何ら関係のない話題に見えますが、ある共通点があります。それはどちらも配給会社が20世紀フォックスであったこと。つまり、2足歩行のネズミさんがお買い上げしたことが影響しているのではないかと感じてしまうのです。

コマンドー』の場合は「国内上映権」が終了とのことですし、『デッドプール』の場合は3作目の企画自体進んでいたどうかよく分かりません。しかし何かしら力が働いているのではないかというのは考え過ぎでしょうか?少なくとも、映画館から「20世紀フォックス」のロゴを廃止したのは事実です。今生の別れとなったのは今年公開の『フォードvsフェラーリ』でしたね。

勿論、ネズミさんの手がける作品は好きですよ。マーベルシネマティックユニバースを成功に導きましたし、賛否はあれど映画館にスターウォーズを蘇らせました。ピクサーはコンスタントに良作を生み出しています。しかし、それとこれとは別の話。この件に関しては未だに納得していない往生際の悪い人間です。ということで、事実上消滅してしまった20世紀フォックスを偲び、これまでに生み出された素晴らしき作品たちをつらつら語ってみましょう。

 

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 もう、このロゴは映画館で見られないんだよな…(泣)

 

ザ・アクション映画の宝庫

まずはコマンドー』(1985年公開)

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ある山奥に娘と暮らす元軍人メイトリスク(アーノルド・シュワルツェネッガー)のもとに、武装集団が現れ娘を誘拐してしまいます。武装集団を率いるとある国の大統領に返り咲きたいおっさんは、娘と引き換えにクーデターに協力するように脅迫してきます。しかしそんな簡単にいくわけありません。脅迫したのが運の尽き。悪事に手を染めることへの拒否というより、娘に手を出したなバカヤロウ!精神で、武装集団をボコボコにしていくのです。このシンプルにスカッとするストーリーと独特な日本語センスの吹き替えが好評で、映画好き以外にもネット界隈の方々からも愛されている作品です。

今作ポイントは、とにかくメイトリクスのぶっ壊れパワーを堪能することです。まず初登場シーンが、クソデカい木材を担ぎながら颯爽と歩く姿ですから腰が抜けます。電話ボックスを持ち上げたり、車の座席シートは引っぺがしたり、横転した車は素手で押し戻すなど常人を遥かに超えたパワーを披露。トータルキル数は100人近くいっているはずです。流石、元上官から「第3次世界大戦」といわれるだけあります。

そんなぶっ飛びキャラを現役バリバリだった頃のシュワが、はち切れんばかりの筋肉とボディビル特有の絶妙な顔立ちを武器に好演しています。

アクションはこういうので良いんだよ、うん。

 

そして、私がアクション映画の名作中の名作だと思っているのがダイ・ハード』(1988年公開)です。

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日本企業が構えるハイテク高層ビルを武装集団が占拠。ビル内には社員、そして間違ってクリスマスパーティーに呼ばれてしまったNYの刑事ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が居合わせいました。武装集団と1人の警官の仁義なき戦いが要塞と化したビルを舞台に開幕したのです。

最新鋭のセキュリティと鍛え抜かれた犯人たちを前に足踏みする地元警察とFBI。そんなことをよそに、ジョンはタンクトップに裸足という超軽装でビル内を駆けずり回り、手持ちのハンドガン(ベレッタM92F)を駆使して孤軍奮闘します。完全無欠のスーパーヒーローかと思いきや時には弱音を吐き、一人で小言をぼやく姿が人間味のある最高なキャラクターに仕上げています。

また武装集団のボスを演じるのは『ハリポタ』シリーズのスネイプ先生でお馴染みアラン・リックマン。あの冷酷無比な雰囲気は悪役界でも屈指の魅力を放っています。

さらに外野と化した地元警察・FBIの中で唯一ジョンのことを信じて、無線でやり取りするパウエル巡査(レジナルド・ヴェルジョンソン)も良いキャラしてます。彼がおりなす「最後の銃声」は何度見ても目頭が熱くなります。

因みにですが今作はクリスマスイブを舞台にしているので、れっきとしたクリスマス映画だと認識しています。『ホーム・アローン』(これも20世紀フォックスだよ)や『ラブ・アクチュアリー』も良いですが「野郎」としての意地があるなら、今作を聖夜に見てハッスルすることをおススメします。イピカイエ~。

 

その他、シュワと宇宙人がジャングルで殴り合う無差別級マッチを描いたプレデター』(1987年公開)

キアヌ・リーブスサンドラ・ブロックの相性抜群なノンストップアクション『スピード』(1994年公開)

最近だとオスカー受賞歴のあるイケオジ俳優コリン・ファースがアクションやっちゃった痛快スパイアクションキングスマン』(2015年公開)

などがあります。『キングスマン』に関しては今年の9月に三作目が公開予定でしたが、北米公開が来年に回ったようなので日本公開も遅れると予想されます。公開延期は、これで2回目。一体いつ公開するんだか。そして内容に至ってはネズミさんの傘下となったことで変化があるのか。何とも気がかりなことが多い作品です。

 

X-MEN映像化の功績

ネズミさんの会社がアメコミヒーローで一大叙事詩を築く前から20世紀フォックスはアメコミヒーローの作品を作り続けていました。それがX-MENのシリーズです。X-MENとは、遺伝子の突然変異によって様々な特殊能力を持った「ミュータント」と呼ばれる集団のこと。マインドコントロールが出来るおじさんや天気を操れる女性、全身を氷で覆える青年など、多種多様なキャラが登場。個人的にはマグニートーという金属を操る能力を持ったキャラが好きですね。まぁ敵なんですけど、若かりし頃を演じたマイケル・ファスベンダーのカッコ良さも印象に残りましたし。

そんな個性的なキャラクターを楽しむ以外にもシリーズで一貫しているテーマがマイノリティの問題です。いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる能力保持者であるミュータントたちは、普通の人々から敬遠されたり、病気扱いされるといった描写が多々見受けられます。この要素はシリーズを重ねるごとに薄まった印象ですが、1作目は2000年公開なので当時としては、なかなか画期的だったのではないでしょうか。

また先ほどのアクション路線でいえば、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンは必見。マッチョボディを活かした野性味あふれるアクションで、敵をなぎ倒していきます。しかも、ジョン・マクレーンと同じくタンクトップが基本スタイル。映画史に残るタンクトップファイターを2人も生み出したこと。そして、ヒュー・ジャックマンという単なる「マッチョ」ではない「歌えるマッチョ」なる逸材を掘り出した功績に関与している20世紀フォックスは良いセンスしてました。

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↑シリーズの中で個人的に好きなのはX-MEN フューチャー&パスト』(2014年公開)ですかね。とにかく敵のセンチネルが強かった。

 

フォックスサーチライトピクチャーズの存在

 ここまで肉密度高めでお送りしてきました。これだけ聞くと20世紀フォックスは筋肉アクションだけかよと思いますが、あしからず。20世紀フォックスとは姉妹会社にあたるフォックス・サーチライト・ピクチャーズが多くの中・小規模の良作を世に送り出しました。

例えば『リトルミスサンシャイン』(2006年公開)『シェイプオブウォーター』(2017年公開)、『ギフテッド』(2017年公開)、『グランドブダベストホテル』(2014年公開)。今年公開作品ですとジョジョ・ラビット』などキリがないぐらい連発しています。そんな中で個人的に結構気に入ったのが『スラムドック$ミリオネア』(2008年公開)です。

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日本では、みのもんたで馴染み深い「クイズミリオネア」。そのインド版に出場した主人公の青年(デイブ・パテル)がクイズを通して人生を振り返っていくというあらすじ。米国アカデミー賞作品賞も受賞した作品です。

ことごとく出題される問題と主人公の人生がリンクしており、なかなか突拍子のないストーリー設定ですが、不思議と見入ってしまうんですよね。インドのスラム街で生また主人公が、兄貴と共に必死で生きようとするパワーがインドの街を疾走していく様は爽快感があります。この作品のこともあって、主人公がインチキをしたんじゃないかと疑う警官として登場するイルファーン・カーン逝去のニュースはショックでした。

このように多くの作品を生み出したフォックス・サーチライト・ピクチャーズですが、こちらも同時にネズミさんの傘下となりました。恐らく20世紀フォックス自体が手掛ける作品が少なくなるので、サーチライトが手掛ける作品も少なくなることでしょう。私が納得いっていない理由は、案外ここなのかもしれません。畜生! 

www.youtube.com

↑こんな動画がありました。これ見た方が魅力はすんなり分かりますね。

 

まとめ

 あー、ダメだ。余計に悲しくなってきた。

一時代の終焉を感じさせる事件だった買収騒ぎ。こうやってモジモジしていても埒が明かないので、前に進むしかないです。今後「20世紀スタジオ」及び「サーチライト・ピクチャーズ」として変わらない遺伝子が継承されることを願っています。頑張れ。

ということで、この辺でお開きです。ありがとうございました。