キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第217回:映画『みなに幸あれ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『みなに幸あれ』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

「不幸の上に成り立つ幸せ」がキーワードだというホラー映画。

東京から祖父母の暮らす田舎に泊まりに来た看護師学生の”孫”(古川琴音)。久しぶりの再会に喜びを感じるも祖父母の様子に違和感を感じる。どうやら何かを隠している…その正体を知った時、世界の成り立ちや人間の在り方といった根源的な価値観を揺るがす事になっていく。

監督は下津優太。本作が商業的映画初作品。何でも同名短編作品が「第1回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞したんだそうですよ。その賞の審査委員長を務めたのが『呪怨』(1999年公開)でお馴染みの清水崇監督で、本作のプロデゥーサーになっています。

主演は古川琴音。ここ最近よく見かけますね。映画だと『偶然と想像』(2021年公開)にも出演してましたし、TVドラマだと『コントがはじまる』にも出てました。まぁよく見る理由は多分三井住友カードだかのCMの影響かも。

貴方は幸せ?

まずね、ポスターが良いですよ。タイトルの「みなに幸あれ」なんて良い事言うなぁ!と思うじゃないですか。しかしそれらしさのない不穏な古川琴音のポスター。えっどういう事?これは観に行きたくなります。

序盤は『ヴィジット』(2015年公開)っぽさを感じました。孫が祖父母の家に泊まりに行ったらなんかヤバいぞぉ…的な。しかし次第に村の因習も疎か世の中を形成するとある仕組みの気持ち悪さに胸糞が悪くなっていきます。でも何で主人公だけ例の仕組みに気付いてなかったんだ?…

というのは置いておいて、この胸糞悪くなる正体というのが最初に挙げた「不幸の上に成り立つ幸せ」という理論です。果たして自分は幸せなのか?実は幸福って明確なアベレージが存在しないので結構フワッとした概念なんですよね。だから自分が幸せかを計るのに大抵の人がやるのが、他人と比較する事になるわけです。劇中では、やりたい事やって食っていけてる人は幸せだろうけど、皆が皆やりたい事やってたら世の中回らないから犠牲になってる人もいる といった話がありました。そりゃそうですよ、私だってこんな感じで適当な文章書いて大金稼げたら悠々自適ですけどね。世の中そんな甘くないっすよ。その他比較する尺度は色々ですが、誰かの犠牲で自分の幸福は成り立っているのでは?という考えと否が応でも向き合わざるを得なくなります。

でもね、この幸福については丁度私が読んでいた伊坂幸太郎の小説『777(トリプルセブン)』に良い事書いてました。幸せについては「他人と比べた時点で、不幸が始まる」んですって。それに梅は梅、リンゴはリンゴに成れば良いのだから薔薇と比べたって仕方ないなんて話も出てきました。まぁそういう事ですよ。誰かと比較したって誰かが犠牲になってたって自分は自分です。考えたって埒が明かない。使い方は違いますが、憧れるのをやめましょう!

まとめ

以上が私の見解です。

とは言ってもやっぱりモヤっとするよなぁ~。台詞で説明し過ぎず、気味の悪い映像の連続で語る上手さもありますし、思わず“痛てぇ痛てぇ!”と口にしてしまうシーンもあって面白いんですけどねぇ…何とも嫌な映画でした。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。