キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第96回:2021年を映画関連ニュースで振り返る

一体秋はあったのかと思うほど簡単に肌寒くなりましたが、気付けば今年も残り1か月。今年も新型コロナウイルスが幅を利かせていました。オミクロン株なる変異種がまたもや出てきましたが、ファイザー派とモデルナ派で分かれるワクチンの来る3回目の接種や塩野義の飲み薬の登場なんかでそろそろくたばるでしょう。マスク生活ともおさらはじゃ。そんなコロナ禍は勿論ですが、ちょくちょくミサイル撃つ北朝鮮は不参加でタリバンの政権奪還やミャンマーの軍事クーデターという世界が平和ではない中での東京オリパラリンピックの開催も大きな話題となりました。大赤字の補填をどうするつもりなのかが気掛かり…。ともあれゴン攻めスケートボードでは10代のメダルラッシュがあったりといわゆるZ世代の躍進が印象的でした。そのオリンピックを開催させたという事だけしか特に目立った事をしなかった(5Gの絡みの携帯電話の値下げはどこへやら)ガースーこと菅義偉から岸田文雄内閣総理大臣が交代。果たして「分配なくして成長なし」は成功するんでしょうかねぇ。

その他、逃げ恥婚オオタニさんSDGsうっせぇわ圭&眞子の結婚平成の怪物引退で盛り上がった2021年。映画関係でも様々なニュースが飛び交いました。細かいニュース含めると膨大な情報量となるので、個人的にデカかったと思う話題を偏った独自見解まみれで振り返ってみようと思います。

 

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↑2020年についてはこちら。


世間的には…

映画関連のニュースで世間的な盛り上がりを見せたのは、今年も言うまでもないでしょう。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』『竜とそばかすの姫』を筆頭にアニメ映画の躍進続き、話題をかっさらった1年でした。今月には『呪術廻戦』の劇場版(主題歌はKingGnu!)も公開されるんですよね。またまた特大ヒットしそうな雰囲気なので、アニメ業界はホントに元気です。

一方実写映画の方は相変わらず厳しいようで特に洋画不振は著しく、大ヒットの基準となる興行収入が10億円を超えた洋画は少ない状況。『DUNE/砂の惑星』もMCUの3作品(うち1本は10億超えそう)も世界的にはヒットしていますが、日本ではそこまで注目されていないのが状況みたいです。

“売上なんてどうでもええわ!”な己を貫くスタンスといきたいところですが、そう簡単にはいきません。売上や人気は上映回数や上映されるスクリーン規模にある程度比例しますから、人気が無ければ座席数の少ないスクリーンの小さな劇場でしか上映してくれないし、上映回数が少なくなるスピードも早まります。これは、なるべく大きなスクリーンで且つ気に入った作品は複数回観たい人間からすると死活問題。どうしようもないなぁ~。

それと今年からってわけじゃなく前から思ってたんですが、最近の邦画実写はどうのこうのと揶揄する人が増えました。それする人ってだいたいアニメ好きの方たちの印象が個人的にありまして。あの~、一理あるとは思いますが何が楽しいの?好きで観てる人を傷つけてるの分かってるんでしょうかね。そもそも偉そうな事が言えるほどの作品を観てるかも謎ですが。


続くコロナ禍

はい、世間的というより今年の動向を総括する内容になりましたが、ここからは個人的にデカかったニュースです。

まずはやっぱりコロナ関連。再び休業要請に追い込まれたGWを中心とした約2ヶ月。4月下旬にお台場で予定されていた黒沢清監督作品『CURE/キュア』の爆音上映がキャンセルになったのはショックでしたよ。かなり前から予約してたのにさぁ…(泣)。

去年の春と同じことの繰り返しに深いため息が出る中、営業継続の選択を取り踏ん張ったのがミニシアター系の映画館でした。そもそも敷地面積の関係上、給付金の対象外だったのが大きな原因みたいですけど、この英断には“映画館は滅びないぞ!”という気合を感じました。抗議の動きはミニシアター系列のみならず大手も。日本の映画館が加盟する全興連や東宝・松竹・東映KADOKAWAの4社で作る日本映画製作者連盟も相次いで要請解除を求める声明を発表しました。大手と独立系が共闘して勝ち取ったのが要請解除だったというのは映画ファンとしては感慨深い出来事でした。

6月からは通常に戻り、ワクチン接種の浸透もあってか徐々に感染者が減ると戻ってきたのが洋画大作たち。7月から怪獣やアメコミキャラのスクリーンバックを皮切りに怒涛のラッシュが展開。特に9〜10月にかけてはエグかった(汗)。とは言っても上記の通り世間的には“洋画が戻ってきたね”な雰囲気ではなさそうですが、だいぶ元に戻ったことには一安心です。


動画配信の行く末

そんなコロナ禍が影響してか映画館と動画配信サービスの兼ね合いで色々と問題が噴出しました。洋画大作復帰の狼煙の一つであった『ブラック・ウィドウ』。この公開体制を巡って主演のスカーレット・ヨハンソンがディズニーに対して訴訟を起こしました。元々劇場公開のみの契約だったにもかかわらず、劇場とDisny+での同時公開によって受け取る興収の一部が減った事への補填を求める趣旨だったようです。どうやら和解はしたようですが、示談内容は明らかにされていません。

ディズニーに対しては同じように『クルエラ』で主演を務めたエマ・ストーンも訴訟を起こすのではないかとの噂も上がっていましたが、こちらは特に音沙汰なく続編の製作が決定しているので円満な状態なのでしょう。

その直後こうした動きを鑑みてか『シャン・チー』や『エターナルズ』に関しては劇場とでの同時公開の形態を取らずに劇場公開を先行させていました。見事に興収も上々のようなので、やっぱり映画は映画館が一番なんですよ!

ちなみにDisny+に関しては新サービスStareの展開がスタートしました。これ、なかなか良いですよ。『ダイ・ハード』と『ホーム・アローン』が配信されている時点で今年のクリスマスは盤石の態勢で挑めます。

動画配信サービスと映画館関連のいざこざはディズニーだけではなく、ワーナーブラザーズでも。去年『TENET/テネット』で沸かせたクリストファー・ノーラン監督がワーナーと手を切ったのも劇場と動画配信(HBO Max)の同時公開体制が原因でした。なんせロバート・オッペンハイマーを描く新作はユニバーサルスタジオで準備中しているらしいじゃないですか。長年の付き合いを解消するとは余程の事でしょう。まぁノーランって映画館での体験を大事にする超劇場至上主義だから。

こうしてみると、劇場と動画配信サービスの関係はまだ発展途上の段階だと言えます。見えてきた様々な問題をクリアにした上で、Win-Winな関係に落とし込めるかどうかが今後のポイントになってきそうです。


ファスト映画

映画館と動画配信が共存していくことは確実ですが、これだけは絶対に共存出来ないコンテンツが世に知られることになりました。それがファスト映画

ファスト映画とは、映画作品を許可なく10分程度に短く編集した動画のこと。この動画をYouTubeに投稿したとして著作権法違反容疑で男女3人が逮捕されました。私もこのニュースを聞いて初めてその存在を知りましたが、確かにYouTubeに映画紹介なのかネタバレ動画なのかよく分からないものが未だに多く投稿されている様子です。

再生回数はトータルで約4億を超え被害総額は1000億円に上るらしいので、ある程度需要があるという残念な状況です。とくに映画に対して情熱の無い人にとっちゃ10分程度で内容が分かって便利なのかもしれませんが(それで観た気になってる連中もムカつく)、新しい映画が作られる為には売上が必要です。だから人様の作ったものを勝手に編集して広告収入を稼いでいる生産性のない奴なんかに還元しちゃダメなんです。という訳でなるべく気になる映画は映画館で観るんだ!とくに気に入った作品は何回か観に行くんだよ!旧作ならその円盤買うなりレンタルや動画配信サービスを駆使しろ!

しかし私もこうしてブログを書きまくっている身としては、難しいと思う所もあります。あらかじめネタバレ注意を喚起するようにはしていますが、どこまでの範囲で書くべきか毎回悩みますし、ポスター画像であればアップしても問題なさそうですが本編の切り抜き画像をアップするのはちょっとグレーだと思うので(ネットには普通に出回ってるけどさ)なるべく控える心がけをしたり。今の時代、誰もが送り手になれる現代だからこそ著作権関連については一度学んでおいて損はない気がしています。


加熱する映画館での携帯電話マナー

ファスト映画と並ぶもう一つ映画の害虫として存在するのが、上映中に携帯電話を開く輩たち。この話題が度々ネットニュースで取り上げられている印象がありました。長時間集中出来ないとか何か連絡があったら不安とか、なんやかんやほざくなら映画館に来なければ良いだけの話なのに。

私も今年だけで4~5回は遭遇したので、以前と比べて増加しているのは肌身を持って感じている嫌悪です。特に大作系ホラー(『クワイエット・プレイス/破られた沈黙』と『ドント・ブリーズ2』観た時に居たな)で出くわす確率高し。そもそもホラー映画を観に行くと、携帯電話以外でのマナーを守れないアホとも出くわす事が多いのは一体何なんでしょう。怖がらせるシーン以外興味のない稚拙な奴が多いのか?

ともあれ最低限のルールを守ってもらわないと迷惑するのは他人。マジで映画館のルールを義務教育の一環として美術の時間にでも叩き込んであげてほしいものです。

 

京王線における傷害事件

映画館でのルールを守らない人を腹立く感じる一方、怒りを通り越して呆れと恐怖を感じさせる輩も出現しました。

10月31日の夜、東京都調布市を走行中の京王線の車内で男が刃物で乗客を切りつけ、さらにオイルをまいて火をつけ18人に怪我を負わせる事件が発生しました。その犯行時の格好はDCコミックに登場するキャラクター ジョーカー(2008年公開の『ダークナイト』でしょう)に扮しており、類似するシーンのある2019年公開『ジョーカー』が取り沙汰される事になりました。

映画と事件が関連してしまう事象は今に始まった話ではないですよね。1997年に起きた酒鬼薔薇事件の犯行声明には『マッド・マックス』に登場するトーカッターのセリフが引用されていたり、海外に目を向ければ同じようにジョーカーに影響された無差別殺傷事件がありましたし、『タクシー・ドライバー』の影響から大統領を暗殺しようとする国家をも揺るがす事件が起きたりしています。

つまり映画には人の行動や思想に影響を与えるだけのパワーを持っているわけですが、これらの痛ましい出来事は作品に悪いイメージが付いてしまう可能性のある行為です。本当にその作品が好きならそんな泥を塗る所業を働くはずはないので、きっとその作品を好む自分が大好きという一種のナルシシズだと思います。こうした人が居るから、ちょっとアブノーマルな作品が好きだって言いずらいんだよ。激しく軽蔑します。

また、手荷物検査を必須や一車両に必ず一人は警備員が乗車するなど電車やバスの公共交通機関の警備強化はやむ負えないと思います。どれもコストが大きな壁になりそうですが。

 

マッドマックス関連

嫌なニュースが連続し如何わしいワードが並んでしまいましたが、ここからは明るくいきましょう。先ほど『マッドマックス』について触れたので、今年の動向を振り返っておきます。

今月の『ラストナイト・イン・ソーホー』の公開が楽しみなアニャ・テイラー=ジョイが主演を務めるスピンオフ作品『フュリオサ』の撮影が6月からオーストラリアでスタートしたようです。さぁさぁついにです!監督のジョージ・ミラー側とワーナー側で色々揉めていたのも影響したのか、やっと動き出しました。しかし23年の公開予定から24年の5月に公開延期が決定。あちゃ~1年の延期か。さらに出演が決まっていたヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世の降板も。今年だけで『キャンディマン』に『マトリックス』の新作出演と大活躍な方。『アクアマン』の続編とかもあるし忙しいのかな、残念です。

何がともあれファンとしては正座でその日を待つのみです。しかしそうなるとですよ。「怒りのデスロード」の続編と噂される「MadMax:Wasteland」はいつお披露目になるのかって話。そもそも製作されるかどうかの時点ですが信じてます。まだまだ先は長いなぁ。

その他「怒りのデスロード」の撮影で使用された車のオークション販売がオーストラリアで行われたという驚愕のニュースやトーカッターとイモ―タン・ジョーを演じたシリーズの柱であるヒュー・キース・バーンの追悼上映が立川シネマ・シティで行われたりと毎年話題が尽きない「マッドマックス」。マジ感謝。


怪獣祭り

24年公開とか製作されるか分からない作品という、まだ先話をしてもしょうがない感があるので今年の話に戻りますと、一つのムーブメントとして一部映画ファンのテンションを爆上げさせたのは「怪獣」ではないでしょうか。

まず今年の初め。ガメラ生誕55周年を記念した「平成ガメラ」シリーズ全3作品が4Kリマスターでスクリーンに復活。シリーズのラストである3作目『イリス覚醒』が1999年公開なので、なんと20年以上も前の作品になるわけですが、全くもって色褪せていないのが衝撃的でした。令和時代のガメラ、ガチで本気で観たいぞ。

そしてこちらは生誕67周年となるゴジラにも様々な動きがありました。7月に公開したハリウッド作品『ゴジラvsコング』を筆頭にアニメシリーズ『ゴジラS.P』の放送、さらに東京ドームシティで開催された展示会「大ゴジラ 特撮王国」に西武園ゆうえんちに新設されたアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」など話題がてんこ盛りの1年でした。私「ゴジラ・ザ・ライド」はまだ行けていないので、近いうちに行きたいですね。

ちなみに予告は去年?から出ていましたが、来たる『シン・ウルトラマン』の公開はいつになるのか?ウルトラマンの大ファンって訳じゃないですが、やっぱり気になるウルトラマンガイア世代です。

↓今年は怪獣関連の記事、書きまくりましたわ。

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濱口竜介監督の快進撃

そんな怪獣の如く世界の映画祭で暴れ回る日本人監督も忘れてはいけません。それが濱口竜介監督

今年のベルリン国際映画祭で3つの短編から成るオムニバス作品『偶然と想像』が審査委員大賞を受賞。さらに村上春樹の短編が原作で7月に公開をした『ドライブ・マイ・カー』は、カンヌ国際映画祭では長編コンペティション部門で日本の作品で初めて脚本賞を受賞。さらに、米国アカデミー賞の前哨戦の一つでもあるゴッサム・インディペンデント映画賞にて最優秀国際映画賞も受賞。来年の米国アカデミー賞国際長編映画賞部門にノミネートされるのはほぼ確実ではないでしょうか。

はっきり言ってヤバいです。去年のベネチア国際映画祭で共同脚本を手掛けた『スパイの妻』(黒沢清監督)の監督賞受賞を含めると、世界三大映画祭で何かしらの賞に絡むというポール・トーマス・アンダーソンばりの事をやってしまったのです。これさ、もっと世間は騒いでも良いでしょう。村上春樹ノーベル文学賞取れないニュースをやるんだったら(今年はなかったかな)、映画化した作品が世界を席巻していると。

『偶然と想像』に関しては今月公開ですね。演出法や演技について詳しい知識は無いですが、あの無感情さが作り出す独特な世界観は没入感があるので、映画館で観るのが楽しみです。私にとっては今年最後の映画館での邦画鑑賞になるかな?

 

最後に

その他、アレック・ボールドウェン主演映画の撮影現場で起きた誤射事故や雑誌『映画秘宝』の炎上沙汰も記憶に残っていますが、そろそろお開きにしましょう。

来年もきっと嬉しいニュースも残念なニュースもやってきます。いち映画オタクの端くれとして今後も追っかけていく所存です。それでは、ありがとうございました。

 

参考資料:

朝日新聞 2021年6月1日(火) 朝刊 24ページ目

朝日新聞 2021年6月30日(水) 朝刊 6ページ目

朝日新聞 2021年7月31日(日) beSunday 1ページ目

「名前」で客が呼べない外国映画 『DUNE/デューン』の不発が突きつけるもの|Real Sound|リアルサウンド 映画部

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「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の前日譚「フュリオサ」公開延期(映画.com) - Yahoo!ニュース

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