キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第149回:2022年を映画関連ニュースで振り返る

気付けば肌寒くなり今年も残りあと1か月。どんどん短く感じる1年といったところですが、思えば今年も収束しなかったパンデミック。年明け早々オミクロン株が爆破的に増えましたが一旦収まり、ここ最近全国旅行支援が始まったと思ったら徐々に感染者が増えてくるイタチごっこが続いています。コロナ禍は終わってないけどサル痘の方は大丈夫なんでしょうかね?一時アメリカでは緊急事態宣言出たらしいですし。

そんな中開催となった北京オリパラリンピック結局去年の東京五輪汚職で真っ黒でしたが、この平和の祭典と位置付けられる大会を吹き飛ばすかのように始まったロシアのウクライナ侵攻が世界に混沌と衝撃をもたらしました。こんな形で知名度が上がるとはゼレンスキー大統領も思ってなかったでしょう。ウクライナ国民の虐殺や杜撰な招集令、核兵器使用を度々ちらつかせる等非情な所業を重ねるロシア政府を一刻も早く止める必要がありそうです。

この侵攻は円安物価上昇にも影響をしています。まぁ物価上昇に関しては今に始まった話ではないしてもあまりにも急激な上げ幅。食料品に限らず電気代(夏も冬も電力不足だし)やAppleStoreのアプリやサブスクなんかも値上げとなりました。そういえばTwitterも有料化する的な…イーロン・マスクが買収してからてんやわんやしてますが、何でもかんでもお金が掛かる時代ですなぁ。

こうしたコロナ対策や国際、経済問題が山積みの政権与党にさらなる追い討ちをかけたのが安部元首相暗殺事件国葬は賛否両論、世論を真っ二つにし、社会の分断を如実に表す事となりました。さらにそこから表面化した統一教会の問題は有耶無耶状態が続いています。とくに矢面となった瀬戸際大臣は辞任したのになぜかコロナ対策本部長に。宗教2世の問題も含め解決する気があるのかどうか。

こんな状態の日本は果たして大丈夫なんでしょうか?いやゴルバチョフエリザベス女王といった歴史を動かしてきたレジェンドも居なくなった世界そのものの行く末が不安な1年となりました。

その他、アーニャきつねダンスガチ中華村神様暴露系YouTuberサッカーW杯4630万円が話題となった2022年。映画関係でも様々なニュースが飛び交いました。細かいニュース含めると膨大な情報量となるので、個人的にデカかったと思う話題を偏った独自見解まみれで振り返ってみようと思います。

↓去年の内容はこちら

captaincinema.hatenablog.com

↓殺伐とした話題もありそうなのでネコの写真でも。こんな平和な顔で生きてられれば楽ですな。

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色々あった米国アカデミー賞

まずはこちらの話題から。今年の米国アカデミー賞を例年以上に注目した人は多かったのではないでしょうか。濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が日本映画として13年ぶりに国際長編映画賞(13年前当時は外国映画賞)にノミネート&受賞を果たしました。さらに作品賞と脚色賞にもノミネートされ日本映画史上の歴史に残る快挙を成し遂げました。ほらな、言ったんじゃんか。去年のニュース振り返り回で、各映画祭で快進撃を続けているから世の中はもっと注目すべきだと。マスコミってきっと映画にあんまり興味ないんだろうなぁ。

過去のアカデミー賞と日本の観点で見てみると、メークキャップ賞や衣装デザイン賞といった美術系統の部門で日本人のノミネートと受賞が目立ちます。アニメ大国と言われる日本ですが、長編アニメ賞の受賞は何だかかんだ『千と千尋の神隠し』の1回なんですね。つまり作品賞と脚色賞のノミネートは新たな扉を開いたのかもしれません。今後どの部門で受賞者が誕生するのでしょうか。

その他『Coda あいのうた』の作品賞を含む3部門受賞や技術部門系統で『DUNE/デューン 砂の惑星』が圧倒的強さを見せたのもありましたが、結局一番目立ってしまったのがウィル・スミスの平手打ちでしょう。なんせ主演男優賞受賞からのアレですから流れが凄まじい。殴ったウィル・スミスは授賞式の10年間出席禁止。次回作も危ぶまれる状況となっていますが、茶化して殴られた側のクリス・ロックには次の授賞式のオファーが舞い込み(断ったそうですが)、スタンダップショーはバカ売れ。今年公開の『アムステルダム』にも出てましたね。まぁ手を出した側が良くないって判断なんでしょう。まさかの『G.I ジェーン』(1997年公開)にもとばっちりなアメリカンな騒動でした。

↓『Coda あいのうた』についてはこちら。

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ブルース・ウィリス引退

丁度アカデミー賞が話題となっていた時期と同じぐらいの時に入ってきたのがブルース・ウィリスの俳優業引退のニュースでした。引退の理由は失語症だそうなので、かなり衝撃的でした。

私にとっては『アルマゲドン』(1998年公開)や「ダイ・ハード」シリーズを子供の頃に観て“アクション俳優”のイメージが定着していたのですが、後に『パルプ・フィクション』(1994年公開)や『12モンキーズ』(1995年公開)を観て、アクションだけじゃない多才な俳優というイメージに変わっていった役者さん。やっぱり一番好きなのは1988年公開の『ダイ・ハード』。あれはアクション映画の金字塔にして映画史に残る傑作。クリスマス映画としても最高の1本です。

個人的には『デス・ウィッシュ』(2018年公開)の続編、ちょっと期待してたんだけどなぁ。ともあれ私が映画好きとなった要素でもあるので感謝しかないですし、作品は永久不滅です。

デップvsハード 仁義なき裁判闘争

さらにハリウッドスター界隈からはこんな事もありました。

一体いつから争っていたのかジョニー・デップアンバー・ハードの離婚後の名誉毀損裁判。今年にかけて本格的な裁判が繰り広げられていました。裁判の争点となったのはどちらがDV(家庭内暴力)を振るったのか否かといったものだったでしょうか。脱糞エピソードとか強烈でしたね。

この裁判沙汰の影響か「ファンタスティックビースト」シリーズからの降板、「パイレーツオブカリビアン」の新作も頓挫となったデップ。一方ハードの方も『アクアマン』の続編での出演シーンが大幅カットされたとか。そもそも『アクアマン』(2018年公開)に出演できたのはデップのおかげで、役者としてたいした実力はないというちょっと可哀想になる話まで出てました。

結果的にはデップが概ね勝訴。ハードに対して損害賠償1500万ドル(日本円して約15億!払えないだろw)の支払いが命じらていますが、一部ハード側で申し立てていた件が認められているのをデップ側は不服とし控訴しているんだとか。いやまだやるんかい!愛したはずの人とここまでやり合うなんて超シビア。デップの担当弁護士とのロマンスや既に映画化説の噂まであるなんてこれまたアメリカンな話題でした。

ちなみにアンジリーナ・ジョリーvsブラッド・ピットも開戦の予感。あったとしてもここまで泥試合になるイメージはないですが、さすが裁判大国アメリカって感じです。

海外スターたちの来日

そんな良くも悪くも世間を湧かせる海外スターの皆さん。そりゃ来日すれば結構盛り上がります。

今年はコロナウイルスによる入国制限措置が緩和された事もあり海外からのスターが相次いで来日を果しました。先ほど名前を挙げたブラッド・ピットを始めトム・クルーズエディ・レッドメインアンセル・エルゴートソン・ガンホ等が作品のPRの為来日しました。マ・ドンソクの来日が残念ながら梨泰院の雑踏事故の影響で叶わなかったのも記憶に新しいですが。さらにイベント開催の緩和もあったので、東京国際映画祭や東京コミコンでも様々な方が来日をしました。やっぱりこういうのも含めて映画だと思います。

ちなみに個人的に印象深かったのは『ブレット・トレイン』のブラッド・ピット&アーロン=テイラー・ジョンソン。だって今年は日本に鉄道が通って150周年の年ですよ。そんな年にハリウッドスターが新幹線に乗って映画のPRイベントだなんて。鉄道職員、とくにJR東海の人達にとっては感動の一幕だったでしょう。

マーベリック旋風

そんな来日を果たした一人であるトム・クルーズ(新作が公開されるたびに来日していますが)。彼の新作であるトップガン マーベリック』が日本でも大旋風を起こしました。

1986年に公開した1作目と同様に主人公はトム・クルーズ演じる戦闘機のパイロット“マーベリック”。今作では若手を指導する教官の立場となって困難なミッションに挑む姿が描かれています。驚異的な映像と爆音極まるサウンドが話題を呼び、近年の洋画にしては珍しくロングランヒットを記録。ネット上では追いトップガンという言葉も生まれ、1作目のファンを筆頭にリピーターが続出しました。国内での配給をした東和ピクチャーズによると観客の6人に1人がリピーター。その中には70回や100回を超える回数劇場に足を運んだ強者たちも居たとか(マジかよ、俺『マッドマックス怒りのデス・ロード』でさえ映画館では7回だよ…)。私の職場にも3回劇場で追いトップガンをした人が居ました。なんてこった、私1回しか観に行ってないですよ。『NOPE/ノープ』は2回観たんですけどね。

作品の良さやクルーズ自身が劇場での公開にこだわり何度も延期となった事への期待値、前作ファンの根強いリターンがここまでの人気に火を付けたのだと思いますが、やはり「トム・クルーズ主演」がパワーワードなんだと改めて感じました。昨今、ネームバリューで集客の取れる役者が、特に若手の役者にほとんど居ない気がします。現在のハリウッドではティモシー・シャラメルーカス・ヘッジズ、フローレンス・ピュー等が台頭しているイメージですが、トム・クルーズほどの話題性はまだって感じでしょう。

また役者のみならず国内外問わず一般の人に浸透したネームバリューの監督も居ないですよね。スピルバーグぐらい?これらの事も影響して日本の洋画不振に繋がってるような気さえしてきます。だってたいていの人は“マイケル・ベイの新作だ!”(『アンビュランス』のこと)とかで映画館に行きませんからねぇw

↓『トップガン マーベリック』についてはこちら。

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相次いだ映画館の閉館

トップガン・マーベリック』のみならず今年は『ONE PIECE FILM RED』や『すずめの戸締り』も大ヒットを飛ばしているので一見映画館は元気そうですが、今年は閉館となる映画館が目立ちました。

都内では渋谷TOEI、飯田橋ギンレイホール岩波ホールが。大阪ではテアトル梅田が閉館となりました。特にテアトル梅田に関して私にとってはクリティカルだったといいますか。都内住みの人間ですが今年の春頃に大阪へ長期出張をしてまして、そのタイミングで一度映画を観に行ったんですよね。雨降ってたなぁ、帰りに古潭ラーメン食べたなぁ。観た作品自体は個人的にハマりませんでしたが、これはきっと映画館の神様によるご縁ですw

ちなみに話は脱線しますが、今年は新宿小田急新宿駅西口の再開発に伴い本館が閉館。来年には八重洲ブックセンターや渋谷の東急百貨店がなくなる予定。下北沢や小岩なんかもだいぶ再開発が進んでいて様々なものが無くなっています。こうしたニュースを見ると常々そんなに街って変わらないといけないの?と思ってしまいます。どこもかしも利便性や小奇麗さを重視したら街自体の個性がなくなり面白くないと感じます。ちょっと不便、古くさいぐらいが丁度良いじゃないですかと思うのは私だけなのでしょうか?

↓テアトル梅田でのエピソードを含めた大阪での映画館雑記についてはこちら。

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映画秘宝の事実上廃刊

そして無くなったのは日本で一番売れている映画雑誌だったはずの映画秘宝も。

原因となったのは元編集長によるSNSでのDM(ダイレクトメッセージ)の炎上ような格好でした。しかしそれ以外にも理由はあると思っています。紙媒体、活字メディアの衰弱や昔と比べて映画が娯楽の中心ではなくなったことも恐らく影響していると考えられます。つまり色んな意味で時代についていけなかったかという事でしょう。残念無念。

ともあれ、あれだけの新旧含めたニッチでオタクな映画情報が入手出来たのはあの雑誌だけ。私、未だに代替となる情報入手先を見つけられず路頭に迷っております。まぁこう言っちゃなんですが、キネマ旬報はどちらかと言うと邦画に偏ってるしSCREENは洋画ばかり。映画芸術は硬派すぎてよう分からんしw。まぁこれからは自分の足で稼ぐしかない時代なんですね、頑張って自立します。

映画界に蔓延る「暴力」

さらに日本の映画界に暗雲が立ち込めるような話題もありました。正直こんな事は話題にしたくないですが、今年を振り返るうえでは避けられませんね。

榊英雄監督への告発による新作公開中止を皮切りに園子温監督とそのプロデューサーによる性加害報道や川瀬直美監督による身体的暴行やパワーハラスメント疑惑の報道といった刑事罰に問われ兼ねない問題の数々が明らかになりました。さらに監督のみならず俳優の木下ほうかや香川照之の女性への暴力が明らかとなり、芸能界から干されるという動きも見られました。

うーん…なんでしょうね。犯罪行為になり得るという認識が権力や知名度を得る事で見えなくなってしまうのでしょうか。現状、告発や疑惑のあった方々が説明責任を完全には果せていない雰囲気も嫌な空気。報道側も取り上げるだけ取り上げておいて追求もなく、現状下火になってるのも如何なものかと思います(そもそもTV局はこの問題はほぼスルーしてる感じだし)。とりあえず来年公開のMeToo運動の起因となったハーベイ・ワインスタイン告発を基にした映画『SHE SAID シー・セッド』を観て、改めて考える必要がありそうです。

こうした権力集中やブラックボックスと化した製作体制に変革をもたらしそうなのがインティマシーコーディネーター。性的なシーンやヌードが含まれるシーン等の撮影をサポートする専門職のことで、日本でこの資格を得ている人はまだ数人しか居ないんだそうです。今年の流行語大賞にノミネートもされていましたが、世間的な認知度はまだまだな気がしますし、映画よりもTVドラマでの起用が活発になりつつある段階といった印象です。果たして業界に定着していくのか?今後の動きに注目です。

マッドマックス関連

無くなるとか暴力とか暗い話題が多くなったので最後に明るくなれる話題を。とか言って明るくなるのは私だけかもしれませんが、毎年設けているこのコーナー、マッドマックス関連です。

今年も『ザ・メニュー』や『アムステルダム』、『ノースマン/導きかれし復讐者』(こちらの日本公開は来年)で大活躍だったアニャ・テイラー=ジョイが主演を務める「怒りのデス・ロード」のスピンオフ作品『FURIOSA(原題)』の撮影が今年の6月より開始。8月にはジョージ・ミラー監督のコロナ感染が判明し、撮影の一時中断を余儀なくされていたようですが(年齢も年齢だし大丈夫か?)既に終了したとの事。ということはもう公開するのかと思いきや全米公開は2024年の5月24日。編集だったりが大変なんだろうな。とりあえず日米同時公開を必死で祈るばかりです。

そんな『FURIOSA(原題)』の公開前に、まずは監督のジョージ・ミラーの新作『Three Thousand Years of Longing(原題)』が日本でいつ公開されるかも重要です。今年のカンヌ国際映画祭でお披露目となり全米では既に8月に公開。予告は見ましたけど、かなりカオスな世界観でこれまたぶっ飛んだ作品の匂いがプンプンです。まさかね、DVDや配信スルーなんてことにはなりませんよね。イドリス・エルバティルダ・スウィントン出てんだから。

ちなみに今年何かと話題になったNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で主演を務めた黒島結菜も「怒りのデス・ロード」のファンなんだそう。ブラック&クローム版も含め映画館で5回観た事があるなんて、完全に同志ですわw

最後に

以上、9つの話題でした。

この記事はアップする1ヶ月前ぐらいから準備してましたが、やっぱり書いてて一番楽しいっていうか筆が乗る気がすんだよなぁw。

その他、ゴダール逝去ファスト映画への判決確定クリス・ヘムズワースの俳優休業もありましたがこの辺でお開きにしましょう。来年もきっと嬉しいニュースも残念なニュースもやってきます。いち映画オタクの端くれとして今後も追っかけていく所存でございます。それではありがとうございました。

 

参考資料:

朝日新聞 2022年4月30日(土)  beSatuaday 4ぺージ目 

朝日新聞 2022年9月17日(土) 夕刊 

朝日新聞 2022年10月29日(土) 夕刊 2ページ目

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