キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第193回:映画『春に散る』感想と考察

今回は現在公開中の映画『春に散る』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

深夜特急」で有名な作家 沢木耕太郎の同名小説を映画化したボクシング映画。

不公平なジャッチで負けた事でボクシングから距離を取っていた元プロボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)と現役の黒木翔吾(横浜流星)は、偶然飲み屋で出会い路上で拳を交わす事になる。その時の広岡の華麗なクロスカウンターに心奪われた黒木は、彼にボクシングを教えてもらい世界チャンピオンになる夢を燃やし始める。

監督は瀬々敬久。『ラーゲリーより愛を込めて』(2022年公開)や『糸』(2020年公開)など大作系ヒューマンドラマ作品を多く手掛けているようです。結構な作品数があるので1本ぐらい観た事あるかと思ったんですけど…無いぞ。すんません、不勉強で。

主演は横浜流星&佐藤浩市横浜流星は去年の『流浪の月』でのカス旦那が良かった。本ブログで何度も言ってるかもしれませんが、お顔が整ってる人が演じるクソ野郎って好きなんですよ。韓国映画で多く見る傾向があります。

ちなみに橋本環奈も出演していますが、私初めて映画でお見かけした気がします。CMやバラエティなんかではちょくちょく見るんですけどね。こういう実は見た事なかった役者さんは探せば案外と居るのかも。

ボクシングには何かある

実は私、スポーツ観戦の中ではボクシングが割と好きなんです。そのきっかけになったのが同じく沢木耕太郎が手掛けた「一瞬の夏」でした。カシアス内藤というボクサーと沢木氏本人の絆が描かれたルポ小説。プロモートやトレーニングの描写が多く、試合の裏ではこんな闘いがあるのだと感心。丁度読んだタイミングぐらいで実際の試合を観る機会が重なったのも大きかったんですけどね。あれっ、その時の試合って井上尚弥の秒殺KOがあった時か…?そんなニワカな私。本作を観て改めて思ったのが、ボクシングには特別な何かがあるという事でした。リングの上で拳を振るって相手を倒す というシンプルさ故の何かが。スポーツ映画というジャンルにおいてボクシングを扱った作品が多く製作されているのもその理由の一つなのかもしれません。

ボクシングに取り憑かれた者たちが集う世界でチャンピオンを駆けて再起を図る広岡と黒木。この二人もボクシングに取り憑かれており、自分の輝ける「今」のため命を燃やす姿がドラマチックに活写されます。そんなボクシングの虜のなったのは横浜流星本人も然り。ボディ、バキバキに仕上がってました。確かプロのライセンスに合格したんですよね。元々空手だかの有段者なので格闘技系はお好きなんでしょうけど、それにしても仕上がり具合がガチでした。また対戦相手を演じる窪田正孝も『初恋』(2019年公開)に『ある男』(2022公開)とボクサー役が多い。進んで引き受けている可能性はありそうです。

なお、本作が公開されるという事を知ったタイミングで急ぎ原作小説を読了していました。その観点からいうと流石に2時間少々だからと腹は括っていたものの、かなり差っ引かれた内容になっている印象は受けました。橋本環奈演じる佳菜子さんのエピソードなんてごっそり無くなっているせいで居ても居なくても物語が成立するようなキャラポジションでしたし、クロスカウンターや反則スレスレのボディブロー(キドニーブロー?)等、黒木が習得していく技術についてもほとんど触れられいませんでした。だからといって映画自体は決して悪くありません。ただこうしたところに小説を映画化する難しさがあると思いました。

まとめ

以上が私の見解です。

今年で言えば『クリード 過去の逆襲』よりは出来が良かったと思う王道スポーツ映画。ただ、やたら「ウァー!」とか「オォ―!」みたいに叫ぶシーンがあったのがちょっと気になりました。たまに聞く邦画の予告絶叫しまくり的な傾向の現れなのでしょうか。感情表現=絶叫、語気が強くなるの方程式じゃ人間は語れんと思うぞ。

それに個人的驚きポイントだったのが終盤のとあるシーン。何だこの見覚えのある場所、えっ近所かよ!日本の映画やドラマを観てるとたまにありますけど、まさかあんな寂れた場所が登場するとは…。あのシーンの会話は全く頭に入って来なかったわw

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。