キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第128回:映画『哭悲/THE SADNESS』感想と考察

今回は現在公開中(と言っても上映規模が局所的だけど)の映画『哭悲/THE SADNESS』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意、それと今回は過激かつ淫らな表現が含まれるので、気分を害する方はお引き取りを。

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↑表紙の時点でなかなかエッジが効いてるパンフレット、つい買っちまった。絵コンテが載ってるのが嬉しいポイント。

イントロダクション

人間を狂暴化させる未知のウイルスが蔓延した台湾を舞台にしたパニックホラー。強烈なゴア描写がてんこ盛りという売り文句が影響しているのかその界隈では結構話題のご様子。私新宿武蔵野館で鑑賞しましたが、武蔵野館のスクリーン1が満席だなんて初めての体験。っていうか座席の予約もなかなか争奪戦だったし。上映館数を増やしても充分集客が見込めそうですが、R18だから無理か。

舞台は謎のウイルスが流行している台湾。“アルヴィン”と呼ばれるそのウイルスは、軽微な風邪の症状しか発症させないため人々の警戒心を薄めていた。しかしある時ウイルスは突然変異、脳に作用し人々を狂暴化させる。感染者たちは暴力への激しい欲望に抗えず街には殺戮や拷問、性的暴行が蔓延。そんな中で生き別れとなった男女が再会を果たすべく地獄と化した街を駆け抜ける。

監督はロス・ジャバズ。カナダ出身で台湾在住の方で本作が長編映画デビュー作品とのこと。マジか、これが長編デビュー作って凄まじいな。今後ホラー映画界隈で重宝されそうな鬼才っぷり。A24とかブラムハウスあたりが声掛けそうだなぁ~。

ようこそ、元気で明るい地獄へ

イントロダクションを見て頂ければお分かりかと思いますが、本作はウイルスによって混乱する世の中が舞台。これはまさに弱冠落ち着きつつもまだ気の抜けない新型コロナウイルスによる混乱 いわゆる「コロナ禍」が反映された作品です。台湾といえば比較的パンデミックを抑え込んだ国の代表格として名が挙げられますよね。保健大臣だかの存在が大きかったとか。映画に近々のテーマを反映させるとなると、どうしても社会派っぽくなりそうなところを本作はバイオレンスホラーへと昇華しています。

で、このバイオレンス描写が兎にも角にも超絶凄惨。殴る蹴る刃物を振り翳すには飽き足らず、ゾンビよろしく噛みつき肉を食い千切ったり、アレが勃ってしまったからには と言わんばかりに男女構わず無差別レイプを始めたりとやってる事がガチで人でなし。でも感染者の皆さん、ニッコニコなんです。個人的には「良い事思い付いちゃった~❤️」とはしゃぐクソガキたちが印象深い。あんな純粋な表情見せられたらもう訳わかんねぇよ。逆に明るく元気いっぱいな印象を受けてしまいます。

このように道徳の「ど」の字もないような鬼畜の所業を上映時間のほぼ全てを使って見せつけてるという力技が展開。『キングスマン』(2014年公開)の教会のシーンを100倍にしたかのようなエクストリーム具合は、あまり声を大して言うのも憚られますが楽しかったです。“二度と見たくない傑作”なる売り文句もありましたが、おかわり普通にアリだと思うなぁ。

まとめ

以上が私の見解です。

感染者同士で殺し合いをしない理由が分からなかったり、タイトルにもなっている罪悪感から涙を流す感染者も居るみたいな設定がそこまで感じ取れなかったりと納得出来ない部分は多々ありました。しかしこんな血糊の滝行みたいな作品を映画館で観るのは貴重な体験です。

健康で文化的な方にはまったくオススメはしません。でもちょっと頭のネジが変になってる映画オタクが観ると良い感じに清涼感&疲労感が得られるかと。特にホラー映画狂いなら『死霊のえじき』(1985年公開)や『スキャナーズ』(1981年公開)のオマージュだろうなってシーンもあったので必修案件だと思います。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※ちなみに

私、こういう映画観た後って食欲減退するかと思いきや意外とお腹空いちゃうんですよね。さながらスポーツかのよう。それだけカロリー使ってる事なんですかね。ここで暴食をせずに我慢をすればホラー映画はダイエット効果が見込めそうです。