今回は現在公開中の映画『ラストナイト・イン・ソーホー』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。
イントロダクション
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年公開)や『ベイビー・ドライバー』(2017年公開)を手掛けたエドガー・ライト監督によるホラー。いや、どちらかと言えばサスペンスかな。
ファッションデザイナー目指しデザイン学校に通うため田舎からロンドンへ“上京”して来た主人公のエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)。寮生活に馴染めずアパートで一人暮らしを始めたある夜、1960年代のソーホーで歌手を目指す女性 サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)の夢を見る。サンディに魅了されるうちに次第に心と体がサンディとシンクロしていき、夢と現実の狭間が曖昧になってゆく。
前述の通り監督は、映画愛のみならず音楽愛やサブカル愛の塊みたいな「オタク」のトップランナー エドガー・ライト監督。つい最近観ました『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』(2010年公開)のあのバカバカしさには声を上げて笑ってしまった。
主役のエロイーズを演じるのはトーマシン・マッケンジー。『ジョジョ・ラビット』(2019年公開)でのアンネ・フランク的な役どころの女の子が最高に魅力的でしたよね。その他シャマラン監督作品『オールド』(2021年公開)やNetfilx作品『パワー・オブ・ザ・ドック』(2021年公開)にも出演しており飛ぶ鳥を落とす勢いです。この方のイントネーションというか喋り方は、ちょっと独特で聞き心地が良いんだよなぁ~。
そして、こちらも勢いの止まらないアニャ・テイラー=ジョイがもう一人と主役と呼べるサンディを演じています。Netfilxのドラマシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』(2020年公開)や『ウィッチ』(2015年公開)での好演は勿論ですが、当ブログでは何度も言ってます「マッドマックス 怒りのデスロード」のスピンオフ作品での若かりしフュリオサ隊長がウルトラ楽しみな女優さんです。
というかこの2人の女優の共演ってだけで、鑑賞前から既にお釣りが発生している映画ファンは世界中にきっと居るはず。キャスティングに感謝!
総合芸術!
「総合芸術」という言葉は様々な分野が混在した芸術を指し、とりわけ映画はその代表例と言えますが、それを顕著に感じることが出来た作品でした。
まず音楽。洋楽には疎い私でも“どっかで聞いたことがあるぞ”な曲がちょくちょくあるラインナップは、きっと洋楽好きの方にはたまらないだろうと思います。しかもその音楽のかかるタイミングも去る事ながら、パトカーのサイレン音を始めとした街の喧騒音の入れ込み具合も上手い。「音」に切れ目がないテンポ感はさすがアクションと音楽を融合させた『ベイビー・ドライバー』の監督だけあります。
さらに様々な映画のオマージュが効いている映像。私自身は『サスペリア』とブライアン・デ・パルマっぽさを感じましたが、他にも沢山あるようですね。まだまだ修行が足りんのぉー。随所に登場する鏡の使い方も洒落てて良かったです。色んな場所に在り過ぎだろとも思いましたが。
そしてストーリーに関しては正直な話“またこの手のテーマか、観てて苦しいんよぉ…”と思いました。しかしホラーやサスペンス要素を含んでいたりダンスシーンが多めな事もあってミュージカルを観ている気分になったり。それに気鋭の女優二人の熱演を楽しめるアイドル映画的側面もあったりと様々なジャンルが織り混ざるジャンルレスな作品なので、決して飽きるという事はありませんでした。しかも今まで「ザ・男の子」なキャラを主役にしがちだったエドガー・ライト監督が「有害な男らしさ」を突き詰めるんだという驚きも込みで楽しめました。
つまりですよ、映画を面白くする要素が全てハイクオリティ。これこそ総合芸術という言葉の似合う作品だと思いましたし、映画の良さを再確認させられた気がしました。
まとめ
以上が私の見解です。
一ついちゃもん付けるなら、銀髪のおじさんをもっと掘り下げるとより面白くなった気がしました。ポジションとして興味深かっただけにあの扱いはちょっと雑じゃないか?
それとネオンのギラギラ感と夢や欲望が混同するカオスな空間という点では東京を舞台にした「ラストナイト・イン・トーキョー」としてリメイク作品いけるっしょ!東京じゃ範囲が広いから、歌舞伎町や六本木が良いかも。誰か作って~。
ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。