キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第59回:映画『まともじゃないのは君も一緒』感想と考察

今回は現在公開中の『まともじゃないのは君も一緒』について語ろうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

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イントロダクション

人との接し方がいまいち分からず、ぼんやりとした不安を抱える塾講師(成田凌)とその教え子の女子高校生(清原果耶)が繰り広げるラブコメディー。 ラブコメディーではありますが、恋愛的メッセージ性よりも「普通」とは?ということに重点の置かれたコメディードラマです。

あれ、そういえば清原果耶って次の朝ドラで主演を務める女優さんですよね?コロナの影響で放送スケジュールだいぶ狂ってますから、いつから放送なんだろうとふと思いました。その関連だと今放送中の朝ドラに成田凌は出てましたよね。全くと言っていいほど見ていないので何も言えないですが。いや、在宅勤務のせいで8時はまだ寝てるというね、だらしないっすねw。

 

クセの強い二人の痛快会話劇

本作の一番の魅力と言えば、クセ強な主役二人による会話劇です。コミュ障で数学以外の知識が色々乏しい塾講師(成田凌)。ジャンルが違ったらホラーになり兼ねない不細工な笑い方と反語的しゃべり方が妙に鼻に付く男です。そんな彼、教え子の女子高生(清原果耶)に「そんなんじゃ結婚出来ねーよ」と言われたことにショックを受け、その女子高生に「普通」なるためにはどうしたら良いかを教えて貰おうとします。この位置関係の会話をベースにストーリーが展開していきます。ただし、この女子高生も決して「普通」とは言えない人物。論理でがっつり武装した口の達者な頭でっかち。どこにでも居そうな高校生ではないことはすぐに分かります。

つまり「普通」じゃない人が「普通」じゃない人から「普通」を教えて貰うというリンカーンが「人民」を連発しまくるばりに「普通」が渋滞したおかしな構図になっているのです。これは面白くなるに決まってます。特に序盤のレストランのシーンは格別。キャスト陣の演技も相まって、ニヤニヤが止まらない至福の時間を過ごせました。

 

「普通」を諦めた者として

私自身、ズレているというか口下手でやる事なす事いちいち不器用さが際立ってしまうので「普通」の人間ではありません。

そもそも趣味嗜好、考え方や価値観があまり人とは合わないせいで、自然と会話の中からフェードアウトしてることが多いですね。おまけに苦手なことが多い。運動は苦手なので活発なアウトドア派とつるむことは皆無。かと言ってインドア派が好みそうなビデオゲームを始めカードやボードゲームの類をやってもどうも上手く立ち回れず“えっ何でそんなプレーするの?”嘲笑われるのもしばしば。そのせいか次第にお呼びが掛からなくなり、気づけば孤立するのがよくある事でした。

うわーこうやって書いてると笑うしかねーやw。変わる努力しろよって思う人もいると思いますが、上手くいかずに空回りするが関の山でした。まぁそんなこんなであくせくする事に疲れ、“不器用にしか生きられないんだ”と理解し、いつの間にか周りに溶け込もうと「普通」を装うことを辞めた人間なのです。

そんな私から観た本作。テーマとしては「普通」なんて気にしないで生きるのもありだということなので、何も邪魔するものがなくスッと心に入ってきました。

ただめちゃめちゃ感動したわけではないですね。前述の通り既に実生活でこれらの事で痛い目にあってきた人間なので、どちらかと言えば自分のスタンスをより強くしてくれるような受け止め方をしました。もしかしたら同じように感じる人は居るんじゃないかと思います。

また面白い点として、本作には「普通」にしがみついたままで生きようとする人も出てきます。さっき“生きるのもあり”と濁したのがこの部分があったからで、私自身もそれが間違いだとは思ってません。その人の選択ですからね。寧ろあえて大変な道を選んでるわけですから立派なことだと思いますよ。

 

まとめ

以上が私の見解です。

ここまでストレートに「普通」についてを考えさせられる作品は珍しかったような気がしてるので、これを機に不器用にしか生きられない人たちへの理解が少しでも深まると良いと淡い期待を募らせてます。

あっあと数学の塾講師って確かに風変わりな人の印象。私が中学の頃に通っていた塾の数学講師はまさにあんな感じでしたね。プライベートなことは知りませんでしたが、ひょろっとしたどこか生命力の薄い雰囲気は全く同じ。学校の数学教師とは違ったオーラを帯びてるんですよね。思い出してみれば笑い方も独特だったような…w。なるほど、あれは全国共通の人種だったのか!いい勉強になりました。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。