キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第43回:映画『ザ・ハント』の感想と考察 富裕層vs庶民の仁義なき戦い

前回、今週のお題で「最近見た映画」を扱った際、っと言っても2週間ぐらい前ですが、最後に『ザ・ハント』という映画を観に行くことを書いていたので、せっかくなので今作について語ります。

f:id:captaincinema:20201109111543j:plain

 

 

イントロダクション

目を覚ますとだだっ広い広場に大きな一つの箱。中には大量の武器と子豚が一匹。戸惑う12人の男女は各々武器を手にすると、それは富裕層が庶民をハントする「マナーゲーム」と呼ばれる殺人ゲーム開始の合図だった。

今回のアメリカ大統領選でも露わとなった2極化するアメリカ社会を痛烈に皮肉しているなどが理由で、一時は全米で公開中止になったらしいですね。っていうかこの時期に日本公開ってなかなかタイムリーなことやってくれます。

製作は『パージ』や『ゲット・アウト』などを手掛けてきたブラムハウスプロダクション。ホント物議を醸しそうなネタの作品を連発する製作会社です。

 

めくるめくバイオレンス街道

やはり今作の一番の特徴は痛烈なバイオレンスアクション。とにかく人体破壊パレードが序盤から炸裂します。ヒールで目ん玉ブッ潰しや串刺し、爆破による木端微塵などやりたい放題。隣に座っていた女性陣二人組なんて、そんなシーンで出てくるたんびにビクビクしてましたね。特に中盤辺りのズボンの中に手榴弾は悲劇。手榴弾を突っ込んだ男が「サヨナラ」と、まかさの日本語でキメ台詞を吐くのも不謹慎ながら笑ってしまいました。

たたでさえ洋画の公開が少なくなっているので、この手の作品は大変貴重だなと思いながら観ていました。

 

「差別はダメだ」と言う人が行う「差別」

ただグロいだでじゃない。今作のポイントは、やはり「狩る」側の人々の境遇です。彼らはいわゆる「リベラルエリート」と呼ばれる人たち。学はあるし、経済的な不自由もしていない勝ち組の方々。そんな人たちがなぜ殺人ゲームなんてやっているのか。

根本的な理由(これまた如何にも現代っぽいんだなw)は言わないでおきますが、要因の一つとしてあったのが、貧しい暮らしを送る白人層や環境問題を否定したりマイノリティやジェンダーのへの認識が低いような人々に対する差別的感情を抱いていたことがあったのです。それは「差別はダメだ!」と声を上げる人々が、差別主義者を差別するという連鎖が起きているということを示唆しているように感じました。

要するに「暴力」が「暴力」を生むのと同じで、「差別」が「差別」を生むのかもしれません。人間に感情や社会性がある限り暴力や差別は、残念ながら根絶やしにすることは出来ないのでしょう。「根絶」を目指すより「軽減」を目指すことが建設的なのかもしれないなんて、だいぶ作品とはかけ離れたことも考えてしまいました。

 

まとめ

 以上が感想と考察です。イントロダクションでも触れましたが、大統領選挙で一段と分断するアメリカ社会が見えた今のタイミングに公開なんて狙ってたんじゃないかと思ってしまうぐらいでした。

一応はバイデンさんの勝利ということですが、法廷闘争に縺れる見込みですし、分断が解消されたわけではありません。「右翼」と「左翼」といったように決して他人事ではないこの日本で今後の動向を伺いながら、この風潮を映画から感じ取ってみるのも悪くないと思います。

それでは、この辺でお開きです。ありがとうございました。