キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第203回:映画『SISU 不死身の男』感想と考察

今回は現在公開中の映画『SISU 不死身の男』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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↑こちら海外版のポスター画像。カッコええ。

イントロダクション

ツルハシと不屈の魂でナチスに挑むフィンランド産”舐めてた奴がヤバかった”系バイオレンスアクション。

舞台は1944年、ソ連の侵攻とナチスドイツの占拠によって破壊しつくされたフィンランド。とある老人(ヨルマ・トンミラ)は掘り当てた大量の金塊を持って愛犬とともに荒野を旅していた。そこで彼はナチスの戦車部隊に遭遇し金塊と命を狙われる事に。しかしその老人は只者ではなく、ソ連から不死身(SISU)の男として恐れられた元精鋭部隊の伝説的兵士だった。

監督はヤルマリ・ヘランダー。2014年公開の『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』を監督しています。サミュエル・L・ジャクソンが大統領やってるやつか、あったな。観た覚えはないですが。

そんな『ビッグゲーム~』にも出演しているヨルマ・トンミラが主演。何でも監督の姉さんの旦那さんらしいですよ。親戚で映画撮ってるのか。そして戦車部隊の隊長を演じているアクセル・ヘニー。どっかで顔見た気がすると思って調べたところ、あっ『ザ・トリップ』(2021年公開)でしたか。あちらもなかなかバイオレンスな作品でした。

”FR”の継承

FR、それはFuryRoad の略。日本では怒りのデス・ロード として呼ばれる映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年公開)を指します。本ブログでも幾度となく登場している我がオールタイムベスト映画ですが、公開した2015年以降「FR」をオマージュをした作品は多く登場しました。しかしどの作品にもその魂が継承されているとは正直思えず。やはりマッドマックスの魂はマッドマックスでしか描けないのか…。と来年のスピンオフ作品『Furiosa』に思いを託していた矢先、まさかのフィンランドからその魂を継承する作品襲来を目撃する事になるとは誰が予想したでしょうか。

まず構図が一緒です。映画は大きく前半と後半で分ける事が出来る2部構成です(やたらチャプターが分かれているけど)。前半は逃走しながら目的地への移動がメイン。その目的地に向かう道中に様々な難所(地雷原や水中)があり、それを主人公が乗り越えていく事になります。しかし後半はあるイベントを期に反転、逃げていた側の主人公は追って来た連中に対して逆襲を始めます。この単純明快な構図はまさにそのもので、それ以外に余分な要素は一切なし。主人公や敵のバックグラウンドの掘り下げもなく、ロマンス等の余計なものも含有されていません。まぁ「怒りのデス・ロード」の場合は、暗転が2回入るので正確には3部構成かもしれませんが、大筋は行って帰るの往復ですからね。

また、主人公のキャラの造形も似てました。マックスと”シス爺”ことコルピさん、持ち前の生存能力の高さがある意味呪縛となって死なない復讐の鬼というキャラ像。口数の少なさも共通点です(コルピさんは少ないどころか1センテンスよw)。終盤のいでたちなんてまんまで笑ったな。

そして何より終盤の車列襲撃シーンですよね。ある状態に置かれていた女性たちと共闘!今まで踏みにじられた事への倍返しに一切の慈悲はありません。あの女性陣が闊歩するシーンなんて家で観てたら万歳して立上るやつですよ。

と様々な点でFRの意思を継ぐ純エンタメ作品。故に傑作の誕生です。

まとめ

以上が私の見解です。

時折“それは流石にあり得ねぇー”と感じましたが、あぁ~久々に血潮が沸騰する映画体験でした。人間舐めんな精神と我武者羅さがあれは何とかなるマインドが籠められた映画はホント精神的に良いですよ。よく分からん人の自己啓発本とかサロン的なやつよりよっぽど明日への活力になると思うんだけどなぁ。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。