キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第227回:映画『アイアンクロー』感想と考察

今回は現在公開中の映画『アイアンクロー』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

日本のプロレス界でもアイアンクローの必殺技で名の知れたアメリカのプロレスラー フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、同じくプロレスの道を歩むことになった兄弟の栄光と悲劇を描いたスポーツドラマ。

1980年代、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッキャラニー)に育てられた4人の兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてそれぞれが頂点を目指していた。事実上次男にあたるケビン(ザック・エフロン)が兄弟たちを支えていたが、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッド(ハリス・ディキンソン)が日本でのプロレスツアー中に急死してしまう。

監督はショーン・ダーキン。『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2013年公開)の監督ですって。あぁなんかあったね、カルト教団に陥る 女性(エリザベス・オルセン)の話だったような…あんまり印象にないな。

主演はザック・エフロン。『ハイスクール・ミュージカル』(2006年公開)や『グレイティスト・ショーマン』(2017年公開)で人気の歌える俳優というイメージの方。それはそうと『テッド・バンディ』(2019年公開)観ないとな。

そして観ている間はまったく気付けなかったのがハリス・ディキンソン。この方『逆転のトライアングル』(2022年公開)のイケメンモデル役ですよね。あれ面白かったな。

呪いの正体

まず先に言っておきますが、私プロレスに関してはほぼ知識のない弱者でございます。リリー・ジェームズが演していた女性が主人公に「プロレスって”やらせ”なの?」って聞いてるシーンがありましたがまさに私もその程度。選手本人たちが真剣なのは承知の上ですが、どこまで段取りを組んでいるのか分からないですしプレースキル以上にスター/アイドル性なんかもチャンピオンになるには必要だろうなと。

そんな訳ですがプロレスガチ勢の方々には有名な話らしい“呪われた一族”フォン・エリック家。数々の悲劇を引き起こしたその呪いの正体とはマチズモが過ぎる家父長制だと本作からは読み取れます。プロレスで世界一になる事が正義、悩みや心の苦しさは他人に見せなるな、常に強くあれ!こんな事を幼い頃から叩き込まれ内在化した兄弟たち。兄弟間の仲は決して悪くないのに、父親を前にするとみんな萎縮するという歪んでいるけど固い絆で結ばれた家族が描かれていました。

こうした現象は親子2代でスポーツ選手みたいな家が陥りやすい環境なのかもしれないと頭を過りましたが、悩んだ時に両親がまったく頼りにならないというのが深刻でしょう。「兄弟で解決しなさい」ってそんな残酷な… 。結局主人公が悲劇的な結末を迎えなかったのは悩んだり苦しんだ時に支えてくれる存在が居たからですよね。弱さは負けじゃありません。

まとめ

以上が私の見解です。

なかなかヘビーな内容ではありましたが、しっかり映画観たなという満足感に浸れます。終盤のボートのシーンはまさに映画的な救済でしたし、ラストのポロポロ涙を流すケビンに対し子供たちが”泣いて良いんだよ~”みたいな感じで寄り添うシーンも良かったな。こっちまで泣きそうになったわ。ってか悲壮感が顔に貼り付いているのかと思うほど覇気のないザック・エフロン、良い演技でした。

ちなみに劇場内にはプロレスファンの方の結構居て…というか多分ほとんどの客がそうだったんじゃね?おっさんしか居ませんでしたよ。”まぁ結末は分かってんだけどさぁ…”みたいな会話も聞こえてきましたし。良い映画なだけに何だか内輪だけでしか話題になってない感じは勿体無い気がするなぁ。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。