キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第202回:第36回東京国際映画祭に行ってみた件

今回は日比谷・有楽町を中心に開催されている第36回東京国際映画祭(TIFF)に行ってきましたのでそのレポートでもしようと思います。今後公開予定の作品だったりしますので、鑑賞した作品の内容にはあまり触れないようにはしますが、ネタバレには注意です。

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↓去年の内容はこちら

captaincinema.hatenablog.com

10.14 チケット争奪戦

なんてカッコつけたタイトルにしてますが、今年は去年と比べてスムーズに獲得が出来ました。恐らく部門ごとにチケット販売の開始時間が分かれていたのも多少影響があったのでしょうか。それにしても16時から17時ぐらいの約1時間で狙っていた作品2本とプラス1本の獲得は予想外。20時ぐらいまで粘る覚悟はしてたんですけどね。もしかして競争率が落ちてるのか?でもアクセス集中はしてるっぽいし。皆さん一体何を観に行ってるんだ?

1戦目

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まず初戦に選んだのは『ロングショット』。チョイスの決め手は紹介文に「銃撃戦の演出が素晴らしい」ってあったんですよ。ガンアクション好きとしてはまぁ惹かれますわな。それに国際映画祭のコンペの部門で銃撃戦ですよ。似つかわしくないというか、一体どんなものが観られるのか想像出来ないからこそ観なくては。

耳の障害が理由で射撃の選手生命を絶たれてしまった鉄工所の警備員がある事件に巻き込まれるという実話を基にした中国産クライムサスペンス。

まず観て思ったのは、これはヒーロー誕生映画じゃないかと。曲がった事が嫌いな主人公は決して清廉潔白なスーパーヒーローってわけではないんです。それでもあの行動は誰かの日常を救う結果に繋がっているはず。ダークヒーローとまでは言いませんが、私の好きなイタリアンヒーロー映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015年公開)的なものを感じる個人的にぶっ刺さる映画でした。

また上映後のQ&Aで、アスリートと社会の関係性というのを表現したかったと監督さんは話していましたが、主人公はアスリートとして「ヒーロー」になる事は出来なかったが、社会的にある種の「ヒーロー」になったという解釈も出来るように思えました。何だか実際に関わった人の話を聞くのって、作品のアンサーというより自分の思った事や感じたものの肉付けが出来る気がしてやっぱり良いな。

そして肝心の銃撃戦はまさかの銃器登場!(って書くとおおよそ想像つくかも)渋い!そしてカタルシス、デカい!ドンパチが派手なもの良いですが、こういう渋いガンアクションも味わい深い。アクションはアートです。

2戦目

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↑お気づきでしょうか。1戦目とまったく同じ席という。

2戦目は再びコンペ部門から『開拓者たち』。こちらは完全に感覚でチョイスしました。サムネといいますか、パンフに載ってた写真で"これ好みっぽい"と思いました。観る映画を感覚でチョイスするのはよくレンタル店でもやってましたが今やそれが無くなりつつあるのが残念。

9年の歳月とチリ・アルゼンチン・イギリスをはじめ10カ国が関わる超大作。チリ/アルゼンチンにまたがる土地に住む先住民 インディアを排除するよう命じられた男たちの西部劇ロードムービーです。

今年のマイベストロードムービー枠になりそうです。物語が進むにつれて形が変化する支配関係が印象的。上には上がいてその最底辺が先住民という絶望的な構図となってます。また映像と音楽も壮観。果てしなく広がる荒野の風景は人間をこれでもかとちっぽけに見せる凶暴さを感じました。

また上映後に登壇された監督さんのQ&Aも良かった。映画への批判を映画で行うという事。西部劇が原住民の虐殺を美化してしまった側面に対する批判。また、国が語りたくない、認めたくない歴史を描く事がしたかったというのは現在公開中の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』や『福田村事件』にも共通するこの姿勢は映画の作り手たちが持つ万国共通の意識なのかもしれません。

っていうかQ&Aがマジだったな。『真珠のボタン』を彷彿?うぉわかんねぇ~と思わずニヤリ。

3戦目

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最後はガラセレクション部門からエクソシスト/信じる者』。とりあえずこの部門は近いうちに公開する作品だろうという事は去年の段階で理解をしたので、まぁ都合が良さそうなの1本って感じで獲れたのがこちらでした。

オカルトブームの火付け役とまで言われた伝説的ホラー映画『エクソシスト』(1973年公開)の流れを組む映画。2人の少女に取り憑いた悪魔とその少女たちの家族の戦いが描かれます。「エクソシスト」には続編は幾つかありますが、1作目のメンバーがカムバックですからどうしても気になる。ただ監督がデヴィッド・ゴードン・グリーンってのは不安材料。正直今年の『ハロウィン THE END』おもんなかったからなぁ…。

そんな監督の挨拶映像で始まった今作。ひとことで言えば"腑に落ちねぇー"。観ている内は面白いと感じていても、思い返しすと腑に落ちなくなって来ました。あんな挨拶映像観たからには色々言いづらいわ!

信じる力が何とか言って感動エンディングみたいになってたけど、いや実質敗北してませんか?なんかモヤっとするな。また非道や絶望といったストイックさが足りない気もしました。まぁフリードキンと比べるのがアレですけど。さらにシリーズ復帰キャラの扱いどうなの問題も見られました。Netflixの『悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ』の時も思ったやつ。

ただ宗教の解釈は面白かったです。神は居るか居ないかよりも大事なのはそこに集った人々が信じ合っているかどうかみたいな話があったのでなるほどなと。結局コミュニティとして健全に機能しているかがネックであり、間違った方向に行くとヤバい集団に変貌するのだと思いました。

ちなみに会場が意外とガラガラだったのも気になりました。1作目のTシャツ着てるガチ勢な人もちらほら居ましたけど、去年私が行ったバームパック監督の新作なんかと比べると全然。やっぱりホラー映画、ジャンル映画はあまりお呼びじゃない?いや話は戻りますけど競争率が落ちてるのかもしれません。映画は動画配信サービスにあれば観ようぐらいな感覚なんですかね。ちょっと悲しみ。

まとめ

以上、今年の映画祭体験でした。

来年はコンペ部門をベースにアジアセレクション?あたりも手出したいですね。ただ、映画祭ばっかで映画を観てると通常公開してる作品を観に行くタイミング失うし、なんせお金が…。時間とお金は永遠の課題です。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。