キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第65回:映画『ソウルフル・ワールド』感想と考察

今回はDisney+で配信されている『ソウルフル・ワールド』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

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イントロダクション

ディズニー&ピクサーが送るアニメーション作品。

ジャズミュージシャンを夢見る音楽教師が主人公。憧れのジャズクラブでの演奏のチャンスを掴んだ矢先、マンホールに落下。そこらか人間が生まれる前の「ソウル」の世界へ迷い込んでしまう。何とか脱出を試みようと、人間世界を拒む「22番」と呼ばれるソウルと共に冒険を始める。

監督は2015年公開『インサイド・ヘッド』を手掛けたピート・ドクター。あの作品は「感情」がテーマでしたが、人間の内面にあるスピリチュアルは部分を描いている点では本作との共通点のようにも感じます。

主人公の声は『コラテラル』(2004年公開)や『ジャンゴ/繋がれざる者』(2012年公開)ジェイミー・フォックスが務めています。調べてみたところ“ソウルの神様”と呼ばれたレイ・チャールズを演じた映画『Rey/レイ』(2004年公開)でアカデミー賞を獲得してました。つまり今回の役は適役ということですね。

 

人生の「目的」との向き合い方

まず、本作のソウルの世界についての重要なルールについてざっくり説明しましょう。

人間として生まれる前の魂たちには幾つかの性格と「きらめき」と呼ばれる将来の夢というか情熱を持って打ち込める生きる目的を獲得する事が条件となっているのです。それを見つけることが出来ずにいるのが「22番」。見つける為のフォローとして既に亡くなった人のソウルがメンターに付くのですが、どんなに偉大な人物(アインシュタインやらリンカーンやら)が付いてもピンと来ないご様子。結果、自分だけが見つけられないと自己嫌悪気味になり、ついには人間として地球に生まれること自体にも反抗心を抱くようになっているのです。

そもそも現世に生まれる前の状態で「きらめき」を見つけるのはハードルが高いように私は感じてしまいました。生きている過程で見聞きしたものに感動をし、手に入れる可能性の方が大きいと思うので、焦らなくてもいいのではないかと。

また、周りに誇れるような立派な「きらめき」が絶対的に必要かどうかも疑わしく感じてきます。どうでしょう。自分にはある特定の才能があると信じ、夢や目標に突き進んでいる志の高い人物や世の為人の為みたいな大義名分を掲げて生きている人は周りにいるでしょうか。そういった人が世の中にゼロではないのは確かですが、人口比率で言えば案外少ないと私は思っています。寧ろ“やりたいことはないし、どうやって生きようか?”とか“夢や目標を持たないといけないのか?”と悩む人の方は多いと思うのです。

そんな「人生の目的との向き合い方」というディズニー作品であるようでなかった多くの人が共感出来るテーマが描かれています。

 

「日常」に潜む「きらめき」

そんなむしゃくしゃ状態の22番。主人公と共にあれやこれやとソウルの世界や人間界を冒険する過程で「きらめき」を見つけることになります。それは日常のふとした時に訪れる感動だったのです。具体的な事柄を述べるのは避けておきますが(まぁ察しはつくかな)、同時に主人公も目標に夢中になるあまり日常に潜む幸福を忘れていたことに気付かされていきます。

こんなニュアンスのことは、今年公開していた『すばらしき世界』についてを扱った時も語りました。私自身、日常に潜むふとした瞬間を大事に生きたいものです。

 

↓『すばらしき世界』についてはこちら

captaincinema.hatenablog.com

 

まとめ

以上が私の見解です。

22番って自分のことじゃね?と思いながら観る人も多いんじゃないかと感じる作品でした。少なくとも私はそう。勤め先の会社で半期に一度、業務関連の目標設定をしないといけないのですけどね。毎回何も思い付かずに苦しみます。会社に貢献する立派な仕事人間を目指しているわけでもないし、そもそもそんなに好きでやってるわけでもないし…。何歳になってもそういった夢や目標を問われることが多いのが世の常ですが、褒められるような立派な目標なんて無くても良くて、自信を持てる人生であることが大事なんだと思います。まぁこんな事を会社で言ったら炎上するんでしょうけどw。

とにかくクリエイティブで驚くべき傑作。22番を筆頭にしたソウルたちのフォルムも絶妙に可愛い。劇場公開しないのが勿体無さ過ぎる作品でした。次のピクサー作品も配信限定になるみたいだしなぁー。

それではこの辺でお開きです。ありがとうございました。