今回は現在公開中の映画『女神の継承』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。
↑ポスター画像で好きなやつを2つ載せましたが、他のも洗練されててカッコいいです。
イントロダクション
タイ・韓国合作のアジアンホラー。7月は『哭悲/THE SADNESS』やNetflixでの『呪詛』の公開によりアジア系ホラーがアツい事態になりました。私もこんなに振り回されるとは思わなかったです。
舞台はタイ北部のとある村。物語はそこに暮らす祈禱師一族の密着ドキュメンタリーとして始まったが、その一族の血を継ぐ一人の娘 ミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)に異変が起き始める。体調不良や別人かのような奇行を見兼ねたミンの母親(シラニ・ヤンキッティカン)は、祈禱師である妹(サワニ―・ウトーンマ)に助けを求めるが思いもよらぬ展開へと突き進んでゆく。
今作、原案・脚本に携わっているナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』(2016年公開)に登場した祈祷師をソースに制作されているそうです。私『哭声/コクソン』はまだ観てないんですよね。國村隼が物凄いらしいという噂は耳にしているので、ちょっとTSUTAYAに行かないといけませんな。
監督はパンジョン・ピサンタナクーン。ちょっと声に出したくなる名前。この方の監督した『心霊写真』(2004年公開)は『シャッター』(2008年公開)としてアメリカでリメイクされているらしいんですね。うわ~気になるな。どっかで一夜限りの上映をやってたらしいんですけどね、観に行くべきだったかぁ。
恐怖より絶望を
まずこの映画、伊達じゃないです。ジェットコースター、いや急流滑りが如く真っ逆さまに絶望へと向かう鬼畜仕様となっています。
序盤は“なるほど、なるほど”と落ち着いて観ていられるわけですが、徐々に忍びよる不穏な空気。中盤は不可解な現象に翻弄される娘さんの描写が中心となりますが、これが不憫の極みで思わず目を背けたくなってきます。そしてクライマックスにかけては急にギアチェンジ。スピード感のあるモキュメンタリーテイストが相まって、あっという間に「邪悪」が襲撃。もうパニック状態です。そして持ち受けるラストのある発言。なんだよぉ…そりゃないぜ、マスクの中で空いた口が塞がりませんでした。
去年の私的ベスト映画にも選出した『ダーク・アンド・ウィケッド』(2020年公開)や当ブログで度々登場する『悪魔のいけにえ』(1974年公開)同様、この救いようのなさに悶絶するタイプのホラー映画が私は大好物です。恐怖よりも絶望を感じられる作品こそ真のホラー映画だと勝手ながらに思ってます。
でもシンプルな感想で言うなら「怖かった」や「絶望した」よりも先行して「面白かった」が湧いてくるかもしれません。単に恐怖を演出するのではなく、“どんな世界へ連れていかれるの?”や “一体どうなるんだ?” という興味や好奇心が終始持続するような仕組みになっていたと思います。だから恐ろしいけど観てしまうという感情に陥るわけです。料理で例えるなら激辛グルメじゃないですか。人気ある店の激辛グルメって一辺倒な辛みだけじゃなく、その奥にある旨味こそが辛いけど食べてしまうの秘訣なんじゃないですかねぇ。まぁ辛い食べ物は得意じゃないのでよく分からないんですけどw。
まとめ
以上が私の見解です。
邦画で言えば意外にも『犬鳴村』(2020年公開)との共通点が多い気がしました。犬を食う云々の話や血族というテーマ性、それに○垂れ流しのシーンもありましたし。ただ本作の方が500倍凶悪。ちょっと次元が違うレベルですし、今年はこれを超えるホラー映画はないと思われる大傑作です。もう一回観に行っとくか。
ともあれ、あの村には『来る』(2018年公開)みたいに全国各地から祈祷師や僧侶を呼びまくって“呪術廻戦”しないとヤバいっしょw。『デモニック』(2021年公開)に出てきた銃器で武装したプリーチャーや『コンスタンティン』(2005年公開)のキアヌも必要だわ。
と勝手な妄想が広がってきたところでお開きです。ありがとうございました。