今回は現在公開中の映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
実業家にして先日アメリカ大統領に再任したドナルド・トランプの若き日を描いた作品。どうやらドナルド・トランプ本人はこの映画の公開を阻止しようとしたとか。大統領就任前に公開して良かった、今だったら大統領権限なんかを濫用して映画館に圧力掛けて中止にしてそうだし…。
時は1980年代。実業家のドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は不動産業である父の会社が政府に訴えらている事で破産寸前にまで追い込まれていた。そんな中、高級クラブでトランプが知り合ったのが弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)。彼は政財界とも繋がりが深く、勝つために手段を選ばない事で悪名を馳せていた。彼の助けを受け、そして成功者になるためのある3つのルールを会得したトランプは、徐々にコーンを凌ぐ怪物へと変貌していく。
監督はアリ・アッバジ。『ボーダー 2つの世界』(2018年公開)や『聖地には蜘蛛が巣を張る』(2022年公開)を手掛けているイラン系デンマークの方。やっぱりアメリカ人監督は避けたのかな?『聖地には~』はなかなか面白かった記憶があります。
主演はセバスチャン・スタン。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年公開)や『パム&トミー』(2022年公開)といい、クセのあるしょーもない感じの男ばっかりじゃんw。マーベル作品群でのウィンターソルジャーは一体何なんだ?…って考えみるとウィンターソルジャーも一筋縄ではいかないキャラですもんね。きっとこうした役を好んで演じているんでしょう。それにしても滅茶苦茶トランプに似てたよなぁ。演技は勿論、メイクチームの技術力も天晴です。
トランプにだって弱さはあるさ
再任して早々にパリ協定やWHOからの離脱、各国に高い関税をちらつかせ、犯罪者への恩赦の一方で移民やLGBTQ+を切り捨てるようなトンデモ大統領令を乱発している最中ですが、はっきり言いましょう。私はドナルド・トランプが嫌いです。去年の選挙結果には言葉を失いましたし、その際にトランプ・トレードと言って浮ついてた人達にも辟易しました。弱者を蹂躙した上に成り立つ株価上昇って不愉快だと思いませんかね?そもそもトランプのような敵が味方か、勝者か敗者の二元論しかない人が人の上に立って指揮を取るのは危険な事だと思っています。そんな彼の価値観の源泉は一体何処にあるのかを解き明かそうとする意欲作でした。
師匠である(本人の口からは語ってない?)ロイ・コーンが掲げたマッカーシズムとその当時のレッド・パージ的な方法論を丁寧に受け継ぎ、ネット社会により増幅させた存在がトランプ。そんな彼の価値観が50〜60年代の「強いアメリカ」に立ち返る事が、混乱する社会情勢や景気の回復の打開策だと信じる国民とマッチしてしまったのが現在のアメリカではないかと解釈出来ます。
しかし、いつだって強く居られるのが人間ではありません。師弟とのすれ違い、埋まらない家族間の溝、冷めていく夫婦関係、それらによって生まれる空虚な孤独…。いくら勝利や強さを声を大にして語っていても人間には必ず弱さがあるというのがこの作品のテーマだったのかもしれません。そんな人間たちで構成されているんだから国にだって弱さがあるのは当然です。
そんな無理すんなって。負けや弱さを認められる人間の方が俺は強いと思うよ。
まとめ
以上が私の見解です。
こうなってくるとロイ・コーンの人生も気になってくる。何故あれ程まで冷酷な極右になったのか?調べてみると、どうやら『ロイ・コーンの真実』(2022年公開)というドキュメンタリー映画があるらしい。アマプラかぁ~DVD出てなの?
という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。