今回は現在公開中の映画『爆弾』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
「このミステリーがすごい!2023年版」で1位を獲得をし、直木賞候補にもなった呉勝浩による同名小説の映画化。ちなみに原作は読了済みで鑑賞しました。読み応えのある会話劇の連続でシンプルにおすすめです。
酒に酔った勢いで自販機を破壊した挙句、酒屋の店員を殴ったとして警察に連行をされた中年男性はススギタゴサク(佐藤二朗)と名乗った。取り調べの最中、彼は霊感が働くとうそぶいて秋葉原で事件が起きると言い出す。相手にしていない警察だったが、実際に秋葉原で爆発事案が発生した事で事態は急変。さらに今後3度の爆発があると発言し警察を煙に巻くスズキを警視庁の清宮(渡部篤郎)と類家(山田裕貴)が取り調べ始める。
主演は佐藤二朗…ではないのか。山田裕貴の方かな?お初にお目に掛かりますというわけではないと思いますが、何に出てましたかね?「東京リベンジャーズ」や「HiGH&LOW」シリーズに出てるっぽいですが観た事ないし。あっ『ゴジラ-1.0』(2023年公開)に出てたかも。で、佐藤二朗に関しては以前『さがす』(2021年公開)を扱った際にも書きましたが、街でご本人らしき人物を見た事があるんだよなぁ。単なる似た人だったのか確証は持てないのですが。
爆発しても良くない?
私、原作を読んだ時点から”これは映像化したら面白いかも”と思っていただけに本作は結構期待していたんです。何故ならちゃんと爆発する作品だから。しかも何度も。というと随分なネタバレだとは思いますが予告の時点で景気良く爆発してますからまぁそこまで問題ではないでしょう。
基本的に犯人の手により仕掛けられた爆弾を探すような作品は爆発せずに大惨事になるのを防ぐのが定石。仮に爆発したとしても被害は最小限に留まり絵的な面白さには欠けたりします。しかし本作は都内の至る所で容赦なく爆発。一般市民は吹き飛び、悲鳴とパニックが蔓延する地獄絵図が観られます。チェーホフの銃じゃないですけど、やっぱり爆弾なんだから爆発してもらわなきゃね。それに爆発はスクリーンに映えます。特に良かったのがオープニング。爆風で吹っ飛ぶメイドさんをバックにタイトルがドーン!良いですね。話の構造上、原作改変がされ爆発しないなんて事も出来ないので面白さは保証されたようなものです。
また、原作で読み応えのあった会話劇もしっかり映像に落とし込まれていました。現代社会の善悪を問うようなタゴサクと刑事たちのやり取りは、結局”気持ちは分かる”に集約されると思います。タゴサクが口にする腹の立つ奴は死ねばいい、不平等がまかり通る腐った世の中なんて壊れてしまえといった気持ち。ぶっちゃけこう思うのは誰にだってあるはずで気持ちは理解できると思います。逆にそう思った事がないなんて言う奴は大噓つきだと思いますよ。しかしそんな邪悪で破滅的な思いを何とか取り繕って言動にあらわさない事で社会は成り立っているのです。本音と建前ってやつです。今の世の中、この建前が無くなり本音ばかりが飛び交うようになってしまったと常々思います。”建前”改めて意識したいものです。
まとめ
以上が私の見解です。
本作が面白かったのはキャスティングが的確な事もあると思いました。決してカリスマ性を感じさせず単に狂気に憑りつかれたおっさんというキャラクター像をしっかり体現した佐藤二朗は勿論ですが、やさぐれつつも職務を遂行しようと藻掻く刑事を演じた染谷将太やそれとは真逆に真っ直ぐ正義を信じる伊藤沙莉もピッタリでした。役者さんに限った話ではないですけど、人は適材適所で輝きますね。
という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。