キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第49回:映画『ヒッチャー』(1986年) 感想と考察 あの悪党の生みの親では?

今回は、1986年に公開された『ヒッチャー』のニューマスター版を観に行って気付いたことがあったので、それについて書いてみたいと思います。ややネタバレ注意です。

 

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↑シネマート新宿で観に行ったらこんなポストカード貰いました。デザイン最高。

 

イントロダクション

 ハイウェイを運転する主人公の若者(C・トーマス・ハウエル)。雨の中でヒッチハイクをする一人の男を乗せる。しかしこの男、乗った車で次々と殺戮を繰り返すサイコ野郎だった。何とか車から降ろすことに成功するも、どこまでも追いかけてくるサイコ野郎。殺伐としたハイウェイの先に希望はあるのか…といったスリラー。ホラーの要素もありな作品です。

ジョン・ライダーと名乗る殺人ヒッチハイカーを演じるのは、『ブレードランナー』(1982年公開)のロイ・バッティが印象深いルドガー・ハウアー。もう亡くなって2年ですか。『ブレードランナー』が舞台としている2019年に亡くなってしまったこともあって、個人的には結構印象に残ってます。

 

ラストを観てふと思った

ラスト、車に乗った主人公と殺人鬼 ジョン・ライダーが対峙するシーン。ジョン・ライダーは警官から奪ったショットガン(あれはスパス12でしょ)をぶっ放しながら「かかって来い!」と騒ぎ立てます。主人公に自分を轢き殺すように焚き付けているのです。このシーン以外にも自分を殺させようとするシーンは登場するのですが、あれっ?この構図どっかで見覚えが…。エンドクレジットを観ながら考えていると思い出しました。そうです、私を映画の世界へと突き落とした張本人ダークナイト』(2008年公開)でした。

 

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ダークナイト』においては中盤に登場します。カーチェイスの末、横転したトラックから降りてくる悪役のジョーカーさん。マシンガン(M76だっけ?)を乱射しながらバットポットと呼ばれるバイクに似た乗り物で迫るバットマンに向けて「轢いてみろ!轢け!」と叫びます。いやまさにこのシーンでしたし、死をも恐れない狂人っぷりが冴えわたっていました。

 

さらに決定的な共通点が

ダークナイト』と共通点があると察すると、決定的な共通点がもう一つ見えてきました。それは分からないことだらけの悪党という点です。 

本作のジョン・ライダーさん。住所や出身地、今ままでの経歴を含めデータに全く残っていないのです。「ジョン・ライダー」と名乗った名前ですら怪しい。警察が取り調べを行ったところで洗いざらい話すわけもなくだんまりです。また殺人を犯す動機も不明なため、分かっているのは息をするが如く人を殺しているという事実だけなのです。

そして『ダークナイト』のジョーカーさんも全く同じ状況です。バットマンが尋問をしたところで、持論を語るだけで素性を口にすることはありません。一体誰なのか?何の為に犯罪を起こすのか?謎だらけの悪党を前にバットマンというスーパーヒーローですらその存在に混乱をし、観ている観客に恐怖を与えるのです。

思えば『サイコ』(1960年公開)のノーマン・ベイツにしても『ノーカントリー』(2008年公開)のアントン・シガーにしても、やはり正体のつかめない悪党というのは心底恐ろしく、そして忘れられない存在として映画史に居座り続けています。本作『ヒッチャー』でもそんな印象に残る悪役の手本とも言える特徴を堪能することが出来ると思いました。

 

まとめ

以上が私の見解ですが、この記事書いてる最中にこんな記事を発見してしまいました。

natalie.mu

 

えっノーラン、好きなのかい!

ということは、ジョーカーさんの祖先にジョン・ライダーがいるのは間違いないでしょう。『ダークナイト』好きは必見。観て損はしないはずです。

また、説明描写や発言を極力削いだことによって生み出される張りつめた緊迫感をベースに、ひと昔前の荒っぽいカーチェイスや爆薬大サービスな爆破シーン。ルドガー・ハウアーの完全に狂ってる目線と口角のあがり方など、とにかく大好物な要素がてんこ盛りで大満足の作品でした。

あと「出身地は?」と聞かれたら、にやけ顔で「ディズニーラ~ンド」って答えようかなw 分かる人なら絶対笑ってくれると信じて。

冗談はさておき、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

※『ダークナイト』についてはこちらで語ってます。

captaincinema.hatenablog.com