キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第250回:映画『箱男』感想と考察

今回は現在公開中の映画『箱男』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

安部公房の同名小説を映画化した作品。私、安部公房作品は『砂の女』ぐらいしか読んだ事がなくてですねぇ…。かなり難解だった印象もあって他作品になかなか手が伸びず。そろそろ向き合う必要がありそうです。

段ボールを被った姿で街を徘徊する者、その名も”箱男”。箱に付いた覗き窓から世界を一方的に監視してはノートに記す日々を送る完全な匿名性を手に入れた存在。そんな箱男に魅了された主人公のわたしは、”本物の箱男”になるべく様々な戦いや葛藤を繰り広げていく。

監督は石井岳龍。『高校大パニック!』(1978年公開)や『逆噴射家族』(1984年公開)などアバンギャルドな作品を数々世に出しています。恐らく一番有名な『狂い咲きサンダーロード』(1980年公開)はまだ観てなかった。マッドマックスっぽい衣装の感じは絶対好きなタイプの作品なんですよ。

本作は一度撮影が中止となった企画で27年越しの実現。その時の主演を演じる予定だった永瀬正敏がそのまま主役となっています。悲願といったところなんでしょうか。そう言えばジム・ジャームッシュの『パターソン』(2016年公開)に出てたな。

共演は浅野忠信白本彩奈佐藤浩市浅野忠信北野武監督の新作『Broken Rage』でベネツィア国際映画祭に行ってるんですかね。あれアマプラ独占配信何ですか?たけしの新作ぐらい映画館で上映したって良いじゃん、頼みますわ~。

箱男は貴方だ

私観終わった後「箱宇宙」って言葉が頭を過りました。そんな言葉があったような気がするんだ…違う、あれは宮台真司が提唱した「島宇宙」だわ。「島宇宙」とは似たような価値観を持った人々だけで場を作り、社会との結びつきが限定的になっていく事を定義したもの。インターネットが発達した現代ならではの現象ですが、これが提唱されたのは90年代頃。2020年代の人々に至っては「島」どころか「箱」という更に限定的なスペースとなっているのではとこの映画を観て思ったのです。

その象徴ともいえるのがスマートフォン。人々の欲望を詰め込んだ物事を一方的に監視する機能も持ち合わせているといえる代物で、本作のエンドクレジットで着信音が鳴っているのはそれを示唆しているのでしょう。でもちょっと焦ったよ、一瞬観客の携帯が一斉に鳴り出したのかと思ってw ともあれ「箱男を意識する者は、箱男になる」という幾度となく登場する台詞には説得力を感じましたし、こんな現代的かつ普遍的なテーマが70年代に既に語られていた事にも感心します。あぁやっぱり原作読まないとな。

ってな感じでまぁ小難しい話ではあるんですが、見る職業である写真家と医者(医者は診るだけど)と見られる職業である元モデルのキャラクターたちの対比構造だったりもなかなか面白かったですし、何より真の”箱男”を賭けた箱男vs箱男の格闘シーンですよ。いや今年のベストアクション賞のダークホースかもしれません。だってオモシロと格好良いが同居するアクションはなかなか観られないですから。

まとめ

以上が私の見解です。

映画のピークがその格闘シーンな気がしたのはちょっと残念な点かと思います。ただ、こんな変態映画が映画館で観られるのは今の時代なかなかレア体験かもしれません。

それと本作は浅野忠信を楽しむ映画な気もしました。飄々とした雰囲気でなんかシュールなんですよね。そうそう、最近浅野忠信サッポロビールの大人エレベーターのCMに出てるじゃないですか。あれに出てくる人って人生を達観した超一流って感じがします。ちなみに私が一番好きなビールの銘柄は黒ラベルでもあります。最近キリンビールの晴れ風も気に入ってるけどね。

はい、話が逸れてきたのでこの辺でお開きです。ありがとうございました。