今回は旧作映画、というかシリーズを語ります。つい先日、日本では劇場公開がスルーとなってしまった『死霊のはらわた ライジング』がNetfilxで見放題となりました。で、それを観るついでにこの際だからと観ていなかった2013年度版のリメイク作品を観たんですよ。これがまぁー大興奮でして。そんな興奮が勢い余って他シリーズ作品も観たので、ざっくりまとめて語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。
↑こちら2013年度のポスター。赤黒い!
『死霊のはらわた』(1981年)
とりあえず1981年公開のオリジナル版について語らないといけませんね。こちらは私自身3~4年前ぐらいに観ていたのですが、シリーズの元祖にしてスプラッタホラーの草分け的な作品です。
休暇で森のロッジにやって来た5人組男女。そのロッジの地下で“死者の書”なるものを発見する。興味本位で探っていると一緒に保管されていたテープレコーダーに録音された呪文によって死霊が復活してしまう。死霊に乗り移られた者が他の者を襲い始める中、主人公のアッシュ(ブルース・キャンベル)は何とか脱出を試みる。
悪魔とゾンビの合わせ技といった欲張りセット。この時点でナイスアイディアですが、主人公の男とその妹さんに主人公の彼女&友達とその彼女さんという座組で殺し合いをさせるというエグい構図も凄い点でしょう。身近な人を襲うのはゾンビ映画の仕掛けではありますが、よりその仕掛けの不条理さにフォーカスを当てたのが特徴だと思います。
監督はサム・ライミ。本シリーズは勿論、後にアメコミ映画ブームの火付けといっても良い『スパイダーマン』(2002年公開)も手掛けていきます。この監督も映画史を語る上では外せないですね。
『死霊のはらわた』(2013年)
では今回のきっかけとなった本題です。
シリーズを通してこの2013年度版が一番好き。ストーリー自体はほぼオリジナル版通りなんですが、とにかくやりすぎ度が強すぎます。まず登場キャラたち、みんなフィジカル強い。登場人物の関係性もオリジナル版と同じですが、主人公がオリジナル版でいう妹さんのポジションになっています。そんな彼、彼女たちはセルフで腕をちょん切ったりネイルガンで滅多撃ちにされても簡単にはくたばらずに頑張ってます。とくに主人公のお兄さんなんて凄いですよ。左腕は被弾、右腕はカッターで滅多切り、足には釘ぶち込まれる有様。普通のホラー映画じゃとっくのとうに死ぬダメージ量を負いながらも立ち上がるという強靭さを見せつけます。妹を救いたいという一途な思いがそうさせているのかと思うと泣けてきます。
そしてラストがザ・ケレン。燃え盛る小屋と降りしきる血の雨、そこで真っ赤なドレスの女性がチェーンソーを振りかざす…画力強すぎ最高。これは一回観たら嫌でも忘れないやつです。思えば『ハロウィンKILLS』(2021年公開)の冒頭はこのオマージュだったのか?
ちなみに監督はフェデ・アルバレス。この後サイレントジジイ映画『ドント・ブリーズ』(2016年公開)を手掛けてます。そして現在は今年公開予定の「エイリアン」の新作映画を仕掛中。当初私の好きなニール・ブロムカンプ監督が手掛ける予定だったエイリアンの新作。ブムロカンプ版が無くなったのは残念ですが、アルバレス監督ならやってくれそうな気がします。
『死霊のはらわた ライジング』(2023年)
それではお次は最新作2023年度版について。
ストーリー自体は1981年or 2013年の前日譚にあたり、舞台は森のロッジからおんぼろアパートに変更されています。ただ本シリーズの醍醐味である友人家族同士の殺し合いというルールは変わりありません。しかも今回は死霊の乗っ取られた母親が自身の子供たちを襲うという今までのシリーズ以上にショッキングな構図となっています。それでもシリアスさは感じずカジュアルに観られるのがこのシリーズが持つ魅力でしょう。
ただアクション味が強く気味の悪さはさほどなし。ロッジほどの閉塞感もありません。まぁそれほどホラーが得意でない方には観やすい作りなのかとは思います。
『死霊のはらわたⅡ』(1987年)
最後にシリーズ2作目と3作目をちょっと。
オリジナル版続編にあたりますが物語的にはリメイクに近い内容です。1作目から6年の間に映画業界における技術向上があったのでしょう。81年の時点では出来なかった事、やりたかった事が具現化出来るぞ!ってなったのかも。
前作と同じく主演はブルース・キャンベルで、体を張った一人芝居がほとんどの時間を占めるおもしろホラーとなっています。カメラワークもCGもやりたい放題のフルスロットル。この一人芝居シーンが素晴らしいせいか、途中参加のメンバーが合流してからストーリーが失速するように感じました。
ちなみに『死霊のはらわたⅡ』の続編にあたる『キャプテン・スーパーマーケット』(1993年公開)は流石に別個な作品な感じはします。確かに2作目からの直接的繋がりはあれど、あまりにもジャンルが異なり過ぎてます。もうホラーじゃなくてファンタジーアクションだもの。まぁ「マッドマックス」も1作目から2作目で急激に作風変わるし、ありっちゃありなんですが。
まとめ
以上、全シリーズのざっくり見解でした。
だいたいリメイクやスピンオフ作品って何だかなぁ~と消化不良な気持ちになる事も多いですが、全作品面白いシリーズって珍しくないか?まさに”Groovy”なシリーズです。恐らく全ての作品に生みの親 サム・ライミが製作や脚本だったりに必ず携わっているのが大きいのかもしれませんね。いわば品質保証です。
そういえば『死霊のはらわた リターンズ』ってドラマシリーズもあるのか。これもブルース・キャンベルが主演だし観てみっか。それにPS4かPS5にゲームもありますよね?オンライン系じゃなきゃ即買いなんだけどなぁ…。
ということこの辺でお開きです。ありがとうございました。