今回はGWに突入し、StayHome週間(外出自粛と何が違うのかよく分かりませんが)を送られている皆さんに個人的に好きなアクション映画をご紹介します。
少し前に2015年公開『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や2010年公開『スーパー!』で有名なジェームズ・ガン監督も「最上級のアクション映画」を挙げてました。
これ見ますと、見たことない作品が結構ありました。私もまだまだですね。しかし「まだ見たことない=これから出会える楽しみな作品」ということですから、これを指針に作品選んでいこうと思ってます。
- アクション映画は「結果」ではなく「過程」
- 『アンタッチャブル』(1987年公開)
- 『キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー』(2014年公開)
- 『アジョシ』(2010年公開)
- 『ミッションインポッシブル/フォールアウト』(2018年公開)
- 『007/ロシアより愛をこめて』(1963年公開)
- 『イースタンプロミス』(2007年公開)
アクション映画は「結果」ではなく「過程」
まずは私のアクション映画論を少々ひけらかします。ずばりタイトルに書いた通りアクション映画に求めるのは「結果」ではなく「過程」です。
「結果」にあたるストーリーの結末は、よっぽどのどんでん返しがない限り9割9分主人公の勝ちです。主人公が敵対する連中に敗北して終わる作品は、今まで出会ったことがありません。主人公が死ぬ結末であっても、何かしらの形で一矢報いますからね。もし、主人公が完膚なきまでにボコボコにされる鬱みたいなアクション映画があったとしても、多分見ないです。スカッとしませんからね。
では、アクション映画は何で面白さを判断するのか。それが「過程」と位置づけたアクションシーンです。いかに格好良くて、印象に残るアクションが描写されていたかが重要だと思っていますし、自然と作品全体の良く見えてくるのです。逆に「アクション映画」と言っておいてアクションがしょぼいとなると一体何を見てるんだって話です。
ということなので、作品全体の総合的な面白さというよりも、その作品に登場したアクションシーンに特化した傾向でご紹介していきます。しかしね。言葉でシーンを説明するというのは限界があります。上手く伝わらないかもしれませんが、その辺はご容赦を。
『アンタッチャブル』(1987年公開)
禁酒法時代のシカゴで繰り広げられる捜査官とマフィアの血で血を洗う抗争を描いた作品。
注目のアクションシーンは、駅の階段でのスロー銃撃戦です。
まず、始まるまでのタメが良いアクセントになってます。駅のだだっ広い階段で待機する捜査官(ケヴィン・コスナー)。ターゲットであるマフィアの経理担当が来ること情報を受けてです。そこにベビーカーを引っ張りながら階段を登ってくる母親が来ます。なかなか登って来れない姿を見兼ねたコスナーさん。いつターゲットが現れるやもしれない中、母親を手伝います。そしてベビーカーを引っ張り終えた直後、案の定ターゲットが出現。ボディーガードたちにバレてしまい銃撃戦スタート。
銃撃戦の最中にぶつかった反動でベビーカーが階段を落下。階段から落ちるベビーカーを追っかけながら銃撃戦を繰り広げます。そして、射撃の腕の立つ捜査官(アンディ・ガルシア)がスライディングで駆け付けるのです。この一連の流れがスローモーションで展開します。通常のスピードであれば、特に面白みのないアクションになり兼ねない立ち回りですが、スローモーションになっているからこそ思わず「アブねぇ!」と叫んでしまうような緊張感があるのです。スピード感ってただ単に早いだけじゃダメなんだと思わされたシーンでした。
ちなみに初めて見た時の私は、トレンチコートにショットガン(イカサM37でしょうか?間違ってたら申し訳ない)。サブウェポンにM1911のハンドガンという出で立ちのケヴィン・コスナーに惚れましたね。男のロマンです。
『キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー』(2014年公開)
MCUシリーズの第9作目。アベンジャーズとして戦ったキャプテンアメリカ(クリス・エヴァンス)は、S.H.I.E.L.D./シールドと呼ばれる平和維持組織の一員として活動していた。しかし、突如としてそのS.H.I.E.L.D.の仲間から襲撃を受ける。さらに正体不明の殺し屋“ウィンターソルジャー”(セバスチャン・スタン)にも追われる中、黒幕を探るサスペンスフルな作品。
注目アクションシーンは、キャップとウィンターソルジャーの初対戦です。
今作よりも前に描かれたキャプテンアメリカのアクションは、お世辞にも格好良いとは言えないワンパターンな スタイルだったと思います。そもそもアイアンマンのような派手なビームはないですし、ソーやハルクのような怪力ではない地味な攻撃方法のキャラクターです。しかし、そんな地味なアクションスタイルに革命を起こしたのが、今作だったのです。倍以上にスピードがアップ。楯の使い方もバラエティー豊富になりました。その進化を最も感じられるのが、ウィンターソルジャーとの対決シーンなのです。
またウィンターソルジャーのナイフアクションも必見。右手で持っていたナイフを宙に浮かし左手でキャッチし斬りつけるという、鮮やかなフェイント攻撃を繰り出しています。
このアクションを見た時は親元がウォールトディズニーであることを疑いましたし、ここから私の「キャップ愛」がスタートしたのです。
『アジョシ』(2010年公開)
質屋を営む主人公(ウォン・ビン)。孤独な生活を送っているが、唯一心を通わせているのが隣に住んでいた女の子だった。しかし、その子が犯罪組織に誘拐される。心通わせていたその女の子を救うべく、過去に培った殺しのスキルを発動させていく作品。ちょっと1994年公開の『レオン』的なネタです。
注目アクションシーンは美し過ぎるナイフさばきです。
今まで私が見てきたナイフファイト至上最高だと思っています。相手はチンピラ4~5人。手にはナイフや金属バットが握られています。それをナイフ1本で制圧していく主人公。この時の動きがとても美しいのです。無駄のない動きで正確に急所を攻撃しつつも、腕をこれでもかと滅多斬りにしたり、胸部を刺しまくったりと暴力的な動きも挟み込んできます。この緩急がたまりません。最後は主人公と同等レベルのスキルを持った男とナイフで一騎打ち。このシーンに入ると、バックミュージックはなくなり、ナイフが空を切る音と二人の息遣いが中心になります。そして決着を付けた主人公のまさかの行動が非常にナイスです。
『ミッションインポッシブル/フォールアウト』(2018年公開)
『ミッションインポッシブル』シリーズの第6作目。何者かが盗んだプルトニウムを使用して、核爆発を行おうとしていることが判明。核爆発を阻止するべく、イーサン・ハント(トム・クルーズ)率いるスパイチームが奮闘する作品。
ヘリスタントやトム・クルーズが骨折したことで有名なビルへの飛び移りアクションなど見所は沢山ありますが、注目アクションシーンはトイレファイトです。
相手はアジア人系の殺し屋。カンフーのような格闘スタイルと抜群の身体能力を武器に襲いかかってきます。トムはスーパーマン(ヘンリー・カヴィルのことです。役どころはCIAの捜査官)と共に応戦。男たちの唸り声と拳が肉を打つ音の中で、力強さとスピードがブレンドされた格闘が展開されます。特に好きな動きとして、先の尖ったパイプを喉元に突きつけられ、防御に徹するトム。それを打開すべくスーパーマンが上着を脱ぎ、腕を振りあげ、Yシャツの袖をブンブン唸らせるながら向かっていくのです。あの袖ブンブン、マネしようとしても格好良くならないんですよね。
『007/ロシアより愛をこめて』(1963年公開)
『007』シリーズ第2作目。MI6の諜報員であるジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)と国際犯罪組織“スペクター”が最新鋭の暗号機を巡って争奪戦を繰り広げるスパイアクションの代表作。
注目アクションシーンは、寝台列車内での格闘です。
暗号機とそれを提供した女性と共に寝台列車に乗り込んだボンド。しかし、列車にはスペクターの殺し屋も乗車していたのです。あいにく寝台列車の狭い一室で格闘戦になります。いつもダンディーな振る舞いで卒なく仕事をこなすボンドさん。ですが格闘の時はスマートさはなく野蛮なんです。掴みかかって壁に叩きつけたり投げ飛ばしたり。何だかこのギャップが印象的でした。
また、このシーンでもバックミュージックがありません。電車の走行する音が大音量で響きわたっているのです。こうしたサウンドも野蛮さが演出されているようで、イカしてます。
そして決着を付けたボンドさん。倒した殺し屋のポケットを探りアイテム回収をした後に一言「もうお前には要らないだろ」。いつものダンディーに戻ってます。いやーこれはギャップ萌えですよ。あっ、そう言えばこうした殺し文句というか倒した後のキメ台詞みたいなものって、最近の作品ではあまり見られないですよね。FPSで死体撃ちはダメって言う理論と同じなんでしょうか?個人的には結構好きなんですけど。
『イースタンプロミス』(2007年公開)
ロンドンで幅を利かせるロシアンマフィアに雇われている主人公の男(ヴィゴ・モーテンセン)を中心に描いた作品。
注目アクションシーンは、サウナで全裸ファイトです。
あることがきっかけで、命を狙われることになった主人公。サウナでリラックス中に(あれはリラックスしてねーか)男2人組の襲撃に遭います。相手の2人組の方はナイフを所持し、服を着ています。しかし、ヴィゴの方は文字通り裸一貫。ヴィゴのヴィゴが…の状態なんです(ちなみにモザイクなしです)。だからって恥ずかしがってたら殺されちゃいますからね。素っ裸で、背中や腹なんかをナイフで切りつけられても必死で応戦する姿には心つかまれました。
また、殴る・蹴る・押さえつけるといったアクションを行う際に、“人間の肉体はこのように動いているのか”ということを生々しく感じることが出来ます。ボクシングやプロレスなどでも感じることは出来ると思いますが、こんなギャング映画でそれが見られるとは思いませんでした。
もう、体を張り過ぎて頂いたヴィゴ様には感謝至極でございます。
ふぅー。あと6~7本紹介しようと思ったのですが、長いですね。一旦切ります。ご興味のある方は、後編をお楽しみに。
それでは、ここら辺でお開きです。ありがとうございました。