キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第130回:映画『X エックス』感想と考察

今回は現在公開中の映画『X エックス』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

イット・カムズ・アット・ナイト』(2017年公開)や『ミッドサマー』(2019年公開)のA24が贈るスプラッターホラー。私、未だに『ミッドサマー』が日本でヒットしたのがよう分からんのよ。それなら本作も含めてもっと多くのホラー映画が世間を湧かしていそうなのに。

舞台は1979年のテキサス。自主ポルノ映画で一山当てようと集まった男女6人3組のカップルは撮影の為に借りた田舎の農地を訪れる。6人を迎え入れたのはヨボヨボな老夫婦。撮影を開始するも何かがおかしい…。この老夫婦、実はタダものではない殺人老夫婦であった。

監督はタイ・ウェスト。『サクラメント/死の楽園』(2013年公開)や『V/H/S シンドローム』(2012年公開)とホラー作品を手掛けています。どっちも観てないなぁと思ったら、なんと動物マスク軍団VSサバイバル女子の『サプライズ』(2011年公開)に出演していたみたいです。あれなかなか面白いですよね、ミキサーの使い方とかラストとか。

主演は『ニンフォマニアック』(2014年公開)や『サスペリア』(2018年公開)のミア・ゴス。ただ者ではない圧倒的なオーラを放っていましたが、それに負けじと爪痕を残していたのが録音担当を演じるジェナ・オルテガ。この方の出てる「スクリーム」のリメイク観たいんだよな。

「最近の若者は」の根幹?

昨今の日本では「最近の若者は~」みたいな若者に対するマイナスなニュアンスを耳にしますよね。例えば、目上の人を敬まわない!とかマナーが悪い!などなど。また「若者○○離れ」なんかもありますし。20代の私自身はどちらかと言えばアナログかつ変な思考の人間なので、あまり一緒くたにされるのも腑に落ちませんがとはいえ中高年世代と物の捉え方や価値感に温度差を感じたりするのは否めません。

と急になんの話をしてるんだといった感じで始めちゃいましたが、本作ではその若者に対するマイナスなニュアンスの根源ともいえるテーマが扱われていたと思いました。

勿論「最近の若者は」思想を生み出すのは育った時代、特に思春期がどんな時代だったのかといったものが大きいと思います。しかしもっと根源的な「肉体の老化」も影響しているのではないでしょうか。肉体は老化しているのに諸々の欲求、とりわけ性欲は若い時のままだったら?心と体の如何する事も出来ないそのギャップから肉体が衰えていない若者を僻んだりやっかんだりする。今作に登場する殺人老夫婦の動機はこうしたロジカルが働いているように見えました。誰だっていつかは年を取るわけですから、なかなか生々しい。直接的な暴力描写なんかよりよっぽど怖いテーマだと思いました。

また「老い」関しては、最近の公開作品だけでもM・ナイト・シャマラン監督の『オールド』(2021年公開)やアンソニー・ホプキンス主演の『ファーザー』(2020年公開)も同じようなテーマとなっており、どれも老い=絶望として描いているのがトレンドな気がします。日本のみならず世界的に高齢化が進んでいて、その事に対する不安が渦巻いているとかあるのかなぁ。もっとディズニーの短編映画『あの頃をもう一度』(2021年公開)みたいなのが増えれば良いのに。

まとめ

以上が私の見解です。

本作、とにかく『悪魔のいけにえ』(1974年公開)の要素をめちゃくちゃ強く感じました。オマージュというか下地に物語の構想したでしょレベルで髄所随所が“ソーヤー家”。丁度同じ時期に公開となった『ブラック・フォン』にもタイトル名がセリフで登場してましたし、いかに偉大なるホラー映画かという事が分かります。ということで未見の方(とくに最近の若者は観てないのかぁ?w)今こそ『悪魔のいけにえ』を観ましょう!きっと貴方の「ホラー映画」の概念が変わりますよ。ってか本ブログのバナーの部分が『悪魔のいけにえ』でしたわ。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。