キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第121回:映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

元外科医の至高の魔術師 ドクター・ストレンジを活躍を描いたMCU(マーベルシネマティックユニバース)の第28作目。単独作品としては2016年公開『ドクター・ストレンジ』からの2作目にあたります。

スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』(2021年公開)の一件で開かれたマルチユニバース(多元宇宙)の世界。その歪んだ時空を元に戻そうとしていたドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の前に、時空を行き来することが可能なアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)が現れる。彼女の能力を狙う闇の力から守るべく魔術に精通するアベンジャーズの一員 ワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)に助けを求めるが…。

監督はサム・ライミ。いや~監督決定のニュース観た時はテンション上がりましたよ。だってあの『スパイダーマン』シリーズを生み出し、今のアメコミ映画ブームの一端を担う礎を創ったと言っても過言ではない御大ですから。

主演はベネディクト・カンバーバッチ。最近だと『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021年公開)の熱演がホットな話題でしょうが、地味に『戦火の馬』(2011年公開)や『1917/命の伝令』(2019年公開)だったりの軍服姿が印象深い気がする。

そして今回大きな鍵を握るのが「エイジ・オブ・ウルトロン」以降ワンダを演じてきたエリザベス・オルセン。リメイク版の『オールド・ボーイ』(2013年公開)ではサノスを演じたジョシュ・ブローリンと共演してましたね。まぁ『オールド・ボーイ』は2003年のオリジナル版が圧倒的に強烈。観るならオリジナル版から(今映画館で再上映してるし)が良い気がするけど、カロリー控えめが良ければリメイク版かな。

さらにはこの続編に出るのか出ないのか噂されていた覚えのあるレイチェル・マクアダムスが結構ガッツリ出演していたのが個人的なお得ポイント。『サウスポー』(2015年公開)がかなり好き。

 

作家性強し

先に率直な感想を書くと前作の『ドクター・ストレンジ』があまり好きではなかった人間なのでかなり挽回したと思いましたし、ここ最近のMCU作品(ドラマも含めた『エンドゲーム』以降)では、最も面白かったと感じました。なんせとにかく作家性が濃厚。こんな超大作シリーズでジャンル映画要素をたっぷり盛り込む辺り、ディズニーやマーベルスタジオの上層部にとっては博打だったろうと。

まず序盤のタコさんみたいなモンスターとの戦闘シーンで心掴まれます。建物の外壁を使った重力無用の壁面ファイトはまんま『スパイダーマン2』(2004年公開)じゃないですか!ちょっとした懐かしさ。

それにこれ言っちゃうと核心に触れてしまいそうですが、今回のワンダことスカーレット・ウィッチはほぼホラーです。洋画ホラーであるあるな関節ボキボキとかマジっすかw。その他随所に散りばめられたホラー演出には『死霊のはらわた』(1981年公開)や『スペル』(2009年公開)っぽさが感じられました。

そして何と言っても中盤のスカーレット・ウィッチvs某チームとのファイトシーン。MCUにしては珍しい容赦なき血まみれちょいグロアクションで魅せるまさかの展開。スカーレット・ウィッチ、チートですね。昔やってたゲームのプレイヤー対戦で一度も倒せなかったことを思い出しました。

このような作家性が強めに出ているアメコミ映画は決して珍しいものではありません。『LOGAN/ローガン』(2017年公開)や去年公開の『ザ・スーサイド・スクワッド』がありましたし『マイティー・ソー/バトルロイヤル』(2017年公開)も比較的その路線でした。ただここ最近の様式化/画一化した雰囲気になりつつあったMCUのシリーズにやっと振り切った作品が生み出された思います。「作品」そのものの多様性ってのが大事なんだよね、きっと。

 

まとめ

以上が私の見解です。

しかしまぁ本作の賛否は割れるでしょう。映画好きは絶賛しそうな案件ですが、MCUに特化した映画好きにはちょっと合わない味付けな気がします。サプライズの仕掛け方や終盤の展開に納得いかないファンが居そうです。って言うか『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』との関わりはそこまでなわりにDisney+のオリジナルドラマ『ワンダヴィジョン』との関係性がめちゃめちゃ深かった。これに面食う人も多いかもしれません。一応観ておいて良かったわ。

ちなみに今作一番のサプライズ演出はブルース・キャンベルの出演だろうとヤマ張って観に行ったんですけど、やっぱり居ました。ですよね~。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

※追伸

本作には寝ている時に見る夢は別次元の自分という設定が登場するんですけど、なかなか興味深いと思いました。

以前『インセプション』について語った時は、夢は心のバロメーターじゃん?みたいな事を書いた気がしますが、時々それには当てはまりそうにない奇妙な夢を見る時がありますよね。

つい最近見て強烈に残っているのだと、女優のアナ・デ・アルマスをおんぶした状態で暴力団から走って逃げるという夢。助け出したって感じでもなく、とにかく必死なので羨ましいようで羨ましくない状況(ってか字面にするとオモロ)。こんな逃げたり殺されそうになってる自分が本当に別次元の自分だとしたら、ていたらくに映画の感想を書く平凡な暮らしに有難みが感じられる解釈だと思いました。

↓『インセプション』についてはこちら。

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