キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第40回:クリストファー・ノーラン作品が好きならドゥニ・ヴィルヌーヴ作品も好きなんじゃないか説を提唱

いやー、盛り上がってますね『テネット』。公開から1ヶ月経ちましたが、なかなか盛況なようです。

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上の記事によると、国内での売り上げが好調なことを記念して特典を配布することになったようです。今までのノーラン作品でこんな特典配布するとかやってましたっけ?そもそも、洋画でこうしたキャンペーンを行うこと自体大変珍しいと思います。残念ながら最大の映画市場であるアメリカではコケてるみたいですが(状況が状況だからね)、しばらく息の長い作品になりそうです。

そんなクリストファー・ノーラン監督の作品がお好きな方は多いと思います。そして恐らくその方は、こちらの監督さんの作品も好きだったりするんじゃないでしょうか。その方はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。プリズナーズ』(2013年公開)ブレードランナー2049』(2017年公開)を手掛けたカナダ出身の監督。今年公開するはずだった監督作デューン砂の惑星が来年にまで公開延期となってしまったことで最近ニュースになってました。このドゥニ・ヴィルヌーヴですけど、個人的に好きだってことはあるんですが、ノーランと似ている点が結構あることに気付きました。

今回はそんなクリストファー・ノーランドゥニ・ヴィルヌーヴ両監督の弱冠こじ付け気味な共通点を挙げていこうと思います。

 

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左がドゥニ・ヴィルヌーブ、右がクリストファー・ノーラン

 

 

 

年齢が同じぐらい

まずは年齢。クリストファー・ノーランは1970年7月30日生まれの50歳。ドゥニ・ヴィルヌーヴは1967年10月3日生まれの53歳。

年の差は3歳です。3年でも違えばジェネレーションギャップが少々発生しそうですが、50代の前半なので子供の頃に好きになった映画なんかも似たりよったりになる気がします。

 

サスペンス/ミステリーで頭角を現しSFへ

どちらの監督もキャリアの積み方が似ているのも特徴です。ノーランはインセプション』(2010年公開)インターステラー』(2014年公開)。ドゥニは『メッセージ』(2016年公開)や『ブレードランナー2049』(2017年公開)といったSF作品がここ最近目立ちます。根っからのSF監督かと思いきや、キャリアのスタートはミステリー/サスペンス映画からなんですね。

まず、クリストファー・ノーランが初めて手掛けたのは『フォロイング』(1998年公開)という白黒作品。小説家志望の主人公は、小説のネタ集めとして人を尾行することを日課に行っている。そんなある日、尾行対象だった一人の男に気付かれ、ある仕事を手伝うように言われる。しかし、これが結構ヤバい仕事だったというストーリー。

週末に映画仲間と一緒に製作するという低予算な体制ながら、時間を巧みに使ったトリックは見事。白黒の映像もなかなか味があって良いです。その後は10分しか記憶の持たない主人公が妻殺しの犯人を追う『メメント』(2000年公開)や白夜の街で17歳の少女を殺した犯人を追うインソムニア』(2002年公開)と立て続けにサスペンス映画を手掛けていきます。

そしてドゥニ・ヴィルヌーヴの長編デビューは2000年公開『渦』という作品。ある夜に車で人をはねてしまった主人公。轢き逃げにも関われず、なぜかその事件は発覚していないことに、徐々に不安になってく姿を描いているようです。こちら作品はまだ観た事ないんですよ。そもそも日本で見る手段あるのかな。アカデミー外国映画賞にノミネートされた作品ですし、何らかの方法があると思うんだけど。

またその後に手掛けた静かなる叫び』(2009年公開)『灼熱の魂』(2011年公開)もヒューマンミステリーでした。

まぁミステリーやサスペンスで作家性を確立させてから大作ものへとシフトチェンジという道筋は、他の監督さんにも多いタイプな気がしているのでそこまで珍しいことではないのかもしれませんが。

 

ファン層の地盤が固いコンテンツに挑む

この挑戦的姿勢も共通項だと思います。

ノーランは、なんと言ってもダークナイト」シリーズと呼ばれるバットマン3部作。あの「バットマン」という人気コミックヒーローです。映像化も幾度となくされてきたキャラクターで既にファンの多い作品を、今まで映画だと比較的ポップな感じで描かれてきた作風から一転してリアリティーのあるダークな作品に様変わりさせていまいました。“原作に忠実じゃない”という批判もあるようですが、この世界観を構築したことで後のアメコミヒーロー映画の多様性、もっと言えば「大人が楽しむアメコミ映画」を確立させたことに間違いないと思います。

そしてドゥニは『ブレードランナー』(1982年公開)というカルト映画の代表格といっても過言ではないSF映画の続編を手掛けたことでした。私自身も続編の話が出た時は、正直驚きましたよ。原作である『アンドロイドは電気羊の夢は見るか』に続編は存在しないので、100%オリジナルで物語が作られることになるので大丈夫なのかと。しかし、いざ蓋を開けてみたら素晴らし作品でした。勿論“これは続編なんかじゃない”と否定的な意見を持つ人たちも多く賛否両論のようですが、SF作品として視覚的にも物語としても充分な出来栄えだったと私は思います。

このように、あえて賛否両論となるのが当然の企画を引き受けてしまうのですから、映画監督としてのガッツに脱帽してしまいます。

 

映像の質感

映像に関しては個人的嗜好が強くなっちゃいますが、両監督の作品の映像の特徴はシックで神秘的。また色彩に統一感があり画面がうるさくありません。さらに、だだっ広い映像の中央に対象物がポツンとあるような映像もありがちな印象です。こうした映像は、映画館で見るから一層美しく見えると思います。だからこそ両監督の作品を映画館で見ないのは、正直勿体無いと思うのです。

 

携帯電話禁止

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上の記事のタイトルにもありますが、ノーランの撮影現場は携帯電話の持ち込みが禁止みたいです。ノーランさんはプライベートでも携帯電話を持たないという徹底ぶり。メールアドレスすら持ってないようなので、SNSエゴサーチなんてへったくれも無いですね。今時持ってないと相当不便しそうな気がしますが、なんでしょう。そういった俗っぽいものから解脱している雰囲気を感じます。変人か天才か、微妙なとこですw

そして記事内ではヒュー・ジャックマン曰く、ドゥニが手掛けたプリズナーズ』(2013年公開)の撮影現場でも携帯電話は禁止だったようです。さすがにドゥニさんは携帯電話持ってるようですよ。スマホの中に『シンレッドライン』という映画をダウンロードしているんだとか。とにかく両監督共に撮影現場では役に集中して欲しいという意図があるのかもしれません。

 

まとめ

いかかでしょうか。我ながら書いていると“共通点多いなぁー”と思ってしまっている次第です。他にもありそうな気がしますが、とりあえず来年の公開の『デューン砂の惑星』を心待ちに、3度目の『テネット』を観に行くか悩むことにします。限定カードはもう厳しいかなぁー。

それでは、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考:

・『灼熱の魂』公式パンプレット 2011年12月17日発行

・『FLIX SPECIAL 大特集「ブレードランナー2049」このカルトSF映画を観よ!』

 2017年11月1日発行 ビジネス社

・『映画秘宝 10月号』 2020年8月21日発行 双葉社