キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第143回:映画『殺し屋たちの挽歌』感想と考察

今回は80年代を中心とした名作を12か月連続で上映する「12ヶ月のシネマリレー」という企画で観た映画『殺し屋たちの挽歌』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

ポスター画像、格好良くないですか?それで気になっていた1984年のサスペンス映画です。当時の日本での劇場公開は無かったようですね、えっレアじゃん?

強盗団を裏切ってスペインに潜伏していた ウィリー(テレンス・スタンプ)。しかし10年後のある日、ウィリーの前に2人の殺し屋(ジョン・ハートティム・ロス)が現れる。彼らの目的はウィリーを誘拐しパリで待つ強盗団のボスに送り届けることだった。道中、巻き込まれるかたちで一緒になった一人の女(ラウル・デル・ソル)と共に、奇妙な4人の旅が描かれる。

『スーパーマンII 冒険篇』(1980年公開)や『ラスト・ナイト・イン・ソーホ』(2021年公開)のテレンス・スタンプに『1984』(1984年公開)や『Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年公開)のジョン・ハート。そして『パルプフィクション』(1994年公開)等タランティーノ作品でお馴染みのティム・ロス とイギリスの実力者が揃ってます。そういえばティム・ロスMCUのドラマシリーズ『シー・ハルク』でマーベル作品への復帰をしていましたね。何だか最終話が大荒れだったようで。『ムーンナイト』が個人的に空振り三振だったので、MCUのドラマシリーズからは少しソーシャルディスタンスを取っていたのですが逆に気になってきたぞ。デアデビルの音沙汰も気になりますし。

死への旅路

一時の迷いでミスもするし情が湧く時もある。決して完璧ではない人間味のある殺し屋たちが織りなすシュールな旅路。その旅の結末も去ることながら本作のテーマは「死」についてだと感じました。言わば死への執行猶予ロードムービーといったところです。

興味深いのが主人公の男の心境。潜伏先で誘拐をされ、移送先にて殺されるという状況なのにどこか楽観的な印象。殺し屋2人に対して協力的だし悠長にアドバイスなんてしていたり。心のどっかで“俺、殺されないじゃね?”と思っている節を感じられます。

そんな彼が後半あたりで“死は自然現象、人生の通過点でしかない”といったような死生観を口にします。死を恐れたって仕方がないスタンスだから自分の状況を楽観視していると伺えます。まぁ確かに自然現象だとは思います。いつどんなシチュエーションで死ぬのかを確認することは誰にも出来ません。唐突に訪れる可能性があるから厄介な話。だから真面目に考えたって仕方ないのかなと思います。

ただそれは「死」を直に感じられいないから言える机上の空論。いざ「死」を受け入れるしかない状況下に置かれた時、主人公はどんなリアクションを取るのか?ここに人間の真の姿が現れているのかもしれません。

まとめ

以上が私の見解です。

ジョン・ウィック」シリーズのようなここ最近の殺し屋映画で見られる派手さはありませんが、渇いたテイストが後引く激シブ殺し屋映画でもあります。ガソリンスタンドのシーンとかなかなかですよ、隠蔽工作の仕方とかリアリティが感じられました。あれですね『ノーカントリー』(2008年公開)が好きなタイプの人にはささるかも。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。