キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第78回:映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』感想と考察

今回は、現在公開中の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

f:id:captaincinema:20210815221200j:image

 

イントロダクション

DCコミックの映画シリーズDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の最新作。DCEUはマーベルコミックのMCUとは少し異なり、他作品との結び付きはやや薄めで個々の作品が独立した作風となっているのが特徴です(『ジャスティス・リーグ』で色々あったからね)。そのため2016年に公開した『スーサイド・スクワッド』の正式的な続編ではなく、新たにリメイクの方針をとった形に近いのが本作の位置付けでしょう。

身体能力抜群なクレイジー女(ハーレイ・クイン)や娘に手を焼く凄腕スナイパー(ブラッドスポート)、平和の為なら暴力上等 過激マッチョ(ピースメイカー)、食欲旺盛なサメ君(キング・シャーク)といったブッ飛んだ悪党達が減刑を掛けて、独裁国家の陰謀壊滅に挑んでいく。

監督はジェームズ・ガンMCUシリーズでは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを手掛けている監督です。本作は過去のブラックジョーク発言により一時的にマーベルスタジオから解雇されたタイミングでオファーを受けた経緯が。あのニュース聞いた時はどうなることかと思いましたが、こうして新たな作品が生まれるきっかけになったので結果オーライですね。今後、二代ヒーローシリーズの橋渡しの存在となるか期待せずにはいられません。

キャストはマーゴット・ロビーイドリス・エルバを筆頭に、ジェームズ・ガンらしさ満載なメンツが揃っています。ガン監督作品の象徴といってもいいマイケル・ルーカー。傑作自警団映画『スーパー!』に出演していたレイン・ウィルソン。そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス』(2017年公開)で見事MCUに参戦したシルベスター・スタローンが声出演。キャストだけで面白さは保証されたもんですな。

 

リメイクで大正解

まず本作、続編という形ではなく「リメイク」という方針をとったのは大正解だったと思います。新たなキャラと新たな物語によって自由度が増していましたからね。

上映スタートからとにかくテンポが良く、キャラクター紹介をちゃちゃっと済ませ、すぐ様『プライベートライアン』の冒頭を彷彿とさせる上陸作戦で阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されます。ハーレイ・クインの紹介なんて「皆さんご存知の〜」で終了してるしw。あの界隈じゃ超有名人なのね。そんな銃弾と爆破の嵐を他所に別動隊の上陸を成功させているのは、チームの総指揮官アマンダさんの抜かりないところ。ここでオープニングクレジットと共に別動隊のキャラクター紹介シーンへと入っていきます。

ここまでの序盤の流れが非常にスマートでした。複数の時間軸の物語を展開させつつ登場キャラクターの渋滞緩和をしていく。DC作品の一見さんにも比較的優しい作りですし、センス抜群だったように感じました。

また前作とは違って、個々のキャラクターにちゃんと見せ場が用意されているのも魅力です。ミュージカル映画で言えばソロの歌唱シーン、歌舞伎で言えば見得を切る場面でしょうか。見せ場は時としてカッコ良く活躍するシーンではなく、盛大な死に様として用意されています。それも結構容赦なく。この振り切り方が気持ちいいです。

ちなみに私のお気に入りキャラはラットキャッチャー2。ネズミを自在に操る能力を持った女性キャラクター。基本お眠で吞気な顔した人なので“大丈夫かよ”って心配になるのですが、心優しい側面を持ち合わせたガッツあるキャラでした。また彼女のお父さん(タイカ・ワイティティ!)が泣かせるのよ~。今後の活躍に期待大です。


「ゴミ」な奴なんて居ない!

下品なジョークやスプラッター描写ととにかくやりたい放題な映画なのですが、見終わってみると不思議な事にあったかい感動がありました。

どいつもこいつもチンケな犯罪で捕まったしょーもない悪党ばかり。しかし彼らの頑張り、特に終盤の宇宙怪獣スターロ(こいつ、強烈だったな)との決戦を観ていると、誰かの役に立つことは誰もが出来るのだと思わせてくれます。これを私たちの世界に置き換えてみると、立派な経歴や誇れる能力を持ってない単なる凡人だって決してゴミではなく、誰にだってヒーローになれるチャンスがある気がしてきます。あんな悪人たちにだって出来たんですから。きっと必要なのはちょっとの勇気なんです。

そんな優しさ溢れるメッセージに落涙。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の時もそうでしたが、一見負け犬のように見えるキャラ(実際コミックでの知名度が低いキャラが多数を占めているらしいですが)にスポットライトを当てて泣き落としにかかってくる感じ、上手いよなぁ~。

 

まとめ

以上が私の見解です。

大作系のエンタメ映画はこういうのが観たいんですよ。笑って泣ける物語の中には国家や政治のパワーゲームというシリアスなテーマも内包しています。単なるエンタメに枠に収まる事のない快作です。

でも一つ衝撃だったのが、“ブーマー”ことキャプテン・ブーメランの扱い。前作からのメンバーの一人であり、ハーレイ・クイン単独の作品にもチラッと登場しているキャラクターなので、まさかあんな事になるとは…。場内で驚きの声が上がった印象もなかったですし、Twitterを見てもその事に触れるような内容は見当たらないので、あんまり人気ないのかなぁ?

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

f:id:captaincinema:20210815221341j:image

↑新宿に居たんですよ、宇宙怪獣スターロ。分裂したちっこいのが顔に張り付かなくて良かったわ〜。