キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第36回:映画『インターステラー』の感想と考察 これはノーラン監督が描くラブストーリーだ!

今回は、9月4日から再上映をしている2014年公開『インターステラー』を扱いたいと思います。

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過去のノーラン作品についてはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

captaincinema.hatenablog.com

 

イントロダクション

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ダークナイト』や『インセプション』など暗めな作品を撮ってきたクリストファー・ノーラン史上最もエモーショナルと呼び声のある本作。

気候変動などにより作物が全く育たなくなってしまった地球。人類の生存が危機的状況だと考えたNASAは人類が移住可能な惑星を調査しています。しかし調査隊が行方不明になったため、腕利きだった元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)に調査員の捜索と移住可能な惑星を見つけ出すようお声が掛かるのでした。

ノーラン作品と言えば、実写撮影に固執した圧倒的映像美や難解だけど面白いストーリーもさることながら、実力派がわんさか出演するキャスティングも見どころです。

主人公のクーパーを演じるマシュー・マコノヒーは、『マジックマイク』(2012年公開)ではムキムキになり『ダラスバイヤーズクラブ』(2013年公開)ではガリガリになったりとストイックな役作りで有名な役者さん。ちなみに出演作品だと『キラースナイパー』(2011年公開)がオススメ。きっとマシュー・マコノヒーが嫌いになるでしょう(褒めてます)。

クーパーの息子の少年期を『君の名前で僕を読んで』(2017年公開)や『レディバード』(2017年公開)、『デューン砂の惑星』のリメイクも控えるノリにのってるイケメン俳優ティモシー・シャラメ

大人になった頃を、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016年公開)でオスカーを獲得したケイシー・アフレック

娘の少女期は『死霊館』(2013年公開)や『くるみ割り人形の秘密』(2018年公開)のマッケンジー・フォイ

大人になった頃を『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年公開)や最近だと『IT THE END/それが見えたら終わり』(2019年公開)にも出演していたジェシカ・チャステイン

さらにはアン・ハサウェイマット・デイモンといった超有名どころまで。これは海外スターが好きな人にとってはお祭りですよ。

 

ノーランが描く「愛」

サスペンスやアメコミヒーロー、戦争など様々なジャンルを撮ってきたノーランさんですが、ラブストーリー作品は今まで手掛けていません。『インセプション』や『メメント』では亡くなった奥さんを追い求めているよな人物設定なので、恋愛らしい描写はあまり感じられません。『ダークナイト』シリーズでは、それっぽいシーンはありましたが、作品の本質が異なる為かあまり主張したものにはなっていませんでした。これより私個人が感じたのはノーランさんは恋愛描写を描くのが苦手なのかと、いや、そもそもあまり好きではないのかなっと思います。

そんなノーランさんが「恋愛」のみならず「愛」そのものを描こうとした今までのニュアンスとは違う野心作だったと解釈しています。本作が親子の愛を描いているのは一目瞭然なのですが、その他の愛も描かれていたように見えます。

さぁーここからがネタバレです。これを論じるにはラストの展開に触れなくてはいけません。まずは、人類を救うべくNASAが計画しているラザロ計画について説明しなくてはいけません。この計画には、2つのプランがあります。

 

Aプラン

巨大な宇宙ステーションを地球外へ打ち上げて人類を脱出させ、他の惑星に移るプラン。これには重力をコントロールするための法則を解明しなくてはいけません。法則の解明はマイケル・ケインが演じる教授に託されています。

 

Bプラン

Aプラン失敗時の代替プラン。受精卵を保管庫で管理し、移住可能な惑星を見つけ次第人工培養させてコロニーを作る計画。人類の存続という観点だけに絞っているため、地球上に残された人々は見捨てることになります。

 

もちろんマーフィーたちはこのAプラン実現を目指して奮闘することになりますが…そう一筋縄ではいきません。Aプランで重要となっていた重力の問題は、なんとブラックホールの内側にある特異点なるものを観測しないといけないというのです。しかも教授はそのことに気付いていながらも事実をひた隠し、お亡くなりになるという鬼畜プレーを発動。もう無理ゲーです。しかし結果としては成功する結末を迎えました。(成功といっても宇宙ステーションの打ち上げに成功した段階で、まだ移住可能な惑星には辿り着いていません。)なぜ成功したのか。ブラックホール内の5次元空間などちょっと言語化出来ないような現象によるものが要因ですが、ブラックホールから奇跡的に生還した父と教授の意思を継ぎ解明に尽力をした娘の賜物です。お互いが時間と空間を超越して信じる続けた結果だったわけです。

ではBプランはどうなったのか。こちらもどうやら成功したようなんです。紆余曲折があってクーパーと生き別れとなった女性隊員アメリア(アン。ハサウェイ)。彼女はクーパーと別れたあと、ある惑星に向かうことになります。それは恋人である隊員がシグナルを送っていた惑星。残念ながら恋人は亡くなっていたようですが、そこでコロニーを作ることに成功したのです。Bプランのほうは、恋人を信じ続けた結果の賜物だったというわけです。

さらにさらに、ラストはクーパーがアメリアを救いに一人宇宙へと旅立つシーンで幕を閉じます。これって仲間に対する「愛」ですよね。生きていること。そして待っていてくれているであろう信じる気持ちがあるからこその行動です。

家族、恋人、仲間の3種類の形の違う「愛」でも、共通しているのは「信じること」だと感じています。「愛は観察可能な力だ」というセリフが中盤に登場しているように、「愛」は「信じること」で形になっていくんだと思います。

相対性理論ブラックホールとか私のような文系脳には、ほとんど理解が出来ないような法則や理論が平然と登場するのですが、結局作品のテーマはシンプルなんですよね。『インセプション』もそうでしたが、この回りくどさが醍醐味だと思います。

 

まとめ

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↑撮影の様子。ガチで宇宙船、作ったのかー。

 

以上が私の解釈になります。

ゴリゴリのSF作品でありながら、ちゃんとエンタメ性を忘れてはいない非常にバランスの良い作品です。

再上映は期間は2週間限定だったはずなので、来週の金曜日までですかね。まだ間に合います。是非壮大な宇宙体験と共に「愛」を全身で感じてみて下さい。

それではこの辺でお開きです。ありがとうございました。