キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第212回:2023年ベスト映画(後編)

それでは後半は様々な「ベスト」から2023年の映画を振り返っていきます。ちなみに配信サービスの作品や地上波TVドラマの話も含むかもしれません。また、ややネタバレがあるかもしれないのでご注意を。

↓前編の内容はこちら

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↑今年買った前売り券たち。グッドデザイン賞ジョン・ウィックかな。ネクタイが弾丸砂時計になってるのが洒落てる。

うーんな作品賞

去年はあまりに頭を抱えた作品が多かったため切り出して行ったこちらの企画。今年はそれほど空振りをしなかった…とはいえ看過出来ない4作品の愚痴を書き殴り今年の禊を完遂しましょう。容赦なくいくんで夜露死苦

・『ボーンズ・アンド・オールド』

人肉欲が抑えきれない若い男女を描いた恋愛ロードムービー

見た目だけで中身スカスカじゃないか映画でした。ルックは良い感じなんですよ、80年代アメリカンな田舎な感じ。でもほんとそれだけの印象でした。ロードムービーって主人公の成長や変化が垣間見えるものだと思っているのですが、それらが感じられません。だって同じ境遇のイイ感じのイケメンに出会って結ばれただけにしか見えないぞ。結局マーク・ライランス演じる不気味なおっさんは何だったの?まぁ出会いはそれはそれで収穫でしょうけど、観てる側としてはたいして面白くないです。そもそもカニバリズムと純愛の食い合わせも悪い気もしましたね。殺人カップルとかの方がまだ良さそう。カニバリズムというテーマで言えば、前編でもご紹介した『食人族』(1980年公開)の方がエンタメ性然り、人間の心理を付いた内容だったと思います。

ティモシー・シャラメ出演させときゃ良いってわけじゃねえからな、覚えとけ!

・『ハロウィン THE END』

私にとって今年度のワースト作品となったホラー映画「ハロウィン」シリーズの最新作。

なんと言ってもスラッシャー映画なはずなのに人が死なな過ぎる。序盤のダルい青春グラフティーなんてさっさと済ませておくれ。『首』のたけしじゃないですが“さっさと死ねよ!バカヤロー!”が頭を巡ってなんともイライラさせてくれました。そして満を持して登場のブギーマンさんがまぁーみっともないこと。不死身要素は何処へ?ブギーマンを通して『LOGAN/ローガン』(2017年公開)でもやりかったのか、だとしたら失敗でしょう。

同監督が手掛けた今年公開の『エクソシスト/信じる者』も大概しとけって作品でした。デヴィッド・ゴードン・グリーン監督、貴方にとっての居場所はホラー映画ではないのでは?不発ばっかりなのでジャンルを変えてみれば?という余計なお世話でした。

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・『アステロイド・シティ』

あるアメリカの砂漠都市で繰り広げられる洒落乙群像劇。

今年の見た目だけで中身スカスカじゃないか映画第二弾。こちらもルックは良い。パステル調の様式美はウェス・アンダーソン監督ならではの世界観。ただ全体的にのぺーっとした感じ。天才たちの孤独や愛した人を失った悲壮感といった様々な心情は汲み取れますが、どれも印象が弱い気がしました。セリフにしてもそれっぽい事を言っているだけ感が否めません。

それにやっぱり宇宙人やらUFOってなったらケレン味とでも言えばいいのか、もっとサービス精神たっぷりなアホっぽくても良いんじゃないかと。似たような事をやっていた去年公開の『NOPE/ノープ』の方が倍増しで面白かったと思いました。

・『ゴジラ-1.0』

世間的には絶賛っぽいですし、アメリカでも大当たりしているとか。しかしここはあえて言わなくてはならない。怖気づいて逃げてはいけない正念場です。

まず作品として好きなんです。だってゴジラはとっても良いので。各国の映画祭で技術部門の賞を貰うのも分かります。しかしゴジラ登場以外のシーンは擁護し難い。オーバー&いちいち心境を口に出す違和感たっぷりな登場人物たち。戦争や国家を批判したいのか賞賛したいのか微妙なポジショニングで展開する物語。大衆受けを狙ったのか無理やり感動の幕引きにするラスト。映画の良くない要素が色々見受けられたと思います。

それとアメリカで当たった事を免罪符にするのも良くないと思いますよ。なんていうか今作は『インディペンデンス・デイ』(1996年公開)や『アルマゲドン』(1998年公開)的な路線じゃないですか。国民の威信をかけて頑張るぞ!みたいな。だからアメリカで当たったんじゃないかと思うのです。別に今挙げた2作品を批判してるわけではないですが、ダメだった部分はちゃんと表明するのがファンってやつだと思うぞい!

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※ちなみに

現在公開中かな。現代から戦時中にタイムスリップしたJKが特攻隊員と恋に落ちる邦画。あれ予告の時点でちょっと…本編未見ですけど匂います、美化した内容だってことが。特攻隊がどういう状況下で編成されたか理解してるのかが疑問。『ゴジラ-1.0』で描かれる「戦争」だって比較的小綺麗してるように見えて引っかかりましたけど、あれは…もう…あぁぁ…力が出ない…。ある一定層には「戦争」を語るツールとして機能するのかもしれませんが、そもそも意図として死ぬ運命にある青年とJKの恋愛が描きたいだけで、特攻隊や戦争にはあまり興味がないのでは?今なお世界各地で戦争が起きているってのにそれで良いのかと鼻白んでしまいます。とはいえ未見で批判するのもポリシーに反する。配信サイトで見かけ次第チェックしましょう。

ベストアクション賞

はい、本性剥き出しの性格の悪いパートはここまで!こっからは褒めちぎりますよ。

まずは数々のベストアクション振り返る性癖ゴリゴリコーナーになります。

総合部門

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

こちらに関しては前編のNo1で挙げ、充分語ったので良いでしょう。ただアクションの観点でいえば、アニメーションだからこその強みを遺憾なく発揮した肉体での再現不可能な離れ業アクションが展開されていました。ほんと映像革命だと思うぞ、あれは。

格闘部門

ジョン・ウィック:コンセクエンス』よりケインさん

では肉体で表現の出来るアクションの限界値と言えそうなのはどうか?今年の作品ならドニー・イェン演じるケインさんではないでしょうか。年齢を感じさせない(あれで60歳は超人だって)超高速モーションに加え、目が見えていないからこそのトリッキーさもプラス。こんな表現が出来るのかと感心してしまいました。人を感知して音が鳴る人感センサーの使い方も面白かった。それに戦闘開始前に腹ごしらえなのかラーメン食ってるシーン良かったよね。いや蕎麦?うどん?実はフォーとかだったら笑うねw。

射撃部門

『ロングショット』より競技用ピストルで殴り込み

実は今年は私の中で銃撃戦不足だった気がしています。観に行く作品のチョイスが良くなかったのかな?そもそもガンアクション映画自体が年々減ってる気もするんですけどね。

そんな中でチョイスしたのは東京国際映画祭で鑑賞した作品。耳の障害が理由で射撃の選手生命を絶たれてしまった鉄工所の警備員が主人公の中国産クライムサスペンスです。

サスペンス系の映画なので銃撃戦自体は終盤にしか登場しませんが、これが凄い。まだ日本での正式な上映が決まっていないようなのであんまり言うのもアレかもしれませんが、アサルトライフル(あれは中国だし56式とか?)やショットガン(オーソドックスにレミントンかな?)を持った連中に対して競技用ピストルって無茶すんな!一発装填、しかも競技用なので弾薬のパワーも低い。しかし重要なのはモノではありません。使用している人間の腕です。辞めたとはいえやはりプロの射撃選手、命中精度がえげつない。言うなれば素人のチンピラがプロボクサーに拳で挑んだといった構図です。プロを相手にした瞬間、死が確定してしまうという事ですね。皆さんも気を付けてましょう。

大砲部門

『ナポレオン』よりアウステルリッツの戦い

いや、他に大砲が登場する作品があったかと問われるとないのでシード権でそのまま優勝みたいになります。しかしこんなボンボン撃って人間がぶっ飛んでいく映画なんてないですよ。とくにアウステルリッツの戦いの凍った湖面を大砲で割り、敵兵を冷たい湖へ突き落としていくシーンは凄まじかった。無慈悲にも程があるぞ。大砲映画といっても過言ではない作品でした。

ベストアクト賞

お次は今年印象に残った役者の皆さんをピックアップ。一番を決めるのはハードなので片っ端から列挙します。

『SEI SEID/シー・セッド その名を暴け』より

ジャーナリズム魂を見せつけた新聞記者さん キャリー・マリガンゾーイ・カザン

『ソフト/クワイエット』より

気迫と根性フルパワーなレイシスト軍団最年少さん オリヴィア・ルッカルディ

『after sun/アフターサン』より

妙に心に残る繊細で儚いお父さん ポール・メスカル

グランツーリスモ』より

夢を捨て切れなかった胸アツコーチ デヴィッド・ハーパー

(『バイオレンス・ナイト』のサンタさんも良かったぞ)

『首』より

尾張弁でがなる生まれた時から全て遊びな信長 加瀬亮

『正欲』より

「正義」を振りかざす空っぽな男 稲垣吾郎

『PERFECT DAYS』より

多くを語らず「人生」を体現する清掃員 役所広司

なお、TVドラマ『いちばん好きな花』の出演者全ても印象深い。多部未華子松下洸平今田美桜神尾楓珠の4名がメインどころでしたが、その他キャストもほんとに良かったと思いました。”このキャラクターにはこの役者さん”がバッチリだったのでしょう。適材適所のキャスティング、一般企業的にいえば的確なアサインというのがその人を魅力や特性を存分に引き出すのだと改めて思いました。

ベスト予告編賞

お次は心に残る予告編です。

『SISU/シス 不死身の男』

映画館で観るたびに笑ってしまった予告です。「彼は”一人殺戮部隊”です」や「世界一幸せな国・フィンランドの爆風マッド・エンターテインメント」。そんで最後は「俺に死んでる暇はない」。字面が面白過ぎます。宣伝だから煽ってるのかと思いきや、まったく噓付いてないのも好印象です。確かにあの爺さんに死んでる暇はなかった。

それに銀河万丈の壮絶で迫真なナレーションが予告を味わい深くしています。昔の木曜洋画劇場のCMっぽさを感じてテンションあがったのは私だけ?アクション映画の予告が全部あんな感じだったら最高なのに。

↓せっかくなのでURLも載せておきましょう。何度見てもオモロいぞ。

www.youtube.com

ベスト井口理賞

って何だよ!と我ながら思ってます。でも何とか井口理初主演映画『ひとりぼっちじゃない』をねじ込みたかった、それだけです。今年は呪術廻戦のテーマ曲にもなった「SPECIALZ」を始めとした曲を収録したアルバム「THE GREATEST UNKNOWN」の発表もあったKingGnuのボーカル。今後はどのような作品に出るのかが楽しみです。役者の経験が恐らく歌唱の表現力にも結び付いているはずなのでじゃんじゃん出て欲しいところ。でもまぁダダ滑りなコメディ映画とかベタ過ぎるラブストーリーは私のテリトリー圏外なの避けて欲しいぜ。あぁ来年のドーム公演、楽しみだなぁ~。

↓作品について、詳しくはこちら

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流行語大賞

最後に発表するのは個人的流行語大賞になります。

クリード 過去の逆襲』よりSHIN JIDAI

「ロッキー」シリーズを継ぐ「クリード」シリーズの3作目。そのエンドクレジット後に日本限定でわざわざ用意されていた謎のアニメーション短編が『クリードSHIN JIDAI』です。映画館のスクリーンにデカデカと映し出されたあれは一体何だったのか?そもそも本当に目撃したのでしょうか?…私の中で迷宮入りの難解なミステリーと化しています。

そんなわだかまりを抱えてしまったのが影響したのでしょう。事あるごとに"SHIN JIDAI"を連呼しまくった2023年。語尾に元日本ハム監督のトレイ・ヒルマンの「シンジラレナ~イ」っぽく「SHIN JIDA~I」を付けるとそれっぽくなるんですよ。”紅白歌合戦SHIN JIDA~I”とかね。今年の世間的な流行語大賞の「アレ」より汎用性が高いので是非使ってみて下さい。

まとめ

以上、今年の締めくくりとなる2023年映画の諸々のベストでした。

よし、今年は去年比べ割とスムーズにベスト選出が出来ました。良いのか悪いのはさておきもうちょっと悩む時間を楽しみたかったかも。なにせ来年は『マッドマックス:フュリオサ 』があるんで。もう観る前からボルテージが違います。早く公開日決まんないかなぁ~。前売り券出たら走って2~3枚は買いに行こ。

という事で今年はこの辺で。ありがとうございました。