ついにこの時がやって来ました。2021年の総決算、ベスト映画を決める季節です。そして記念すべき100回目の記事になります。今年私が映画館で鑑賞したのは全79作品。全タイトルがこちらになります。※赤字は邦画。
- 新感染半島/ファイナルステージ
- 聖なる犯罪者
- ヤクザと家族 The Family
- プラットフォーム
- すばらしき世界
- 燃ゆる女の肖像
- 藁にもすがる獣たち
- ガンズ・アキンボ
- カポネ
- ラーヤと龍の王国
- ミナリ
- ラスト・フル・メジャー
- ノマドランド
- まともじゃないのは君も一緒
- JUNK HEAD
- ザ・スイッチ
- 21ブリッジ
- パーム・スプリングス
- 花束みたいな恋をした
- 街の上で
- クリシャ
- ドリーム・ランド
- ファーザー
- アオラレ
- ジェントルメン
- Mr.ノーバディー
- クワイエット・プレイス 破られた沈黙
- Arc/アーク
- ゴジラvsコング
- ブラック・ウィドウ
- ライト・ハウス
- プロミシング・ヤング・ウーマン
- ジャッリカットゥ 牛の怒り
- イン・ザ・ハイツ
- サイコ・ゴアマン
- サマーフィルムにのって
- ザ・スーサイド・スクワッド
- フリーガイ
- ドント・ブリーズ2
- 孤狼の血LEVE2
- オールド
- ドライブ・マイ・カー
- モンタナの目撃者
- シャン・チー/テン・リングスの伝説
- テーラー/人生の仕立て屋
- アナザーラウンド
- レミニセンス
- 空白
- 殺人鬼から逃げる夜
- MINAMATA-ミナマタ
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
- 死霊館/悪魔のせいなら、無罪
- サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜
- DUNE/デューン 砂の惑星
- キャンディマン
- 最後の決闘裁判
- ハロウィン KILLS
- かそけきサンカヨウ
- エターナルズ
- ファイター/北からの挑戦者
- マリグナント 狂暴な悪夢
- モスル あるSWAT部隊の戦い
- ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
- ダーク・アンド・ウィケッド
- ラストナイト・イン・ソーホー
- マトリックス レザレクションズ
- ただ悪より救いたまえ
- 偶然と想像
再上映作品
- ヒッチャー(1986)
- ガメラ2 レギオン襲来
- 地獄の警備員
- マッドマックス
- マッドマックス/怒りのデスロード
- アンタッチャブル
- ガメラ3 イリス覚醒
- タクシードライバー
- ターミネーター
- 犬神家の一族(1976)
- ダイ・ハード(1989)
去年は57作品の鑑賞本数だったのでかなり増えてます。去年は諸々あったとはいえ、やべーな。どんどん悪化してます。
そんな私がこの中から、興奮と衝撃に苛まれた至高の10本を選出し傍若無人にランク付けをしていこうと思います。例によって再上映はランキングからは除外とし、あくまで新作のみを対象にします。いやしかし、こうして再上映作品を並べてみるとなかなか凄まじい火力を誇ってます。どんな作品の再上映を観に行っているかでその人の性格や嗜好が分かってきそうな気がしていますが、そもそもそんなに行く人居ないかぁ~w。
↑今年手に入れたパンフレットたち
第10位
では早速発表です。第10位は...
『ゴジラvsコング』
ゴジラ&キングコングという日米を代表する2大怪獣が地球をリングにガチンコで殴り合うプロレス映画。ゴジラ信者としては落選させるわけにはいかねぇんだよ!
という謎のプライドもあるわけですが、それよりも人間パートを極限までそぎ落とし、怪獣を主役に描いていた事により「そうそう、これが観たかったんだ!」な気持ちで満たしてくれる作品になっていたと思います。何かと怪獣の話題が多かった今年に相応しい一本。怪獣を中心に展開するスタイルがこれからの怪獣映画のスタンダードになることを陰ながら期待しています。
第9位
第9位は...
『ノマドランド』
アメリカ各地を彷徨いながら短期の仕事を点々と行って食つなぐ「ノマド」を描いたロードムービー。今年の米国アカデミー賞を受賞した作品です。
ロードムービー大好き人間としては外せない一本、とは言っても典型的なロードムービーとは事情が少々異なるところが新鮮でした。自主的に路上へ出たのではなく、資本主義社会からはじかれるように半強制的な放浪生活となっているので。しかし登場するノマドの皆さん(実際に生活をされているご本人出演もあり)は決して悲観的ではなく、前を向いて生きている姿が力強く描かれます。こんなの見せられたら自分がちっぽけに感じてきますし、そんな自分もしっかり生きていこうという気持ちが奮い立ちます。ロードムービーって見終わった後、生きる希望を与えてくれる作品が結構多いんだよね。だから好きなのかも。
第8位
第8位は...
『偶然と想像』
「偶然」の出会いから生まれる人々の交流を描いた3本の短編で構成されたヒューマンドラマ。今年最後に観た作品が滑り込みのランクインです。
私、濱口竜介監督作品は今まで『ドライブ・マイ・カー』(2021年公開)と『寝ても覚めても』(2018年公開)しか観ていなかったので、そのイメージからは全く想像していなかったまさかのコメディ。場内に笑い声が響く事で生まれる一体感が心地良かったです。笑い以外にも切なさや驚き、ちょっとムラっとする感覚なども味わえたのでお腹いっぱい。例えるなら1本で様々な栄養が取れる野菜ジュースでしょうかね?w
また内容自体は「ザ・会話劇」で小説を楽しむ感覚に近かったです(これは先ほど挙げた2作品も同じですが)。特に3章目の「もう一度」は舞台が仙台でかつ渋谷やメールといった前2章とのさりげない関連性がちらついたので、私の好きな伊坂幸太郎作品の風味を個人的には感じられて非常に楽しい作品でした。
ただ一個言わせて欲しいのが公開館数の少なさ。都内だと渋谷でしかやっていないとなると、全国的にはほとんど公開している映画館は無いってことですよね。もうちょっと増えたら良いのに。
第7位
第7位は...
『ラストナイト・イン・ソーホー』
上京してきた現代の美大生と歌手を目指す60年代の女性が織りなすタイムリープサスペンス。
映像・音楽・ストーリー・役者と映画を面白くする要素が4点揃いの欲張りな作品。その中でも注目すべきは、やはり音楽だったと思います。劇中に登場する曲からちょっとした環境音に至るまでこだわり抜かれており抜群のテンポ感があったと思います。
それと意外にも走っているシーンが多かったのが個人的にポイント高し。ロンドンの街中や大学の図書館を駆け抜ける主人公。追いかけ/追いかけられるシーンってテンション上がっちゃうんですよね。
第6位
第6位は...
『まともじゃないのは君も一緒』
数学以外の知識が色々欠けている塾講師と理論武装した女子高生のラブコメディ。
本作も『偶然と想像』と同様に会話劇がメイン。あくの強い二人が織りなす絶妙な掛け合いがクセになります。今年は『街の上で』やTVドラマ『大豆田とわ子の3人の夫たち』を観ても思いましたが、日本語の作品って「会話劇」が面白いことが結構大事だなと改めて思わされました。まぁ私がゴリゴリの文系日本人だからかもしれませんが。
また、めちゃくちゃ心にぶっ刺さった理由としては「普通」をテーマにしている点でした。中盤に登場する「普通は大変」というセリフはマジで名言。尺度が人によって変動する「普通」を頑張って突き詰めなくても良いんじゃないかと思わせ、肩の荷を降ろしてくれる作品でした。
ちなみに今年放送していた朝ドラ『おかえりモネ』で清原果耶にハマった人は必見。コメディエンヌとしてのポテンシャルの高さが光ってます。
第5位
第5位は...
『ダーク・アンド・ウィケッド』
人里離れた農場の実家に戻ってきた姉弟を襲う“何か”を描いたホラー映画。
今年は『ハロウィン KILLS』や『マリグナント 狂暴な悪夢』といった面白いホラー映画が沢山ありましたが、本気で怖かったホラー映画はこちらです。
私自身一番怖さを感じるのは「分からない」という気持ちに晒されることです。動機や発端、そもそも襲ってくる“何か”の正体すら不明瞭な状況が描かれます。途中「悪魔」のワードが出てきますが実際にその姿を現すことはなく、主人公の姉弟たちを取り巻く人物の不気味な姿をもって登場するだけ。相当理不尽です。おまけに“何か”に対抗出来るパワーを持ったキャラクターも登場しないので、白旗振っても意味のない圧倒的救いようの無さには言葉を失いました。
介護や親を看取るという多くの人が経験するであろうテーマの生々しさや全体的に暗く乾燥しきった映像で恐ろしさが倍増。恐らくアリ・アスター監督作品が好きな人にはクリティカルヒットしそうな絶望的作品です。
第4位
第4位は...
『最後の決闘裁判』
百年戦争下のフランスで実際に行われた決闘裁判を描いた歴史ドラマ。
正直な話。歴史モノは個人的にあまり好みなタイプではありません。何となく上の空な気持ちになってしまうというか、劇的に気持ちが動く事がありません。しかし本作は普遍的なテーマ(これが普遍的じゃダメなんだけどさ)が描かれており、どんなに時代は変わっても人間は変わっちゃいないという痛烈なアイロニーが込められていました。パンチの効いた一本。80歳オーバーとは思えないバイタリティーを感じさせるリドリー・スコット監督、凄いぞ!来年公開の『ハウス・オブ・グッチ』が俄然楽しみになりました。
また3者の微妙な食い違いを巧みに描いた3幕構成のストーリーも上手かったですね。ベン・アフレック&マット・デイモンが手掛けた脚本の映画はもっと観たいなぁー。
第3位
さぁーここからはトップ3。見事3位に滑り込んだのは...
『サマーフィルムにのって』
時代劇オタクの女子高生が映画制作に奔走する青春映画。
まず映画への愛が溢れる作品であった事が決定打。“映画が好きだ!”な思いがガッツリ感じ取れると映画が好きな人間としては問答無用でテンション上がりますし、何だか有難さみたいなものも芽生えてきます。
そしてプライベートな話、学生の頃を思い出してノスタルジックになったのも大きな理由です。私も学生の頃に映画関係のサークルに所属していたので、その頃を思い出して変にエモくなっちゃって。まぁこれぞ私的ベストな理由ですわ。
登場キャラもそれぞれ個性的で魅力がありましたし、まさかのSFが絡んでくるストーリーも楽しめる青春映画の新たな代表作だと思います。
第2位
惜しくも、しかし堂々の第2位の座に輝いたのは...
『ジャッリカットゥ 牛の怒り』
屠蓄場から逃げた水牛を追う村人たちを描いたエクストリームムービー。
とにかくヤバい映画。ヤバ過ぎて思考が追いつかないレベルです。一体どう撮ったのかが気になる凄まじい牛vs人の映像で畳み掛け、駆けずり回る私欲に満ちた顔のおっさん数百人(あっこれも走ってる映画だわ)によって地獄絵図が展開されます。ストーリーは単純なはずなのに約90分間ひたすら豪速球。こうして言葉で説明するよりも、実際に観てもらった方がそのぶっ飛んだエネルギーを感じるには早い気がする傑作。インド映画については詳しくはないですけど、掘ったら凄いのが出てきそうです。
それと、鑑賞後「なんなんすかこれ~」と子供ように破顔しながら劇場を後にするおじさん二人組の存在も忘れられないです。あの異様な興奮に包まれた劇場ってのは『マッド・マックス怒りのデスロード』を観に行くと感じる空気感と似ていました。たまらんの〜。
第1位
それでは、数々の猛者たち退け2021年征した栄えある第1位は...
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
人生の成功を約束されていたはずの一人の女性が復讐の鬼と化す今年最も衝撃を受けた作品。個人的にはぶっちゃけ圧勝だったかな。
7位の『ラストナイト・イン・ソーホー』にしても4位の『最後の決闘裁判』も同じテーマを扱っていました。しかしこの作品が特出して鋭いと感じたのがその糾弾する対象の広さでした。主人公が復讐のターゲットにするのはそのトリガーとなった出来事に直接関わった人間のみならず、それを黙認したり見て見ぬふりをする人々。そこに性別は関係ありません。だからこそ多くの人が他人事として観ていられず、“あれっ?自分は大丈夫かな…”と自身の過去を顧みてしまい肝の冷える体験をする事になると思います。いや~冷汗。久々に脳ミソを思い切り殴打されました。
一体どこに着地するのか読めずに振り回されるジャンルレスなストーリ―。毒々しさのあるテイストに冒頭の掴みのセンスも抜群。全く申し分のない大傑作でした。
まとめ
以上、全精力を持って導き出した10作品のランキングでした。
弱冠下半期公開作品に偏ったような…。いやしかしですよ、今年は「面白かった」的な感想より鳩が豆鉄砲を食ったような衝撃的体験をさせられる作品が多くランクインした印象です。意図せず“MeeToo”なニュアンスの作品が多数あるのもその辺が影響してますかね。
その他『花束みたいな恋をした』や『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『すばらしき世界』、『殺人鬼から逃げる夜』も素晴らしかったのですが、ランクインさせる事が出来ず超絶無念。去年も似たような事言ったっけか?だからランク自体が不毛な気がしてきたぞぉ~。
はい、なんだか元も子もない事を考え出したので一旦お開きです。後編では印象に残った俳優やアクションシーンを語り散らします。
それでは、ありがとうございました。