キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第171回:映画『AIR/エア』感想と考察

今回は現在公開中の映画『AIR/エア』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

80年代に爆発的な人気を博したスニーカー「エア・ジョーダン」の誕生に携わったナイキの社員たちを描いた企業ドラマ。

時は1984年。ナイキはランニングシューズ部門で好調も、バスケットシューズ部門では市場のほとんどをコンバースアディダスに占められ、撤退寸前に陥っていた。そんなバッシュ部門に勤めるソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は一発逆転を狙い、後にバスケ界の伝説となる新人選手マイケル・ジョーダンに目を付けて大きな賭けに打って出る。

監督はベン・アフレック。ナイキのCEOフィル・ナイト役で出演もしています。『アルゴ』(2012年公開)で米国アカデミー賞作品賞を受賞しましたが、その他監督作として『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(2007年公開)や『ザ・タウン』(2010年公開)ととにかく良作の生み出しまくるハリウッド界二刀流の代表格です。あっ『夜に生きる』(2016年公開)だけ観てなかった。

主演のマット・デイモンは、ここ最近『フォードvsフェラーリ』(2019年公開)や『最後の決闘裁判』(2021年公開)、『スティルウォーター』(2021年公開)に出演し、良い仕事しかしていない個人的に信頼度爆上がり中な俳優です。今年はクリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』にも出るのかな。その他ヴィオラデイビス(2020年公開『マ・レイニーのブラックボトム』)やジェイソン・ベイトマン(2015年公開『ザ・ギフト』)が出演。なかなかの布陣ですな。

Just Do It !

去年公開の『THE FIRST SLAM DUNK』影響か何かとバスケットボールの話題を聞く事が多い昨今。私の勤める会社にバスケ部(部というかサークル?)が新設したらしく、身長が高い事だけを理由にオファーをされたものの球技はからっきしであると丁重にお断りしました。そもそも私にとってバスケは中学の体育でやったなぐらいの程度で、エア・ジョーダンNBAマイケル・ジョーダンは名前を聞いた事があるだけ。何なら個人的にはマイケル・ジョーダンよりマイケル・B・ジョーダンの方が馴染みあるよ…ってな感じの疎い人間ですが、今年のベストにも絡んでくるであろうレベルで楽しめた傑作。なんせ本作、何を隠そう魂の籠った企業ドラマだったからでした。

今じゃ当たり前に出回っているナイキのシューズですが、当時はダサいシューズという認識だったらしいのです。ひと昔前のユニクロみたいなもんですかね。そんな人気のないシューズメーカーの中でもさらに人気のないバッシュ。そのバッシュ部門の一人の社員が、まだ新人で且つアディダス好きのマイケル・ジョーダンと契約するという無謀な博打を提案。“こいつは絶対将来バズる!”という根拠のない情熱は徐々に周りの社員にも飛び火していきます。そう、博打と情熱からエア・ジョーダンは生まれたのです。凄いですね。しかし全てのものづくり必要なのはこういう事なのかもしれません。無論映画においても。

思えば映画も相当博打的な商品です。どんなアイディアが面白いのか、どんな人にウケるのか予測不能な世の中。それでも手堅く、いや安易に金儲けに走った作品や情熱が籠っていない”まぁこういうのが観たいんでしょ?(冷笑)”は伝わります。下手したら予告編の時点で悟られるでしょう。作り手の方々は映画をそれなりに情熱を持って観る人がいる事を甘く見ずに、トンデモ発想と"オモロいもん作ってやる!"の情熱を忘れないで欲しいものです。

って何だか話が脱線しかけましたが、とにかく己の直感を信じてJust Do It!です。きっとマイケル・ジョーダン自身もナイキを選んだのは直感だったはず。「走れば分かる」この精神を大事にしたいものです。

まとめ

以上が私の見解です。

捨て身の覚悟…とまでは言わなくても情熱を掛けて仕事がしたいと思える世の勤め人応援映画にも感じました。新入社員なんかには打って付けかも。

それとプレゼンシーンはアツかった。各々の頑張りが空回りしてグダグダっとなりかけてのマット・デイモンによる即興胸アツスピーチ。コミカルから一気に感動にもっていく流れの上手さは圧巻でしたし、あのシーンでのモンタージュの使い方も絶妙でした。ベン・アフレック監督の手腕は確かですね。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※余談

本記事を書いている際、こんな記事を発見しました。

www.yomiuri.co.jp

マイケル・ジョーダンが現役時代に使用した靴が約3億円、スニーカー史上最高額で落札されたそうです。へぇーやっぱりその界隈では伝説なんですね。こちらはエア・ジョーダン13というモデルのシューズらしいですよ。なんかエア・ジョーダン、欲しくなってきたぞ。