キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第108回:映画『大怪獣のあとしまつ』感想と考察 ※映画館へ愛を込めてPart8も添えて

今回は現在公開中の『大怪獣のあとしまつ』を扱っていこうと思います。いやね、鑑賞直後にTwitterに名指しを避けて、極力オブラートに包んだ表現の我ながら良心的なコメントを書き込みましたが、翌日になっても沸々と煮えたぎる不満が解消されず。それに映画館での体験としてちょっと面白い現象もあったので、これは長文で発散させなければならないと思い立った次第です。毎度のことながら、ややネタバレ注意。それと今回に関しては非常に辛辣な内容が想定されます。お好きだった方やこれからご覧になられる予定の方はどうぞお引き取りを。

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イントロダクション

日本の映画界におけるお家芸の一つであろう怪獣映画。その怪獣映画を斬新な切り口で描いたSF作品。

人類を脅かしていた超巨大怪獣が突然死亡する。世界が安堵に包まれる中、残された死体は腐敗が進んでおり腐敗による爆発で一大事を招いてしまう可能性があった。それを考慮し死体処理を国から託されたのは、軍でも警察でもない怪獣退治の特殊組織である特務隊員たちだった。

監督は三木聡。私この方全然存じていませんでしたし、過去の映画作品も観たことがありませんでした。ただ調べてみると放送作家時代になんと『トリビアの泉』を手掛けていたらしいじゃないですか。あの番組はフジテレビの全盛期を感じさせる伝説ですよね。大好きだったなぁ~。

キャスト陣はまぁー大層なメンバーが揃ってます。東映と松竹がタッグを組んだだけはある豪華さ。ただこれからボコボコにするつもりの作品なので、具体的な名前を出すのは可哀想な気がしたので止めておきます。俺、優しいわ~w。

 

面白いのは設定だけ

鑑賞前はですね、結構期待してました。だってデカい怪獣の死体処理ですよ。例えばゴジラシリーズの場合、三原山の噴火口や日本海溝なんかにゴジラを落とす事で撃退と後始末を兼ねるオチがあったりしましたが、陸上に死体が残った場合どうすれば良いのかを描いた作品は今まで無かったと思います。これは斬新なアイディア。

また劇中には、徴兵制や計画停電、怪獣に特化した警報システムなど人々の生活環境が変化している点や怪獣の死体は文化的価値からインバウンドが見込めるぞみたいな話があったりと“確かにありえるかも”と思わせる設定がチラッとポツポツ登場するのもアイディアとして面白かったです。怪獣の造形も良き。

ただしです。これらの素材は良いのに、残念ながら素材を何一つ活かし切れていない結果になっていたと思いました。辻褄の合わない&お粗末なオチのストーリー、コミカルとシリアスのバランスの悪さ、安っぽいCGとダサいスローモーションが連発する映像、子供が好みそうなレベルの低いギャグセンス、「会話」というより「台本」感満載の台詞によって大根に見える俳優陣。映画における大事な要素が全て赤点だったと思います。観客に対して「挑戦的な作品」と表現すれば聞こえは良いですが、いや全面戦争上等な「挑発する作品」の方が正しいかと。どうしてこうなっちゃったんでしょうねぇ…。

 

映画館での共有体験として(映画館へ愛を込めて)

はい、いつも以上に偉そうな事を述べています。しかし批判をしたくなる気持ちが湧いたのは私だけではないはず。少なくとも私の鑑賞した劇場内は異様な雰囲気を放っていたのでその辺りのお話をしましょう。

本作は私、渋谷で観ましたがそもそもの観客の少なさに衝撃。恐らく15~20人程度。えっ封切りから初の週末だよ。しかも某アイドルグループのメンバーが主役なのに?やっぱりオリンピックの影響かとも思いましたが、初っ端の金曜からSNS上にはネガティブな意見が飛び交っていたようなので敬遠している人もいるのかなと。

上映開始間もなく本作がよく分からないコメディであると認識したあたりから場内に漏れる失笑の声。下ネタは災害級のダダ滑り。オヤジギャグに対して「サムっ!」からの風が吹く表現を体現した居心地の悪い空気に包まれていました。そして終了後の疲れ果ててオロオロ退散する皆さんと「こんな映画を観れて逆に光栄」と声を大にして盛り上がる男子軍団。これは事件です。逆の意味で不思議な連帯感が生まれた劇場体験は初めてでした。

そして一番感動したのが、帰りのエレベーターで聞こえてきた「マジク○映画。(某アイドルグループのメンバー)は悪くないけど、途中で携帯開いちゃったよ」の女子高生たちの会話。あぁ…なるほど。私も終盤からは“お腹空いたなぁ。次の映画まで1時間あるからどっかでパン食べよ。何処か良いか…”なんて考え事しながら観てましたから。まさか上映中に携帯を開く人の心理が理解出来てしまう日が来るとは。皮肉。

 

まとめ

以上、私個人の始末書的見解です。

まぁそうですね。元々邦画のコメディ大作は苦手な人間なので刺さらなかったのかも。それに、中学生ぐらいの子たちが友達と観に行って「映画って面白いねぇ!」と語り合う映画館への入り口としては意義があるかなと思います。中学生舐めすぎかな?

はい、もう疲れたのでお開きです。ありがとうございました。