キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第196回:映画『グランツーリスモ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『グランツーリスモ』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

f:id:captaincinema:20230927191949j:image

イントロダクション

日本発のレースゲーム…いやレーシングシミュレーターである「グランツーリスモ」から生まれた実話を基にしたスポーツドラマ。

日産自動車の海外事業部に勤めるダニー(オーランド・ブルーム)がプレイステーションから発売されているレーシングゲームグランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを本物のプロレーサーに育成するためのプログラム「GTアカデミー」を発足させる。ゲーマーごときがプロになれる訳がないと渋々指導を行う元レーサーのジャック(デヴィッド・ハーパー)の下で厳しいトレーニングが行われる中に幼い頃からレーサーに憧れ、家族の理解もほとんど得られずやって来た青年ヤン・マーデンボロー(アーチー・マデクウィ)の姿があった。

監督がニール・ブロムカンプ。はぁ~待ってました!『第9地区』(2009年公開)、『エリジウム』(2013年公開)、『チャッピー』(2015年公開)と立て続けに良作SFを撮っていたのに「エイリアン」のリブートがぽしゃった辺りから音沙汰がなくなってしまいました。そして久々に去年ヒューマントラストシネマ渋谷の「未体験ゾーンの映画たち2022」で『デモニック』が公開されていたわけです。こちらはカナダだかで撮った低予算だっただけあってか勿体無い感じのする作品ではありましたが、とうとう本作でハリウッド大作系にカムバックです。って書いている通り私この監督作品が割と好きでしてね。まだNetflixで観られるのか分かりませんが、短編作品である『融合体』(2017年公開)や『ラッカ』(2017年公開)も非常に素晴らしいですよ。

主演はアーチー・マデクウィ。初めて聞いたお名前だと思っていたのですが、『ミッドサマー』(2019年公開)に出ていたみたいですし、アリ・アスター監督の新作『ボー・イズ・アフレイド』にも出ているんだとか。へぇーって感じです。そして、日本でも結構注目している人も多いのでは?オーランド・ブルームが出演してます。「ロード・オブ・ザ・リング」&「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズとファンタジー映画界の猛者みたいなフィルモグラフィ。地味に『ブラックホーク・ダウン』(2001年公開)にも居たなぁ。

 

↓『デモニック』についてはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

オタク舐めんな

何だか世間じゃあんまり話題になっていないのは気のせいでしょうか?勿体無いなぁ。と思うのも拳を握り締めついガッツポーズがしたくなるアツい映画だからです。

いや私だって観る前は、ゲームとリアルで運転するのは雲泥の差があるし無理だろ思ってましたよ。都心の自動車教習所にあるような高速シミュレーターみたいなもんで、いざ首都高なんかに出たら地獄って事もありますからね。しかしそんな誰もが思いそうな考えの壁を打破していったのが主人公たちというわけです。周囲から“ゲーマー”や“ヌーブ”と揶揄されたって逃げてたまるか!コースのシミュレーションに関しては何回やってると思ってんだ!そんなオタク舐めんな精神に感激。私も映画オタクの端くれとして舐めんな精神を持ってやっていきたいと思います。

また私個人としましては、ブロムカンプ作品が好きな理由を改めて認識する機会となりました。今まではSF作品を手掛けてきた監督だけに実話ベースのスポ根映画のオファーをよくしたな&引き受けたなと。特徴であるキモめな奇天烈映像表現を存分に活かせないのでは…と思ったのも杞憂。レーシングシーンの疾走感も良かったですし、隠しきれない個性的な映像(稼働する部品のメカ感)もありました。そしてブロムカンプ作品にはブロマンス系な泥臭い絆描写があります。『第9地区』での主人公と宇宙人親子、『チャッピー』のチャッピーとギャング。そして今回は師弟関係的なアプローチでのブロマンス。今年のベストブロマンス映画枠でしょう。あのウォークマンの使い方とかたまらん!お父さんとの親子描写もなかなか味わい深いものがありました。

まとめ

以上が私の見解です。

いやいや快作ですわ。オタク舐めんな映画としてもアツいんですけど、お仕事映画としても結構アツいんですよね。何せ本作、デヴィッド・ハーパーの代表作になったのでは?レーサーとして燻っていた情熱を指導官として次世代のホープに全力でぶつけます。世のサラリーマンたちも“俺がやれなかった事をお前ならやれるぞ!”とそんな精神で後輩指導が出来れば良いんじゃないですか。またオーランド・ブルームの中間管理職も良い、冒頭のプレゼンのシーンからもうね。単身日本にやって来て"こんなプロジェクト通らんよなぁ"と半ば諦めを感じつつもしっかり情熱はある。自分の置かれたポジション/限られた範囲で最大限のベストを尽くしてる感じが観ていて気持ち良かったです。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。