キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第79回:映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』感想と考察

今回は、旧作映画を語っていきます。先日ふらっと立ち寄ったリサイクルショップである円盤との出会いを果しました。それが今回は扱う作品『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』です。以前レンタルDVD店でたまたま借りてみたところ、予想以上に面白くて感動した作品。ネットショップで買うか迷ってたんですが、現物を目の前にしてしまったら財布を開くしかないです。そもそもあまり有名じゃない作品なのか様々な店で見かける事が今までなかった代物です。ヒーロー映画って需要あるはずなのに。「もっと認知されてもいいだろ!」そんな思いを胸に語っていこうと思います。

 

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イントロダクション

日本では2017年に公開したイタリア産ダークヒーロー映画。

テロが相次ぐローマを舞台に、ひょんな事から並外れたパワーを手に入れたチンピラが正義のヒーローへと覚醒していく様が骨太に描かれます。

タイトルにある『鋼鉄ジーグ』は1975年に日本で放送されたアニメーションでイタリアでも1979年に放送され人気を博した作品です。監督のガブリエーレ・マイネッティがこのアニメをモチーフにして生み出したのが本作になります。その為、直接『鋼鉄ジーグ』が絡んでくるわけではありません。勿論実写化でもないので、そこはご注意を。

主人公を演じたクラウディオ・サンタマリア。この方、役作りとしてなんと20キロの増量に臨んだそうです。役作りでの体重増減はよく聞きますが20キロですよ。そんなに増やせるもんなんですね。

 

人生を見失った男の反撃

本作一見内容だけだとベタなヒーローものに聞こえますが、数多あるヒーロー映画とは一線を画した作品だと思います。

主人公はくすねた物や金で日銭を稼ぐ街のチンピラ。趣味はAV鑑賞とカップのヨーグルトを食べること。家族や友達は誰一人としておらず、精魂尽きた顔立ちのしょぼくれたおっさんです。

このおっさん、強靭なボディーと腕力を手にしたことに気付くとまず最初に行ったのがまさかのATM強盗(しかもATM機ごと盗むというワイルド過ぎる手法)。手にしたお金でAVとヨーグルトの買い溜めです…って単なるクズじゃんw。でもこれ、リアリティがあると私は思います。ほとんどのヒーロー映画では、特殊な能力を得たらそれを悪人を懲らしめる為に行使します。しかしどうでしょう。超人的な能力を得たらまずは自身の私利私欲に費やしてしまう気がするのは私だけではないはずです。

そんな彼は世話になっていた“オジキ”の娘の面倒を見ることになります。母親を失った悲しみで精神的な病を患ったらしいですが、母親を失った事以外にも様々な精神的苦痛を受けてきたことが窺い知れる人物。唯一生きがいとしているのが日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』を観ることで、アニメに登場する主人公に重ねて彼を慕うようになります。彼女との交流を通して次第に「正義」や「愛」を知り、生きる気力を取り戻していきます。
そうなんです。これはヒーロー誕生の物語であると同時に、一人の男の見失った人生の再生、いや反撃なのです。アツいぜ!死んだ目をしていた主人公の瞳に魂が宿っていく様は最高にエネルギッシュです。

 

まとめ

以上が私の見解です。

ありきたりなヒーロー映画にちょっと満腹感を感じている人には、刺さるのではないかと思う作品です。私自身、こういうヒューマンドラマ要素の強いスーパーヒーロー映画を欲していただけに直球ストライクな作品でした。

またアクションシーンにおける殴られたり銃弾が着弾した時のエフェクトのかけ方が結構好み。アクション自体は地味ながら、臨場感のあるものになっています。

さらにオープニングクレジットでのタイトルの出方はマジ最高。このタイトルは日本がオリジナルに付けた邦題ではなく、れっきとした原題。お分かりですね。つまり外国作品なのにデカデカと日本語タイトルが画面に映し出されるということです。ここだけでも一見の価値あると思います。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。