キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第129回:注目作品が多いんじゃ!7月上旬に観た映画をまとめてさっくり語る

2022年7月。通常なら中旬ぐらいまでは天気がグズグズしそうなところ梅雨明けがあっという間だったせいでとにかく熱い月となってます(とは言っても今週は雨か)。電力不足だってのに環境というものは残酷ですね。そしてアツいのは気温だけじゃありません。上映されている映画もアツい、アツすぎる!たまたま私が観たいと思っていた作品が被っただけなんでしょうが、毎週末どれを優先して行こうかと頭をもたげる映画ファンは多いはずです。というわけで今回は7月上旬に私が観た合計5作品をピックアップして適度にさっくり語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

f:id:captaincinema:20220714203522j:image

↑今年は見ごろが短かった紫陽花でも貼っときます

 

モガディシュ/脱出までの14日間』

f:id:captaincinema:20220714204104j:image

まず1発目はソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちの首都モガディシュからの脱出を描いた実話ベースのアクションドラマ。ソマリア内戦と言えば『ブラックホーク・ダウン』(2001年公開)が有名かと思いますが、時系列的にはそれより少し前のお話といったところです。

国連加盟の為のロビー活動に勤しむ南北の大使館員の計略の張り巡らし合いが展開する序盤は去ることながら、終盤のカーチェイスシーンがド級の面白さ。本やら取り外した扉なんかをテープで括り付けたお手製防弾車(あんまり防弾になってないけど)で内戦下の街を爆走。「マッド・マックス」シリーズをも彷彿とさせるエクストリーム具合は韓国映画のパワーを感じさせます。

また戦争映画として観点で観てもなかなかレベルが高いと思いました。特に少年兵が登場するシーンは肝が冷えます。純粋に「暴力」というものを楽しんでいるかのような屈託のない笑い声をあげるんですよね。戦争が如何に人々を麻痺させるかが伝わってきます。

リコリス・ピザ』

f:id:captaincinema:20220714204120j:image

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年公開)や『マグノリア』(1999年公開)の天才ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督の最新作は、1970年代のアメリカを舞台にした年の差カップルの青春映画。

恋も仕事も将来もどん詰まりだったりするけどそれでも走る、走る、走る…人生は走り続けるしかありません。このカップル、きっと上手くいかないでしょうけど、好き同士で居られるそのひと時に全力疾走なんです。という訳で“走ってる映画”大好き人間としてはもう最高なシーンが多かったです。また70年代の様相を呈していながら、現代にも通ずる社会風刺が散りばめられているのもポイント。なるほど、やっぱり時代は外っつらしか変わってねーわけだ。

出来事としてそれなりの事件が起きているのに、緊迫感がなくどこかのっぺりした感じがあるのは監督らしさ。長回しも多めだったりとこのクセの強さに合う合わないがあるのは間違いない思います。でも私は好きです。個人的にPTAの作品は『ザ・マスター』(2012年公開)が一番な気がしていましたが、本作は超えてきたかも。あと無性に『パンチドランク・ラブ』(2002年公開)も観直したくなってきましたね。

そしてブラッドリー・クーパーとエンドクレジットもナイス。エンドクレジットは今年公開の『トップガン マーベリック』と同じ手法。全映画、あの終わり方で良くないですか?w

『ブラック・フォン』

f:id:captaincinema:20220714204136j:image

ゲット・アウト』(2017年公開)や「パージ」シリーズのブラムハウスの新作は、『ドクター・ストレンジ』(2017年公開)のスコット・デリクソン監督が手掛けるスティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒルの短編ホラー小説「黒電話」を原作にした作品。

結論を言うとやや冗長で決して怖くはないサイコスリーラーといった印象でした。ただつまらないわけではありません。幽霊の使い方もなるほどって思いましたし、幽霊と主人公のシャドーボクシングがシンクロするシーンはグッときました。ラストの伏線回収しつつの逆襲シーンも良き。

イーサン・ホークが演じる連続児童誘拐犯のシリアルキラーはジョン・ゲイシーがモデルでしょうか。もうちょいバックボーンが欲しかったですね。逆に言えばバックボーンが必要ないほどの狂気的なカリスマ性は感じられなかったので。

そして『悪魔のいけにえ』(1974年公開)はやっぱ最高だよな、激しく同意です。


バズ・ライトイヤー

f:id:captaincinema:20220714204227j:image

いやー待ってました、ピクサー作品が映画館で観られる日を。一体何年ぶりか分からない映画館で上映されるピクサー作品の新作は、泣けるおもちゃ映画の傑作「トイ・ストーリー」シリーズの人気キャラクター バズ・ライトイヤーを主人公したもの。「トイ・ストーリー」とは直接関係しておらず、バズ・ライトイヤーのおもちゃとしての設定が描かれます。

全体的に「スターウォーズ」色が強かったり、自動操縦のロボは『2001年宇宙の旅』(1968年公開)のHALっぽく、バズたちの母腺は『E.T』(1982年公開)っぽさが感じられたりと様々なSF映画のオマージュをやってる印象の本作は、失敗してもそこから始まる物語もあると現代人が忘れかけているものを教えてくれる作品になっており、やはりどちらかと言うと大人をターゲットにしているように思えました。

でもよバズ、だいぶ独りよがりじゃないかい?まぁ最後は仲間みたいなノリになったけどそれは成り行きだし、新人に対する「貴方たちは不要」みたいな態度はどうなんでしょう。自分がアンディだったらこのおもちゃ欲しいかな?と考えてしまいました。

本作は日本語吹き替えで観たのですが、今回のバズの声は鈴木亮平だったんですね、いやわかんねー。バズのサイドキック的なキャラが今田美桜だってのも分からなったです。明らかに役者として出ている時の声色とは違う気がしたのでこれはディズニーに相当仕込まれてますねw。

『ソー:ラブ&サンダー』

f:id:captaincinema:20220714204238j:image

最後は皆大好きMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作。スーパーヒーロー集団 アベンジャーズの雷神 ソーを主人公にしたスペースオペラ映画。単独とては3作目、ソーを演じるクリス・ヘムズワースはこれが最後なのかそうじゃないのかよく分かりませんが、一旦は区切りとなりそうです。

本作で興味深く感じたのはクリスチャン・ベール演じるゴアというキャラクター。信仰していた神に見捨てられた事で神々を全滅させる事を誓った今作のヴィランです。この「神々」を「国家」に置き換えて観てみると現代にも通ずるテーマになってきます。国家に見捨てられた事で全てを失った者が最後に講じる手段が「暴力」。一種のテロリズムをこのゴアというキャラクターは表していると思いました。そして映画は“そんな暴力を行使するなんてダメだろ!必要なのは力じゃなくて愛だ!”と同じくタイカ・ワイティティ監督が手掛けた『ジョジョ・ラビット』(2019年公開)のようなラブ&ピースな結末を迎えます。

冒頭のアクションでなぜか“ヴァンダボー!”してたりジョディ・フォスターネタや「アルガルド劇団」による寸劇シーンが無駄に豪華キャストなど遊び心があったのは良かったのですが、何だか最後までストーリーにノリきれなかったせいかラストは感動出来ませんでした。寧ろなぜそうなる?という疑問が残り消化不良ぎみ。それにあのクセ強いヤギは何だったのか?音としも物語的にもノイズだと思ってしまいました。

あっちなみ私が一番テンション上がったのはクリヘムのマッチョなボディがお披露目になるシーンです。なんて綺麗な逆三角形なんだ!パンパンに張った腕周りはもはや神秘的。ありがとう!ラッセル・クロウ

 

まとめ

以上、5作品の感想と考察でした。

なんかすみませんね、おおむねケチ付けちゃって。まぁしゃーないですわ、今月は完全にホラー映画で脳がバグっているので。先日単独で感想を挙げた『哭悲/THE SADNESS』やNetfilxで配信が始まった『呪詛』、そして現在感想をまとめている『X エックス』が私の脳味噌を喰い荒らしています。今月は『女神の継承』の公開もあるので、ずっとこんな調子だろうなぁ。ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

↓ちなみにこちらが『哭悲/THE SADNESS』。良い子の皆さんには閲覧注意。

captaincinema.hatenablog.com