キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第173回:映画『ヴィレッジ』(2023)感想と考察

今回は現在公開中の映画『ヴィレッジ』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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↑なんか映画のポスターってより集合写真感強い

イントロダクション

『新聞記者』(2019年公開)で話題となったスターサンズの新作で、『ヤクザと家族 The Family』(2021年公開)や『空白』(2021年公開)などを手がけ、去年の6月に逝去した河村光庸プロデューサーの遺作でもある作品。M・ナイト・シャマラン監督の『ヴィレッジ』(2004年公開)でもなければ『ヴィジット』(2015年公開)でもありません。ややこしやー。

とある山村に暮らす主人公の片山優(横浜流星)は、母親(西田尚美)が抱えた借金返済のためにゴミ処理施設で働いている。そのゴミ処理場建設時に起きたとある過去の事件を理由に、いじめや村八分状態の孤独に耐えながら毎日を送っていた。そんなある日、幼なじみの美咲(黒木華)が東京から戻って来る。

監督は藤井道人。ドラマシリーズも含ここ最近毎年何かしら新作があるような監督。もう今年の5月には韓国映画のリメイク『最後まで行く』がありますもんね。そんな作品の中でも激オシなのが『デイアンドナイト』(2019年公開)です。重厚感のあるテイストと今や朝ドラなどで有名となった清原果耶が素晴らしい作品です。

主演の横浜流星といえば去年公開の『流浪の月』のクソ旦那が最高でした。顔の整った人が演じるカス野郎って味わい深い。ちなみに『流浪の月』の原作者が再び本屋大賞を獲得したようですね。書店員に人気なんだな。その他、黒木華(2018年公開『来る』)、古田新太(2021年公開『空白』)、一ノ瀬ワタル(2019年公開『宮本から君へ』)、中村獅童(2006年公開『硫黄島からの手紙』)らが出演しています。

村映画を通して

ここ最近「村」の閉鎖的社会空間を舞台にした作品が多く登場していますが、これもその作品群の一つと言って良いでしょう。

今年ディズニー+で配信されたドラマ『ガンニバル』や『バクラウ 地図から消された村』(2019年公開)、去年私が東京国際映画祭で観た『ザ・ビースト』など。ちょっと路線が違いますが何かと人気の『ミッドサマー』(2019年公開)もその類でしょう。今作では『ガンニバル』や『ミッドサマー』のような村の因習による弊害や悲劇というより、時代の変化や資本主義社会に取り残されないための見て見ぬふりやその結果生じる軋轢が描かれます。列挙した作品の中でいえば『ザ・ビースト』一番近い位置にあるかも。現代的な技術や文明、文化の恩恵が決して充分とは言えない地域の人々はどう生きるのか?どんな価値観があるのか?そんな「村」というシチュエーションを通して現代社会の有り様を見つめるというのが全世界共通のトレンドなのかもしれません。

ただ胸がヒリヒリするような感覚は無し。恐らくやってること自体が先ほどちらっと挙げた『デイアンドナイト』と似ているからか。良き理解者(女性)が現れて人生が好転的になる展開はステレオタイプというか、ありきたりな流れというか…。これも同監督の『ヤクザと家族The Family』で見ましたね。ってな感じの“どっかで見たぞ”が多く、イマイチ物語に爆発力がなかったように感じました。

↓『ザ・ビースト』についてはこちらで触れてます。

captaincinema.hatenablog.com

まとめ

以上が私の見解です。

ちょっとクサしてばっかりになりましたが嫌いじゃないですよ。藤井作品らしいシックで品のある映像は健在ですし(あれはライティングが良いのかな)、一ノ瀬ワタルや杉本哲太などヒール枠は見応えありました。

ちなみにエンドロール観ていると、どうも京都でロケをやってるらしいですね。確かに京都って山奥にゴミ処理場があります。沿岸部が中心地から遠く、埋立地が確保出来ないからでしょう。そもそもゴミ処理場とは呼ばずクリーンセンターと呼んでいて、ゴミの削減や環境に配慮した取り組みがされているんだとか。鞍馬寺に行く道中で処理場に続くトンネルを見たな。あぁ鞍馬寺良かったなぁ~、また行きたいなぁ~。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。