キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第174回:映画『レッド・ロケット』感想と考察

今回は現在公開中の映画『レッド・ロケット』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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↑観る前と後ではこのポスター画像の印象だいぶ変わると思います。なんか腹立つわw

イントロダクション

テキサス州の田舎に暮らす社会の片隅の人々を描いたコメディドラマ。

金なし家なしの落ちぶれ元ポルノスター マイキー(サイモン・レックス)は、故郷であるテキサスの地に戻って来る。そこで暮らす別居中だった妻と義母の家に転がり込み、昔のつてでマリファナを売りながら日銭を稼いでいた。そんなある日、ドーナツ店で働く少女(スザンナ・サン)に一目惚れし、彼女と共にポルノ業界で再起を夢みる。

監督はショーン・ベイカー。2017年公開の『フロリダプロジェクト/真夏の魔法』が傑作なんです。ディズニーランドの近くの安モーテルで暮らすシングルマザーの日常を子供の視点を中心に描いた作品でラストがマジですげぇ。まさに映画の魔法ってやつです。ホテルの管理人を演じるウィレム・デフォーがまた良いのよね。

キャストに関しては、ドーナツ店のバイトを演じるスザンナ・サンの経歴がちょっと面白くてですね。なんと監督自身が映画館でスカウトしたらしいのです。映画館で急に「役者やりません?」って声掛けるの胡散臭くね?w。でもまぁ日本で言えば竹下通りでスカウトされるのと同じですか。俺にも映画館でスカウト、ワンチャンあるか!w

コミカルだけど…

本作ではしょーもない事が緩くコミカルに展開していきますが、意外と社会問題も孕んだ内容でした。

所謂「社会のレール」からドロップアウトすれば「何で戻ってきたんだよ、お前に居場所はねぇよ」の応酬。自己責任論の社会はキツいぜ。そうして生まれた貧困層に対して耳触りの良い事を嘯くドナルド・トランプがTVで流れているのも皮肉的。アメリカの分断社会がちらつきます。それにポルノ界における“アカデミー賞”(ほんとにあるのかな?)のオーラル部門なる賞の話を通して男女間の差別が描かれたりもしてました。

とはいえ主人公がクソ人間。今年度クソ人間コンテストのファイナリスト確定です。とにかく自分勝手でナルシストなホラ吹き。思いやりという言葉を知らないらしく、立派なチ○コだけが取り柄のどうしようもない奴です。主人公の他にもまぁまぁクソみたいな人物は登場しますが、あまりにも主人公のクソっぷりが突出。同情も共感の余地も与えません。なので先程挙げた『フロリダプロジェクト/真夏の魔法』と同じアメリカ社会の貧困層を描いていますが、一味違った描かれ方をしていたと思います。監督、引き出し多いな。

まとめ

以上が私の見解です。

アプローチの仕方は違えどパステルカラー調の映像が芳醇なのは『フロリダ~』と同じ。ああいうの、アメリカのインディペンデント作品っぽいよな。

終盤の夜道をフルチン疾走のシーンは勿論映えるシーンですが、ジェットコースターのシーンもなかなか笑えます。別の意味でアトラクションな事になってしまい理解が追いつけず顔面蒼白になる感じ、マジしょーもねーw

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

参考:

新ヒロインは映画館でスカウト!『レッド・ロケット』監督のキャスティング術|シネマトゥデイ