キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第139回:映画『沈黙のパレード』感想と考察 ※ドラマ「ガリレオ」シリーズについても

今回は現在公開中の映画『沈黙のパレード』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

東野圭吾の人気シリーズ「ガリレオ」の9作目にあたる同名小説の映画化。「ガリレオ」はドラマシリーズと劇場版2回の映像化がされています。ちなみに私「ガリレオ」シリーズの原作小説に関しては『容疑者Xの献身』は多分2回読み、『探偵ガリレオ』だかを随分前に読んだ程度。今作は真っ新な状態で観ました。

数年前から行方不明だったある女子高生が遺体となって発見された。警視庁の内海(柴咲コウ)によると、容疑者は物理学者 湯川(福山雅治)の大学時代の同期である草薙(北村一輝)が以前に担当した少女殺害事件で容疑を掛けられたものの、黙秘を貫いた事で無罪となった男(村上淳)だった。男は今回も黙秘を貫き証拠不十分として釈放。女子高生が住んでいた街に戻って来るが、夏祭りの日に変死体となって発見される。

福山雅治柴咲コウ北村一輝のお馴染みのメンバーに加え、今作では飯尾和樹戸田菜穂、𠮷田羊、岡山天音檀れい椎名桔平などが出演。さすがフジテレビの映画ってメンツです。グランドホテル形式の邦画大作といえばフジテレビなイメージは私だけかな?

※ドラマシリーズについて

前2作品の映画について語るのもありだったのですが(とくに2008年公開『容疑者Xの献身』は傑作だからね)、丁度映画公開を記念してか平日の昼に再放送しているドラマを改めて見たのでその話でもしようかと思います。なんせ私、とにかくこのドラマのファンで再放送があるとつい見てしまいます。

第1シーズン目が2007年、第2シーズン目は2013年に放送。先日放送された「禁断の魔術」も含めスペシャルドラマも幾つか放送されている結構ご長寿なシリーズです。基本的には帝都大理工学部物理学科の准教授 湯川学(福山雅治)にもとに新人刑事(第1シーズンは柴咲コウ、第2シーズンは吉高由里子)が事件の際に起きた超常現象の解明を依頼しに来るという1話完結型のドラマ。私が思う面白さは主に3つあります。

1.実証実験という名の種明かしの面白さ

恐らくこのシリーズの一番の醍醐味です。幽体離脱やテレポーテーション、念力といった胡散臭さたっぷりの現象を天才物理学者が鮮やかに立証していきます。特に実証実験を行う種明かしのシーンは好奇心と感心がピークに。何回見てもその巧妙さに唸らされます。これの影響で理系を志した人もきっと居たでしょう(なぜ俺は目指さなかったのか…)。なので、どちらかと言えば「犯人は誰?」よりも「なぜこんな事が起きたのか?」にフォーカスした稀有なミステリー作品になっていると思います。“現象には必ず理由がある”か、なるほどね。

2.湯川学というキャラの強さ

数あるキメ台詞や唐突に数式を書き殴って事件を解決に導く必殺奥義、頭脳明晰が故の変人キャラが織りなす会話といったキャラの強さがドラマの下支えになっているのは間違いありません。

しかもただの天才ではなく、スーツを着こなすイケメンっぷり。そりゃ福山雅治だし、結局一番格好いい男ってスーツがサラッと着こなせるだと思いますね。おまけにスカッシュやアーチェリーといった様々なスポーツもこなしてしまう身体能力も。それを物理の法則だなんだって考えながらやっているので、そこらの筋肉バ○とは次元が違います。天は二物を与えずは嘘のようなハイスペックっぷり。もはや神の領域です。

3.エンドロールの満足感

ここ最近の地上波のTVドラマで見ることがめっきり減ったエンドロール。これがあるのとないのとでは満足度が変わる気がます。しかもKOH+なるドラマの主役を張る福山雅治柴咲コウが、エンドロール曲を手掛けているという贅沢さがあります。

オープニング或いはエンドクレジットって意外とお金が掛かるみたいな話は耳にした事があります。まぁある種のミュージックビデオですし。視聴率の低迷で今のTV局にはその体力がないのかもしれませんが、出来れば制作して欲しいですね。

心苦しき沈黙の謎

さて、そろそろ本題に入りましょう。

相変わらずな湯川のキャラの強さや二転三転する真相、コロナ禍で遠ざかっていたダイナミックな祭囃子の喧騒を味わうことが出来きたりと面白いのは確かですが、感動するというより心苦しくなる作品でした。

個人的には同じく東野圭吾が手掛けた小説『さまよう刃』が頭を過りました。この『さまよう刃』では少年法が、そして今作は黙秘権が加害者へ断罪の機会を与えず、遺族たちを苦しめる様が描かれます。特に今作では遺族の苦しみ以上に北村一輝演じる犯人を逮捕する事が出来なかった刑事 草薙の苦悩が密に描かれていた印象です。だってあんな苦虫を噛み潰したような顔ばっかりの草薙さんは見たことないよ。冒頭で盛大にゲロってたし、PTSD予備軍って感じです。

このやるせないもどかしさが新たな悲劇を生む何とも心を締め上げられるような展開となっています。どうすりゃ丸く収まるんだって話。つくづく世の中には理不尽に出来てる部分があると思います。

何だか暗いことばかり言ってますが、誰かが誰かのためにという「愛」をテーマにした物語である点は前2作と同じ。そこはちょっとした希望なのかなぁ。「愛」と真面目に向き合った劇場版にはドラマシリーズの爽快さとは一味違った気品が感じられます。

まとめ

以上が私の見解です。

予想を超える程ではありませんでしたが、安定感のあるシリーズであることを証明付けられた気がします。また新作をやって欲しいですね。次は吉高由里子演じる岸谷も出てくる事を望んで(ワンチャン特別出演とかあるかなと思ったんだけど)。

ちなみに小出しにした『さまよう刃』は読んでて精神的にしんどくなる小説。映画化もされてたっけ?そこまで東野圭吾の小説を読んだわけではありませんが、作者史上最も衝撃的な作品だと思います。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第138回:よく見る「映画」論争を考えてみた

今回はちょっくら映画に関する雑談を。本ブログ始めてから2年半以上経ったわけですが、同時に始めたTwitterも2年半が経つ事になりました。映画についてのアカウントとして動かしているのでTLには映画についてあれやこれやが乱立。そんな中、同じテーマが取り沙汰され定期的な論争になっているように見受けられます。無論私は蚊帳の外から一幕をチラッと覗くだけのザ・外野ですが、ふと“自分はどうかなぁ?”と考えてみた4つの議題について適度にまとめてみようと思います。果たして貴方は共感?それとも反感?まぁ知ったこっちゃないですが。ちなみに結構偉ぶった内容になるので腹の立つの人はどうぞお引き取りを。どうせ私の駄文ばかりの三文ブログに付き合ったって何も得られませんよ。

 

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↑おぉ論争じゃかかってこいやぁ!シャキーン!

邦画はつまらない論争

まずはこちら、

「邦画はつまらん!vs そんなことない!」

これに関してはフィルムドキュメンタリー『ストーリー・オブ・フィルム』を語った際に扱ってました。なので同じ話をするのも野暮ったいので手短かに。

買い付け師というフィルターや制作費等の規模の違いがあったりするので相対的に言えば洋画で空振りをする確率が低いかもしれません。ただそれが全てではありませんよね。私自身、丁度2年前ぐらいのコロナ禍で洋画が減ったタイミングで面白い邦画に沢山出会う事が出来ましたし、視野を広げてみることや自分に合う/合わない作品かの選球眼を身に付けるのが大事だと思います。食わず嫌いが一番勿体無い。

それに世間の評判や風潮なんて気にしている内は生涯のベストには辿り着けないと思います。自分にとって大切な作品って自分でしか見つける事が出来ないので。

↓詳しくはこちら

captaincinema.hatenablog.com

エンドロール離席論争

お次は映画館における

「エンドロールで席を立つな、邪魔だ!vs 個人の勝手だ、自由にさせろ!」

私自身エンドロールは観る派です。余韻に浸るとか上映後のゆっくり明るくなってくる場内が好き等々理由はありますが、結局一番は“この部分も料金に含まれてるよなぁ”がデカい気がします。出たよ、貧乏性。

勿論離席する人の気持ちも汲み取れます。生理現象の格闘やスケジュールの都合、作品に対する憤慨だったり理由は十人十色。私も膀胱という名のダム決壊の危機を迎えエンドロール中に出た事ありますし色々あるさ、しょーがない。マナーや良識を守っているなら何ら問題のない話なので、わざわざ言い争うのもストレスだと思いますね。

ちなみに家で映画を観る場合はちゃんと座った状態でエンドロールを観る事がほとんどありません。垂れ流しの状態でお菓子や携帯に手が伸びたり。夜だと歯ブラシ片手に観るは恒例行事。家だとね、色々と目についちゃうんだ。だからこそ映画館という世俗から切り離される特異な空間でのエンドロールは大事にしたいものです。

ポリコレ論争

お次は、

「ポリコレが映画をつまらなくしている!vsそんなわけねぇだろ、差別すんな!」

ここ最近よく聞くようになった「ポリコレ」。正式名称は「ポリティカル・コレクトネス」、直訳だと「政治的誤りのないこと」になります。ざっくり言えば、人種や性別などの違いによる偏見や差別が含まれない中立的な表現や用語を用いることだそう。とりわけ映画では人種や性別における中立的なキャスティングで話題になる印象のワードです。私最初にこの文字列見た時、ハロプロか何かだと思いましたよw。ってな感じでこの辺に関しては明るくありません。

明るくないせいでしょうか。ちょっと配慮し過ぎの風潮に見える時もあると同時にマーケットの裾野を広げたり各企業のイメージアップを図るための戦略の一環かもしれないと思うこともあります。ただ一つ間違いなく言えるのは、ポリコレに配慮したから映画がつまらなくなるのではなく、原因はもっと根本的な部分にあるということです。

例えば登場人物のキャスティングに特化した点で言えば、注目すべきは人種や性別ではなくその役者の演技力やカリスマ性みたいな部分でしょう。って言うかそもそも魅力を感じないキャラクター設定であれば、それまでの話。ぶっちゃけ素人なんかの演技の善し悪しって大雑把だし、キャラ設定の方が重要だわ。中身が薄かったり観ている側を悪い意味でイライラさせるキャラはどんなに芸達者な実力者が演じたところでつまらないです。

丁度現在公開されている日本の小説を様々な人種の役者が演じる『ブレット・トレイン』や冒頭で性別は関係ないと打ち出す『さかなのこ』がいい例かもしれません。両作品ともポリコレの観点で語る事が出来そうですが、結局映画は面白いか面白くないかだけの話だと思うので、正直私はあまり気にしません。勿論、面白い/面白くない には個人差がありますが、要するにつまらないと感じる映画はどっかが破綻している可能性があるってことです。ポリコレのせいにするのは大抵の場合ミスリードでしょう。

ちなみに最近某ディズニープリンセスの映画の予告編があーだこーだ言われていますが、本編を観ていてない段階で良い悪しを言うのはあまり気が進みませんね。まぁ私自身はそもそもディズニーアニメーションの実写映画化は基本スルーしている人間なので、恐らく観ないと思いますが。すんませんねぇ。

↓『ブレット・トレイン』について詳しくはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

字幕派吹き替え派論争

最後は、

「洋画は字幕に決まってる!vs 洋画は吹き替えに決まってる!」

これに関しては「作品による」としか言いようがないですよ。

映画館で観る時は基本字幕。そもそも洋画の吹き替え上映って少ないので自ずと字幕が増えます。ただピクサー作品だけは吹き替えで観に行っている気がします。上映回数も多いのも理由ですが、子供の頃から吹き替えに慣れ親しんでいるというのもあります。同じように子供の頃から観ていて慣れ親しんだタイプの作品は割と吹き替えで観たくなります。例えばアーノルド・シュワルツェネッガーシルヴェスター・スタローン主演作品。あとは「ジュラシック・パーク」シリーズやサム・ライムの「スパイダーマン」シリーズもかな。どっちかに偏るのも当然個人の勝手ですが、自身のニーズに合わせて使いこなすのが上手い付き合い方だと思います。

まとめ

以上、各論争についてのモヤモヤした気持ちを勝手にぶちまけました。

それにしてもどうですか?この立場を明確にせず肯定も否定もしないスタイルは。これぞ我が文章マジック!(何言ってんだ)それは置いておいて、まとめとして映画のことのみらず意見の摩擦や貶し合いに対して常々思う事を書き記しておきます。

人間、思ったり考えたりすること自体は自由です。それがどんなに卑劣で差別的な事であったとしても各々の思想や価値観に制約を掛けるのはお門違いでしょう(制約ではなく教育は必要かもしれませんが)。大事なのはその思った事を言動に現すか否かです。ガキじゃないならコミュニケーションをする上であえて黙ることやオブラートに包んで表現する事の大切さは重々承知のはず。これさえ頭の隅に入れとけば差別や誹謗中傷、蔑み合いは多少軽減されそうなもんです。

とか言ってる自分がこうして思いをぶちまけているという矛盾に気付いたので撤収します。この辺でお開きです。ありがとうございました。

第137回:映画『ブレット・トレイン』感想と考察 ※原作小説『マリアビートル』についても

今回は現在公開中の映画『ブレット・トレイン』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

日本の小説家 伊坂幸太郎の「殺し屋シリーズ」第2作目にあたる『マリアビートル』のハリウッド映画化。とうとう伊坂幸太郎作品が国際的にメジャーになる日がやって来ました。やったぜぇ!っと書いている通り私、伊坂幸太郎の大ファンです。いつだかのブログでも書きましたが、小学生か中学生の頃の読書感想文の課題で『ゴールデンスランバー』を読んで以来定期的に読んでいる作家さん。家にある小説も伊坂幸太郎作品が多くを占めています。『ゴールデンスランバー』や『アヒルと鴨のコインロッカー』を始め日本ではいくつか映画化されてきましたが、ハリウッドで、しかもブラピという超ビッグスターが主役だなんて想像もしてませんでしたよ。

とにかく運が悪くあらゆるトラブルに巻き込まれる殺し屋“レディバグ”(ブラッド・ピット)。そんな彼が請け負ったのが、東京発の高速列車でブリーフケースを盗んで次の駅で降りるというシンプルな仕事。盗みは成功するも列車内には他の殺し屋たちも乗車しており、おかげで降車のタイミングをことごとく失っていく。そして終点の京都には殺し屋界隈でも恐れられる犯罪組織のボス、“ホワイト・デス“が待ち受けていた。

監督はデヴィッド・リーチシャーリーズ・セロンが最高に格好いいスパイ映画『アトミック・ブロンド』(2017年公開)は非常にシャープな作品でしたが、それ以降の『デッドプール2』(2018年公開)と『ワイルド・スピードスーパーコンボ』(2019年公開)は悪ノリ映画といった感じの方。『デッドプール2』は嫌いじゃないけど前作の方が良かったと思いますし『ワイルド~』の方はワイスピの本チャンメンツと喧嘩別れした挙句に撮ったよく分からない作品といった印象。今作も悪ノリ路線なんだよなぁ、伊坂作品とのマッチングは如何に。

主演のブラッド・ピット(1999年公開『ファイト・クラブ』)以外にはサンドラ・ブロック(1994年公開『スピード』)やブライアン・タイリー・ヘンリー(2021年公開『エターナルズ』)。日本からは真田広之(2003年公開『ラストサムライ』)や福原かれん(2016年公開『スーサイド・スクワッド』)が出演するめちゃくちゃ豪華な布陣。個人的にはアーロン・テイラー=ジョンソンが出ている事がお得ポイント。『キック・アス』(2010年公開)は俺にとっちゃバイブルみたいなもんだし。あぁダメ元でジャパンプレミアに応募すべきだったか…。

伊坂幸太郎作品について語ったのはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

まずは原作『マリアビートル』について

まずはこっちに触れなきゃ気が済まぬ。映画を観る前に改めて原作を読み直しました(何なら今は「殺し屋シリーズ」の1作目の『グラスホッパー』も読み直してるし)。

あらすじとしてはイントロダクションに書いた内容とほぼ同じ。息子の仇討ちを目論むアル中の元殺し屋「木村」。その木村の復讐相手で頭脳明晰なサイコ中学生「王子」。業界からも一目置かれる腕利きの二人組の殺し屋「蜜柑と檸檬」。ツキのない弱気な殺し屋「天道虫」の5人を中心に新幹線内で繰り広げる群像劇っぽいミステリー小説です。

この登場人物の中でひときわ目立つのが「王子」。14歳の顔の整った頭脳明晰な中学生男子で一見すると聞き分けの良い優等生に感じます。しかし心の奥には残虐なサイコパシーを隠し持っており、狡猾な情報収集力とマインドコントロールを駆使して、屈折した好奇心を満たすヤバい奴。おまけに「天道虫」とは違って強運の持ち主でもあるので面倒にも程があるキャラクターです。

この「王子」が殺し屋たちを攪乱させるのが物語の軸となっていると思いますし、彼のシーンで作家自身のメッセージが込められているように感じます。印象深いのが「なぜ人を殺したらいけないの?死刑制度や戦争はあるのに」と各キャラクターに尋ねるシーン。完全な悪党には見えないけれど殺しという非道な商売している殺し屋たちは、各々そのキャラに見合ったアンサーを語ります。この善悪グレーな聞かれると困る問いは読み手も考えさせられますし、作家自身の問いに対する模索も伺えます。

そんな絶対的悪の象徴として描かれる「王子」が映画ではどう扱われるのでしょうか。勿論伊坂作品らしいシュールでユーモアのある会話劇や散りばめられた伏線が鮮やかに回収されるストーリーも踏まえているかどうかも見所ではありますが。

これを踏まえて

結論から言うと物足りなかったです。まぁ客観的に観たらそれなりに楽しめるアクション大作だとは思うんです。伊坂作品らしいユーモアの雰囲気は捉えていたと思いますし、伏線回収も割としっかりしてました。ただ、先ほど語った「王子」についての描写が腑に落ちません。性別が男子から女子に変わったことは別にどうでも良いんです。そうではなくキャラの設定までもが変わり、かなり単純なキャラになっていました。動機が○○の娘だからって…違うなぁ。なぜ人殺しはダメなのか問題も全く触れらず。そのため原作での核となるテーマがごっそり抜け落ちていた印象です。

伊坂作品の多くが「王子」のようなどうしようもない悪や巨大な力に対して非凡な人々はどう立ち向かうのかという勇敢さが語られる事が多いとも感じていたので、ここを抜かれちゃうとね、どうしても物足りなさは否めませんでした。

原作云々のみならず、新幹線内という狭さと一般の乗客がいる環境を生かしたアクションがもっと欲しかったかし、各キャラの回想シーンが微妙にテンポ悪くしていると感じたのも理由ではあります。

ちなみに盛岡行きの東北新幹線から京都行きの列車に舞台が変わっていたことに関しては、しょうがないね。伊坂作品の多くが仙台を中心とした東北が舞台になるので、踏襲して欲しかったという思いはあります。でもがまぁハリウッド映画だし、京都の方が知名度あるのは間違いないので。静岡駅の治安の悪さと米原駅の山岳地帯の無人駅は面白かったです。

まとめ

以上が私の見解です。

まぁつべこべ言ってきましたが、まさかのペットボトル大活躍やカメオ出演遊び心、リボルバーのシリンダーコロコロ装填、そして麻倉未稀の「ヒーロー」が爆音で流れる中で繰り広げる真田広之のアクションシーンはテンション上がりました。って言うか真田広之は終始カッコ良かったな。等々好きなポイントはちょこちょこにあったのですが全体的にはもう一声といった感じです。

そしてとりあえず原作未読の方は読んで欲しいですね。映画ほどの派手な展開はないですが、読後にはきっと爽やかな気分を味わえると思います。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

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↑最後に前売り券の写真を。ハイセンスなデザイン、これは買っちゃうわな。

第136回:映画『NOPE/ノープ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『NOPE/ノープ』を語っていこうと思います。本作に対してはちょっと私の狂乱具合が尋常じゃない。うっかりネタバレをしそうってかネタバレなしで語れねぇぞ!それに事前情報がない方が間違いなく良い案件です。これからご覧になられる予定の方はどうぞお引き取りを。そしてこの記事に戻ってきてくれとは言わないので、一刻も早く観に行ってくれー!

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イントロダクション

平穏な田舎街に突如出現した巨大飛行物体を巡る人々を描いたSFホラー。

ロサンゼルス郊外で映画やCMの撮影で使われる馬の飼育とその牧場を経営する主人公のOJ(ダニエル・カルーヤ)。彼と妹のエメラルド(キキ・パーマー)は、突然空から異物が降り注いだ謎の現象で父親を失って以降、牧場の経営難に苦しんでいた。ある夜馬が脱走し、その追跡をしていたOJは空に巨大な飛行物体を目撃。それは父が亡くなった時に見たもとの似ていた。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すれば一攫千金が狙えると画策するが、彼らには想像を遥かに超えた「最悪の奇跡」が待ち受けていた。

監督はジョーダン・ピール。『ゲット・アウト』(2017年公開)と『アス』(2019年公開)で人種差別や格差社会をコメディ風ホラーで描いてきた鬼才。個人的にはめちゃくちゃ好きってわけじゃないですけど、コンスタントに良い作品を撮る監督といった印象です。そして撮影監督には『インターステラー』(2014年公開)や『TENET/テネット』(2020年公開)を手掛けたホイテ・ヴァン・ホイテマ。なるほど、だからあんなキレキレの映像だったのか。

主演はダニエル・カルーヤ。ピール監督の『ゲット・アウト』でも主演を務めていました。その他『ボーダーライン』(2015年公開)や『ブラック・パンサー』(2018年公開)など話題作に出演。そういえば今年アカデミー賞助演男優賞を獲得した『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』(2021年公開)はまだ観てないんだよな、観なくては。

またTVドラマ『ウォーキング・デッド』でお馴染みのスティーブン・ユァンを出演しています。『ミナリ』(2020年公開)に引き続き良い作品に出てますね。そういえば『オクジャ』(2017年公開)にも出てたっけか?

テーマがあまりに秀逸

ある理由から上を向いて~歩こ~う~♪とは歌えないこの映画。あまりにも面白かったので私、興奮のし過ぎで泣きそうになりました。ちょっと舐めてかかるものではなかったな。何がそんなに面白かったかと言うと描かれるそのテーマ性です。

まず話の軸となるのが巨大な飛行物体 UFOの撮影に奔走する兄妹。“何としてでもヤツを撮ってやる!”という胸アツな展開を楽しめるのは勿論なのですが、「史上初の映画」についての話が絶妙なスパイスとなります。この話は序盤に主人公の妹エメラルドから語れるもの。私も全く知りませんでしたが、エドワード・マイブリッジという写真家による活動写真が映画の始まりなんだそう。そしてそこに映るのは馬に乗った黒人なのです。つまり初めて映画に、いや映像に登場した人物は黒人だったのです。しかしその名はあまり世間的に知られてはいません。当時の欧米社会じゃ有色人種や女性が歴史に名が残っていることがほとんどありません。今なお残る人種差別がより顕著だったから…。この話を踏まえておくと、人類で初めて映画に映ったのが黒人騎手であったように人類初のUFOと映るのは黒人騎手となるか否かという展開になってくるわけですね。いや~アツいぜ、さながら弔い合戦かのよう。このような映画を「撮ること」そのものがギミックとなっていることがめちゃくちゃ面白いです。

さらに追い打ちをかけるのがチンパンジーのエピソードです。スティーブン・ユァン演じるカントリーテーマパークの経営者は過去に子役として活躍しており、人気を博したホームドラマ「ゴーディ 家に帰る」に出演していました。しかしこの撮影中にチンパンジーのゴーディが突如白人出演者に襲いかかる事件が発生してドラマは打ち切りとなっていたのです。この過去による“トラウマ”が彼の行動原理と見受けられますが、このシーンには昨今耳にするようになったアジア系ヘイトの風刺(イエローモンキーってやつですね)と同時に「観られる」側が一方的に搾取される事に対して我慢ならない意味合いも込められていると思います。バカにされて笑われたりステレオタイプに表現されるのはもううんざりだと。時にオーディエンスは知らず知らずうちに差別や偏見に加担しているかもしれない。存在自体に加害性を秘めているってことなのでしょう。

つまり映画のみらず全てのメディアコンテンツが本作の標的なのです(ゴシックサイトの記者も登場しますし)。誰もがメディアを「送る」側にも「受け取る」側にもなった時代。両サイドの間に横たわるあやふやな垣根を炙り出す事をUFO映画でやるという驚異の離れ業をやっていたと感じました。なんてこった!

このようなテーマを点と点だった話が徐々に繋がっていきそれでも謎が残るストーリーで奇天烈に語られます。お見事と言わざるえないよ、脱帽です。

またダニエル・カルーヤの「目」の演技も非常に素晴らしかった。序盤は死んだ魚の眼をした頼りないお兄さんといった感じ。そもそも会話する時に人と目を合わせようとしません。それが飛行物体を追うと共に目に力が籠ってきます。そしてラストの妹との目線で合図し合うシーンに差し掛かる時には、あの自信のない眼差しはどこ吹く風か。頼れる兄貴に様変わりです。あぁやっぱり役者さんって目が大事な気がするわ。

 

まとめ

以上が私の見解です。

自分で書いておきながらまとまってる気がしません。感じたことや語りたい内容は沢山あるのに思いが先行して上手く言語化できんな。

ともあれ鑑賞前は『未知との遭遇』(1977年公開)や『サイン』(2002年公開)っぽいのかなと思ったら似て非なるものでした。寧ろ社会風刺もちらつかせながらの恐怖と笑いの絶妙なバランス感覚を保つというクセの強さが炸裂。ジョーダン・ピール監督の現状最高到達点だと思いますし、SFホラーの新たな大傑作が降臨したのです。ぶっちゃけベースとなる話はバカらしいですけど、これを良い大人たちがクソ真面目に一級の映画に仕立てるってのが至高の極みなんです。そうだよ、こういう作品が観たくて映画オタクやってんだ!嗚呼…やっててよかったわ。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第135回:映画『サバカンSABAKAN』感想と考察

今回は現在公開中の映画『サバカン SABAKAN』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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↑このポスター画像、遠目で見るとアンディ・ウォーホールのスープ缶に見える。

イントロダクション

2人の少年の冒険と友情、それぞれの家族が描かれた青春映画。サバカンって栄養価が云々で一時期流行りましたよね。私も好きですよ、サバカンっていうより鯖自体が。焼き魚じゃ一番好きかもしれないあの脂のノリがうまいんですよね。〆鯖も良き。

舞台は1986年の長崎。斉藤由貴キン肉マン消しゴムが好きな主人公の小学5年生 久田(番家一路)。その年の夏休みある日、家が貧しく同級生からバカにされていた竹本(原田琥之佑)にイルカを見に海へ行くことに誘われる。最初は嫌々だった久田だが、様々なトラブルに見舞われながら徐々に竹本と友情を育んでいく。

主演の子役二人は映画初出演でしょうかね。お見受けした覚えはないな。また大人になった久田を草彅剛が演じています。草彅剛と言えば現在Disney+の配信とNHK BSプレミアムで放送のドラマ『拾われた男』で仲野太賀演じる主人公の兄ちゃんを好演してますね。“俺もデニーロみたいになったるわ!”って。

 

いざ真夏の大冒険へ

本作はずばり『スタンド・バイ・ミー』(1986年公開)的な王道な青春映画。と言っても私自身『スタンド・バイ・ミー』を観たのが随分昔。ぼんやりとしか覚えていませんが、個人的にはそこまで感動しなかった気がします。その点本作は、長崎の田舎という日本らしい風土感や昭和な匂いのするきっと今なお何処かに存在してそうな温かい家族が描かれているので、日本で生まれ育った人なら海外のジョブナイルものよりも感動出来るように思えました。

私自身同じ年代に生まれ育ったわけじゃないですし、同じような田舎で過ごしてきた人生でもありませんが随所随時に共感ポイントがあったのも懐かしさが高まる要素。特におっ〇いのくだりは分かるわぁ~。丁度小学生5年生って性を意識し始めるお年頃。だからなのか無意識のうちに視線がそこにいってしまうというか。釘付けになってる自分に自分で気付いて耳真っ赤みたいな記憶も蘇ります。まぁそれ以前にちょっと年上のお姉さんとの交流ってのがドキドキするんですよね。他にも100円玉を拾えば(よく自販機のお釣り取るとこに手突っ込んでたな)貯金箱へ直行だったし、竹本君みたいな年中半袖半ズボンの少年もクラスにいました。あと金〇ポリポリもしょーがないよ、ぶら下がってんだからw。

ちなみに真夏の大冒険を終えて家路に着いた“またね”を言い合うシーンがありますが、うぉー!これまた分かってんな!あの小学生特有の別れ方、それが私は好きなんです。よく夕方になると友達同士での下校であろう小学生たちが金輪際会えないのではないかレベルの別れをするのを見かけます(今はテレワーク中なので外から聞こえてくる)「じゃあねぇぇぇー!バイバ~イ!」を遠くなってもいつまでも精一杯叫び合う光景。きっと明日も会うだろうにと思うと妙にエモーショナルになります。いや~分かってくれる人はきっと私以外にもいるはず。

 

まとめ

以上が私の見解です。

子役二人の豊かな表情は勿論ですが脇を固めるメンバーもいい演技をしていました。特に尾野真千子演じるおかあちゃんが良い。観ていて清々しかったです。山頂からの絶景や人の少ない海の見える駅など映像も非常に綺麗ですし、この夏万人にオススメ出来る作品だと思います。

そういえば主人公は作文が上手でクラスでよく褒められる設定でしたが、私も割とそのタイプだったんですよ。小学生だったか中学生だったかの頃に同じようなシチュエーションがあって一瞬話題の人になったんですけど…。それだけでクラスの中心人物になるはずもなくすぐさま隅っこで生きるものに戻ってましたが。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第134回:SF映画についての適当な雑談

いやいや、どうした?ここ最近ブログのアクセス数が未だかつてない数字となっています。どうも『女神の継承』の感想アップして以降なんですよね。へぇー需要あるんだ、大したこと語ってないんですけどね。まぁそんな事は置いといて、今週のお題「SFといえば」というはてなブログのお題を見かけたので、久方ぶりに便乗してみようかなと思ったら随分前に終わってたなと思う今日この頃。このお題の更新日っていつなんだろ。まぁ別にいっか。ちょっと沸々と思い付いた事があったので色々なSF、というかSF映画をなんの脈拍もなく適当に語っていこうと思います。

 

映画の中でSFが一番人気?

まず「SFといえば」の問いに対して思ったのが、“一番人気あるジャンルでは?”ということ。特に映画のジャンルにおいてはSFが何だか一番人気でしょう。

SF映画で真っ先に思い付く「スターウォーズ」シリーズは当然SF。往年の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや現在新作が公開している『ジュラシック』シリーズもSF。そしてMCUを筆頭とした今をときめくアメコミヒーロー映画だって多くがSFのジャンルです。そりゃ視覚映えと妄想力を搔き立てる設定という映画における必須ともいえそうな要素がこのジャンルには絶対的に含まれるわけですからね。

ちなみに私の好きなSF映画で言えば『インセプション』(2010年公開)『ブレードランナー』(1982年公開)『メッセージ』(2016年公開)と割と硬派な作りのものが好きです。ちょっと視点を変えた『her/世界でひとつの彼女』(2013年公開)もなかな良いです。

こんな話をしていると、邦画におけるSF映画の代表作って何だろうなという疑問も浮かんできました。『散歩する侵略者』(2017年公開)や『ARC/アーク』(2021年公開)が思い付きましたが、個人的嗜好が強いよなぁ。なんてこと書いてたら忘れちゃいけないものがありました。『ゴジラ』シリーズですよ。今やハリウッドでの活躍が目立つ日本が生み出した怪獣王。『ゴジラvsコング』の続編が楽しみなところです。

 

ターミネーター ニューフェイト』のはなし

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SF映画の最近の話題で言えばコレは外せませんよ。こちらもSF界の往年の名作である「ターミネーター」。その6作目にして『ターミネーター2』(1991年公開)の正当な続編といわれた『ターミネーター ニューフェイト』(2019年公開)について。

つい先日監督をしたティム・ミラーが本作を「大失敗だった」と発言。“えっ監督が否定するほど酷かったかな?”と思い改めて観直してみましたが、いやいやかなり面白いですよ。確かに冒頭であのキャラクターを退場させるのは大層な爆弾投下でしたが、こういう世界線もあるという意味合いでは全然アリだと思います。

そんな事よりも登場する女性キャラたちが超絶カッコイイのがポイント。今回の人類側として戦うマッケンジー・デイヴィス演じるサイボーグのグレースは長身を活かしたダイナミックなアクションが最高にイカしてます。鉄筋スローイングやチェーンブン回しシーンやウルトラマンの如き短期決戦型ってのも萌えます。そして12年ぶりの復活となってリンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーも最高です。だってあの登場シーンですよ。車で颯爽と現れ、ドラムマガジンセミオートショットガン(Vepr12か?)を乱射した挙句LAWのロケランをカマすという高火力過ぎる流れ。そして例のキメ台詞からのスーパーショーティーを手に…いや反則だわ。この二人が強力なので肝心のシュワちゃんの影が薄まっているのは一理ありますがそれでもええわ。

彼女たちと対峙する敵キャラに関しても2作目と3作目の良いとこ取りしつつ新しいタイプのチートキャラになってましたし、ポーカーフェイスの気味の悪さも冴えてました。

興行的に苦戦をし当初予定をされていた新たな3部作が頓挫したらしいその観点でいえば失敗なんでしょうけど、少なくとも『ターミネーター ジェネシス』(2015年公開)よりは遥かに面白いと思います。あれはねぇ…何だったんでしょうね。

プレデター:ザ・プレイ』のはなし

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さらに最近観たSF映画で言えばもう一つ。SF映画界のビックスター プレデターさんの最新作です。こちらはまさかまさかのDisny+限定配信。おいディズニーよ、「プレデター」シリーズぐらい映画館で公開しなさいよ。

今回のプレデターさんは1700年代のアメリカへ殴り込み。相手はコマンチ族の戦士や白人狩猟軍団の皆さんです。主役は「プレデター」シリーズで初の女性。ロープ付きハチェットをぶん投げまくる生粋のハンターで追跡能力や状況判断力も高いプレデターにとっては好敵手。ただそのスキルを「女性」という理由で仲間に認めてもらえていないという状況が現代的なテーマ性となっています。

そして時代に合わせたのかプレデターの装備も魅力的。いつものプラズマランチャーは3点バーストの矢みたいなのに仕様変更。そりゃ弓矢やフリントロック式の銃相手にプラズマランチャーだったら無双状態ですもんね。斬殺にも利用できる開閉式のキャプテンアメリカよろしくなシールドも良かったです。

見せ場に入るまでの序盤が少々長かったり、プレデターお家芸であるステルス機能の魅せ方・使い方があまり上手くない気がしましたが、1987年公開の1作目へのオマージュ満載な楽しい作品となっていました。「血が出るなら殺せるはずだ」の名言登場には思わず拍手しちゃいましたし、やっぱり映画館で観たかったなぁ。

まとめ

以上、旬な作品と共に映画を語ってきました。

さて今年公開のSF作品がどんなものが控えているのでしょうか。直近だと『NOPE/ノープ』がどうやらジョーダン・ピール版『未知との遭遇』って感じなのでとりあえず期待ですかね。あとは何だ?あんま把握してないけどそんなにザ・SFみたいな作品は無いのかな?

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第133回:映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意。そして今回は非常に辛辣な内容が予想されます。本作がお好きな方や気分を害される方はどうぞお引き取りを。

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イントロダクション

現代に蘇った恐竜をテーマにした言わずと知れた大ヒットシリーズ「ジュラシック・パーク」シリーズの6作目にして最終章。「~パーク」から「~ワールド」に名称変更してからは3作目にあたります。ちなみに私、子供の頃は大の恐竜好きだったこともあり「パーク」3部作は思い入れの強い作品。何回観たんでしょうね。また2015年に公開した「ワールド」も結構好きでした。現代的なスケールアップをしつつも何より開園している状態に心が踊ったものです。しかし前作にあたる2018年公開の「炎の王国」はまったく好きではなかった。あんな滑稽な展開あります?って感じで今思い出してもモヤモヤします。

ジュラシック・ワールドのあった島は噴火で壊滅。救出された恐竜たちが後先考えずに世界中へ解き放たれた珍事から時が流れ、人類は恐竜との共存の道を模索していた。恐竜の保護活動を行うオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、世界中に恐竜が蔓延る元凶を生み出したクローンの娘を保護しながら、人里離れた地で暮らしていた。そんなある日、子どもをつれたヴェロキラプトルのブルーと再会。しかし、その子どもが何者かに誘拐されてしまう。

クリス・プラットブライス・ダラス・ハワードに加えて、サム・ニールローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムが演じる「パーク」シリーズに登場したキャラクターの復活も話題となっていました。今年日本で公開となった『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』&『ゴースト・バスターズ/アフターライフ』といい何だか最近過去メンバーが久しぶりに登場するのが流行っているようですね。それはそれで嬉しいのですが…。

最終章が「蝗」でいいの?

早々に毒のある記載が散りばまっていますが、まず訂正をします。イントロダクションで書いたあらすじは半分嘘でした。

今回の物語の軸となっているのが、白亜紀のDNAだかでビッグサイズと化しか蝗(イナゴ)。蝗の群れは深刻な食料危機を世界中にもたらす事になります。そんな蝗の進化に関与している学ばない人類代表な大企業の打破とそのバカ企業が蝗研究に利用しようと誘拐した前作で新手のバイオテロを行ったバカ娘と“ブルー”ことラプトルの子供奪還というのが主人公たちの行動指針となります。あれっなんか忘れてない?

そう、人類と恐竜は共生できるのか問題については何処へやら。蝗たちの主張が激しく恐竜は単なる賑やかしで物語の直接的なテーマではなくなっていました。おかげで一体自分は何を観に来たのか疑問に思ってしまう始末。中盤あたりの誘拐犯とのチェイスシーンは別に求めてないですし(2007年公開の『ボーン・アルティメイタム』っぽいシーンがあってちょっと面白かったけど)最後の最後にナショジオみたいな映像を見せられて“共生できます!”って意味わかんねーよ。

さらに大作映画でやりがちな薄味の恋愛模様も見せられるわ、新キャラおろかオリジナルメンバーにすら魅力的な場面のない印象だったりと散々たるもの。随所にオマージュシーンを入れていくらファンサービスをしていても「~パーク」の3作と「~ワールド」1作目にあった興奮や好奇心を得ることはありませんでした。これが最終章ですか…率直に言って撮り直した方が良いレベルだと思います。よくこんな脚本にゴーサインが出たもんだよ。

まとめ

以上、容赦なく殴らせて頂きました。

まさかの陳腐なイナゴディザスタームービーで最期を迎えた残念過ぎるフィナーレ。レジェンドたちのカムバックもどこか虚しく映ります。

蝗についてなら本作を観るより『バッタを倒しにアフリカへ』って新書の方をオススメしておきます。サバクトビバッタとバッタ研究家のアツき戦いが新書らしからぬ文体で綴られた非常に面白い本。昆虫嫌いな私でもサラサラ読めました。

あっでもディロフォサウルス君は相変わらず良い仕事してましたね。一番の功労者を観る価値だけはあるかも。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。