キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第105回:映画『ハウス・オブ・グッチ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ハウス・オブ・グッチ』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

ファッションブランドに関して全くと言っていいほど無頓着なユニクロ野郎の私ですら知っているGUCCI(グッチ)の創業者一族の栄枯盛衰を描いたドラマ。

始まりはイタリアのミラノ。父親が経営する運送会社で経理を手伝う主人公のパトリツィア(レディー・ガガ)は、友人に招待されたパーティでGUCCI(グッチ)創業者の孫 マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)と知り合う。“これは玉の輿じゃ!”と積極的にアピールするパトリツィアに次第に惹かれていくマウリツィオ。親の反対を押しのけ結婚するも、一族の確執の渦中へと飲み込まれていく。

監督はリドリー・スコット。去年公開の『最後の決闘裁判』と合わせてコロナ禍で2本の映画を撮る活躍っぷりです。『ブレードランナー』(1982年公開)や『悪の法則』(2013年公開)などキレのある作品が目立ちますけど、面白さでいうなら『マッチスティック・メン』(2003年公開)を推していきたいのよ。

キャストは主役のレディー・ガガ(2018年公開『アリー/スター誕生』)を筆頭にアダム・ドライバー(2021年公開『最後の決闘裁判』)、ジャレッド・レト(2013年公開『ダラス・バイヤーズクラブ』)、アル・パチーノ(1983年公開『スカーフェイス』)など豪勢なメンバーが集結。ってかレディー・ガガって歌は歌えるし演技は出来るしの超マルチ。東日本大震災の際に早い段階からチャリティー活動をしてくれた時は演技が出来る人だとは思ってなかったな。


男性社会による崩壊

本作、テーマの路線としては『最後の決闘裁判』と同じ男性社会的な考えがもたらす悲劇だと感じました。まぁ『最後の~』の方は顕著に描かれていましたが、今作においては主張控えめにといったところでしょうか。

飽くなき名声とお金欲しさに争う血縁者同士の男性たち(ついでに顧問弁護士も参戦)。話し合って分かり合うという行動に及ぶことなく、争えば争うほど企業としての体力は衰えるばかり。そんな中に一人きりの女性ポジションであるのが主人公のパトリツィアさんです。既にこの構図そのものが男性社会を象徴しているかのようです。

しかし籠の鳥に収まらないのが野心家パトリツィアさん。序盤では玉の輿に飽き足らないのか旦那さんを焚き付けたりと悪女っぽく振舞っていましたが、ブランドの看板を守る為であったり旦那さんの為であったりするので「グッチ」の名に誇りを持って行動していた側面も感じました。(最後のセリフからもそう感じられますね)

それでも壁はぶ厚かった。結局他所者扱いをされて蚊帳の外状態。居場所を失った挙句に取ったある方法が、そんな男性社会的なグッチ体制にトドメを刺すことになります。うーん、なんとも皮肉的。芯の強い女性が登場する点においては『最後の~』のみならず、様々なリドリー・スコット作品での共通項かなとも感じました。

↓『最後の決闘裁判』についてはこちら

captaincinema.hatenablog.com

 

まとめ

以上が私の見解です。

「お家騒動もの」と聞いて複雑でごちゃごちゃしているかと思いきや、構図としては比較的シンプルで観やすかったです。随所に散りばめられたポップな曲もより観やすくさせていたかと思います。
それと当たり前ちゃ当たり前ですが俳優陣も良かったです。レディー・ガガアダム・ドライバーの馴れ初めシーンは役の年齢とのギャップを感じさせることはありません。またアル・パチーノジャレッド・レトのややオーバーな演技の掛け合い魅力的。確かに二人のスプンオフ作品があったら観たいかも。そして個人的に優勝はジェレミー・アイアンズ。病気で衰弱しているのに何でカッコ良いんだよ!サウイフモノニワタシハナリタイ。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。