キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第221回:映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

米国領サモアのサッカーチームが起こした奇跡を基にしたスポーツコメディ。この実話はどうもドキュメンタリー映画にもなってるらしいですよ。

米国領サモアのサッカー代表チームは、2001年のワールドカップ予選でオーストラリアに対し0対31の歴史的大敗を喫した過去を持ち、以降1ゴールも決められずにいた。試合に勝てなくとも攻めて1ゴールは欲しい…目標のため弱小チームとアメリカから左遷されて来たトーマス・ロンゲン監督(マイケル・ファスベンダー)の挑戦が始まる。

監督はタイカ・ワイティティ。「マイティ・ソー」シリーズ2作を手掛けた事で一躍人気者となりました。1作目(ケネス・ブラナー監督)とは路線変更したのが、ウケたという事でしょう。また『ジョジョ・ラビット』(2019年公開)が面白かったですね。ヨーキーが良い。

主演はマイケル・ファスベンダー。直近ですと、プロなんだろうけどどっか抜けてる殺し屋を演じた『ザ・キラー』(2023年公開)がありました。まぁあとは『イングロリアス・バスターズ』(2009年公開)じゃないですか。指の出し方という凡ミスでああなっちゃうんだからさ。

みんなで負けよう

最初に言っちゃいますけど、出来自体はそれほど良い作品ではないと思います。とにかくコメディ演出がしつこい。天丼芸が上手くいってないように見えましたし、このしつこさが作品全体をテンポ悪くしている気もしました。かといってスポ根映画程ガツガツしていないので、カタルシスもそこまで感じることのないフワッと緩い印象を受けました。

でもね、観ていて悪い気はしなかったですよ。妙に響くシーンがあったので。それが終盤、トンガとの試合で前半戦のおそまつな内容に憤慨した監督はハーフタイム中に試合放棄しようとします。そこにタビタさんだったかな?米国領サモアのサッカー協会の会長をやってる方なんですけど、めちゃ良いこと言うんですよ。”勝ち星おろか1点すら無理なら負けよう、一人で負けるんじゃなく一緒に負けよう。みんな幸せであればそれで良いんだ”ってなことを。あぁなるほど、当然ちゃ当然だけど人生で大事なのは勝ち負けじゃなくて自分が幸せか否かだよな。

同時に勝利ばかりが正義と思われがちな昨今のスポーツ業界へのアイロニーにも感じました。国の代表だとかスポンサーがどうとか、そうした政治/経済的な要素が絡んでいるせいで時におかしな方向へいってしまうスポーツイベント。しかしスポーツなんて所詮はゲームです。選手も観客も楽しんだもん勝ちなはずです。そんな当たり前だけどつい忘れてしまいそうな事を思い出させてくれるのが、物語の力だと改めて思ったりもしました。

まとめ

以上が私の見解です。

そんな響くシーンは去ることならが、実は私が目的にしていたのがシヴァタウをスクリーンで拝むことでした(米国領サモアでも呼び名は同じで良いのかな?)。シヴァタウはサモアの士気を鼓舞するための舞踊(ウォークライ)。ラグビーのW杯で試合前に披露されるので知られ、ニュージーランドの”ハカ”が有名でしょう。私これが好きでして。ラグビーW杯の時期はYouTubeに各国のウォークライがアップされますけど、そればっか観て肝心の試合はあんまり観てないというね。だって格好いいじゃないですか。なのでそれが観れただけでまぁ元は取れた。終盤のしっかり格好良いのと冒頭の統率が取れていないショボいバージョンもあって良かったですよ。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。