キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第104回:映画『スパイダーマン2』感想と考察

今回は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の公開を記念して私が一番好きなスパイダーマン映画である2004年公開『スパイダーマン2』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

captaincinema.hatenablog.com

↑『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』についてはこちら。

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イントロダクション

今ではアメコミ映画の歴史的代表作とも言える2002年公開『スパイダーマン』の続編。

大学にアルバイトと普通の学生生活をする傍ら、スパイダーマンとしてのヒーロー活動に勤しむ主人公のピーター・パーカー(トビー・マグワイア)。憧れの教授であるDr.オクタビアス(アルフレッド・モリ―ナ)が4本の金属アームを使った核融合実験に失敗し、金属アームを司っていた人工知能が制御不能に。暴走する人工知能の影響を受けて凶暴な犯罪者と化した教授をどうにか救おうと奔走する事になる。

監督はこの「スパイダーマン」シリーズ他『死霊のはらわた』(1981年公開)や『スペル』(2009年公開)とホラー映画が多めなサム・ライミ。全米に先駆け5月に公開予定の『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』も手掛けており、久々のアメコミ映画への帰還に期待せざるを得ません。

主演はトビー・マグワイア。この方は、私「スパイダーマン」シリーズ以外だとボビー・フィッシャーを演じていた『完全なるチェックメイト』(2014年公開)ぐらいでしか観てない気がします。『華麗なるギャッツビー』(2013年公開)は観てないし。

また親友役で登場するのが最近めっきり見なくなったジェームズ・フランコ。まぁ性的虐待騒動で完全に干された感じですから当然ちゃ当然ですが。2018年公開のNetfilx作品『バスターのバラード』以来見かけてないですね。

 

スーパーヒーローにもスランプがある

アメコミ映画のみならずヒロイズム的作品の続編は、前作以上に強力な敵の出現であったり人間関係におけるターニングポイントを向かえる事で心身ともに追い込まれるというのが定番だと思いますが、今作はそうじゃなかった。主人公の前に立ちはだかった最たる敵のは、まさかのスランプでした。

スパイダーマンの能力の代名詞と言えば、手首の辺りから蜘蛛の糸を出して様々な用途で使用すること。それが何故か出来なくなる事を初めとした能力低下に見舞われるのです。初めて観た当初、いや今観てもなかなか珍しい設定です。原因はよく分からないまま、調子が良かったり悪かったりする中でヒーロー活動する姿をコミカルに見せてくれます。糸出なくなったせでコスチュームを着たままエレベーターでビルを降りるシーンは、きっての名場面だと思っています。

それにこうやってヒーローにすらスランプがあるなら、私たち普通の人間にスランプがあるのは当たり前。スランプのみならず、プライベートとの両立や恋などといった沢山の悩みを抱えている有り様を見ていると“親愛なる隣人”のフレーズが殊更に似合う気がしてきます。

 

NWHと比較する一般人の「民度

もう一点。NWH(ノー・ウェイ・ホーム)と比較すると興味深いのが一般人たちの描き方です。

中盤、ドクター・オクトパスの手によってブレーキの利かなくなった電車を止め力尽きるシーン。スパイダーマンの素顔を見るかたちとなったニューヨーカーの皆さんは、助けてくれた恩と“まだ子供じゃないか!”という同情から、誰もが暗黙の了解として正体を秘密にする事を誓い、気を失った彼をバケツリレーで運んでマスクをかけてあげるというシーンがあります。なんて優しいんでしょう。思えば前作でも、スパイダーマンがピンチの際に敵(グリーン・ゴブリン)に投擲を喰らわす好プレーを働く市民の皆さんが登場しており、本シリーズの一般人ってとにかくスパイダーマンに協力しようとする気持ちが強いのです。人情ってやつですね。

それと比べてですよ。ストーリーの事情が事情だからとはいえNWH(ノー・ウェイ・ホーム)での大衆は情が無さすぎます。素性が分かった途端に、写真や動画を撮りまくる人や家や学校に押しかけるマスコミ、ヤジを飛ばす人といった具合に民度の低さが描かれていました。しかしこれっていかにも現代的というか、ヘイト飛び交う情報過多な社会だからこその正しい視点だと思います。

皮肉な話、サム・ライミの手掛けたシリーズからほんの10年ちょっと経過しただけで、雲泥の差ともいえるほどに市民の捉え方に変化が生まれたわけです。自戒も込めてモラルや民度には気を付けなくてはいけないなと思わされます。

 

まとめ

以上が私の見解です。

回を重ねるごとに野暮ったくなってくる三角関係はあれど(まぁそれはそれで面白いんだけど)、ヒーローとしてのみならず一人の人間としても応援したくなるキャラクターとして活写されている本作のスパイダーマン。ここ最近のマーベル作品はどんどん一見さんや予備知識が少ない人への敷居が高めで、少々配慮に欠けていると思いますが、本作こそ万人におススメ出来るヒーロー映画の傑作だと思います。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。