キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第145回:東京国際映画祭に行ってみた件

今回は日比谷・有楽町を中心に開催されている第35回東京国際映画祭に行ってきましたのでそのレポートでもしようかと思います。今後公開予定の作品だったりしますので、鑑賞した作品の内容にはあまり触れないようにはしますが、ややネタバレには注意です。

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↑有楽町駅前に置かれた作品ラインナップ。映画の祝祭感があって良いですね。

10・15チケット争奪戦

私、映画祭への本格的な参戦は初。毎年気になってはいたんですが、チケット発売当日は悠長に映画を観に行っていて気付くと観たかった作品が売り切れになっているのが恒例でした。ということで今年はしっかり自宅でスタンバイ。

午前10時。一発目のセクションの販売スタート!ってあれっ?サイトにアクセス出来ないぞ…。自宅の回線が弱いのか?いや弱いにしても流石に接続出来ない時間長すぎる、ヤバいぞヤバいぞ…。ってな感じで30分が経過してしまいました。いや~こんな熾烈なんですね。販売開始から約45分後ぐらいにやっとアクセス出来ましたが、狙っていた舞台挨拶付きの上映は既に売り切れ。そりゃないぜ…と泣きながらカップラーメンを啜る昼食となりました。ちなみに狙っていたのは『ひとりぼっちじゃない』。私の好きなアーティストKingGnuのボーカル 井口理初主演映画だったので行きたかったんですけどねぇ。しょうがない、来年公開まで首を長くしておきます。

午後はPCとスマホの2段構えの臨戦態勢。再びアクセス出来ない状況を2~3時間粘り、結果狙っていた3作品の予約に成功しました。いやー疲れたわ。この1日がかりの戦場に毎年挑んでいる方々の忍耐に天晴れです。それと予約サイトにアクセス出来ないから争奪戦に負けたというのも少々腑に落ちてないので、舞台挨拶付き等は全て抽選制とかにして貰えたら良いなと感じました。

1戦目

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さぁそんなこんなで初映画祭の作品となったのが『ノースマン/導かれし復讐者』。『ウィッチ』(2015年公開)や『ライトハウス』(2019年公開)を手掛けたホラー映画界の新星 ロバート・エガース監督の最新作。北欧を舞台にした王の血を継ぐ男の復讐劇。日本では来年1月に公開予定となります。

さて、映画祭ってどんな感じか?そもそも平日の夜に外出なんて超久ぶり。ってな感じの心持ちで馳せ参じましたが、正直普通に映画館で映画を観に行くのとさほど変わらなかったというのが第一印象でした。まぁ会場が丸ノ内ピカデリーでしたし、映画鑑賞することがメインですからね。

ただし内容は大当たり。壮大で神秘的な復讐劇は破格のスケール。荒々しい戦闘シーンも圧巻。ロバート・エガースはアクションも撮れるんだ。破格のスケールは主演のアレクサンダー・スカルスガルドの筋肉も。『ゴジラvsコング』の時より明らかにパンプアップして別人の域に入ってるよ。ノシノシと歩く感じも様になってました。来年また改めて観に行きたいと思える作品でした。

それに上映後に映画ジャーナリストの宇野維正氏によるトークショーがあったのは嬉しい特典。そこであったここ最近のハリウッドを引っ張る旬の女優はアニャ・テイラー・ジョイとフローレンス・ピューとあともう一人誰だったか的な話。私はアナ・デ・アルマスに1票だったんですけどね。なるほど、ジョディ・カマ―か。

↓『ライトハウス』についてはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

2戦目

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2戦目に選んだのはノア・バームパック監督&アダム・ドライバー主演の『ホワイト・ノイズ』。化学物質の流出事故をきっかけに死を恐れる大学教授とその家族の迷走が描かれてます。同じコンビが手がけた2019年公開の『マリッジ・ストーリー』がNetflixの映画作品の中で一番好きな事もありましたが、Netflixの作品を、しかもノア・バームパック作品がよみうりホールなるこんなにデカい会場で観られる機会なんて無いのでは?と思いチョイスしました。バームパック作品ってだいたいミニシアターでしか上映してないイメージだもんな。

内容は哲学的な会話劇が展開されるバームパック流ディザスタームービーといったところ。人間にとって最もディザスターな事は?天災や事故?未知の化学物質?いやいや死ぬことそのものです。漠然とした死への不安を抑えるには誰かと会話するしかない、くだらないことでも良いから。そんな事を感じました。あとエンドクレジットがクソお洒落。ここ最近観た映画の中じゃ一番かも。

会場の方は『ノースマン』の時と比べ、海外からの方が多めな印象でした。英語や中国語がちらほら聞こえてきましたし。ちなみに私の右側横、後ろに座っていた4~5名のグループ。多分私と同じ年ぐらいでしょうか。元々芸術系の大学に通っていたか映画系のサークル仲間とかでしょうけど、映画祭に一緒に行ける友人ってなんか羨ましいですね。俺なんて一人で行くしかないんよ…(泣)

3戦目

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↑ポスターすげぇ

ここまでガラ・セレクションと呼ばれる日本での一般公開を控えた作品のプレミア上映の部門をチョイスしてきましたが、映画祭の本丸と呼ぶべきコンペティション部門に選出された作品を一本も観ていないで映画祭に来たと言えるのか?なんて考えがあったのでスペイン・フランス合作の『ザ・ビースト』を鑑賞してみることにしました。

舞台はスペインの人里離れた寂れた村。フランスから移住をしてきた夫婦は隣に住む村の中心を担う兄弟たちからの嫌がらせに悩まされていた。その嫌がらせは日に日にエスカレートをしていき、遂にはある事件が起きてしまうというサスペンス。いわゆる「村八分」ってやつです。序盤は移民に対するヘイトかと思って観ていましたが、徐々に嫌がらせの理由が明らかに。終始ドライで張り詰めた緊張感のある作品となっていました。

上映後、嫌がらせをしてくる隣人兄弟の怖い兄貴を演じたルイス・サエラ氏によるQ&Aがありました。うおぉ!これぞ映画祭じゃん!その中で原始的、取り残された土地に住む人々の正義や価値観を描くという話がありましたが、きっと日本の農村部にだって精通しますよね。技術や文明の恩恵が充分ではない場所の人々はどう生きるのか?非常に普遍的なテーマだと感じました。また役者は監督のスタンス、アプローチ方法に順応するのが責務という話も印象深かったです。

まとめ

以上、私の3日間の映画祭体験でした。

なるほど、学びましたよ。狙うべきはコンペディジョン部門ですね。来年はコンペティション部門に出典している作品を中心に動いてみたいと思いました。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※追伸

本映画祭のグランプリは何と『ザ・ビースト』だったようですね。しかも監督賞と主演男優賞まで獲得しているという。マジっすか、私がコンペ部門で唯一観た作品ですよ。いゃ〜俺、目利きかもしれんなw。