キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第236回:映画『マッドマックス:フュリオサ』感想と考察

さぁ遂にこの時がやって来ました。今回は現在公開中の映画『マッドマックス:フュリオサ』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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↑先日池袋の一般試写を観に行った際に撮ったポスター。ちょっと見づらいですがサインがあります。

イントロダクション

伝説的シリーズ「マッドマックス」の第5作目。2010年代の作品を代表するであろう2015年公開『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場し、その抜群の戦闘能力と生命力で世界を魅了したフュリオサ大隊長の前日譚を描いた作品になります。

文明が崩壊した世界。ウェイストランドと呼ばれる地でディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)率いるバイカーギャングに攫われ、母親を殺されたフュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ/アリーラ・ブラウン)。彼女はディメンタス将軍と水源を牛耳るイモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)の抗争が激化する中で戦士として成長を遂げ、復讐と故郷への帰還を目指し修羅を道を進んでいく。

監督はジョージ・ミラー御大。様々なカルチャーに影響を与えた「マッドマックス」シリーズを生み出したレジェンドですが『ベイブ/都会へ行く』(1998年公開)や『ハッピー・フィート』(2006年公開)といった子供向け映画も手掛けています。子供向け…と侮るなかれ。明らかにテンションのおかしいトチ狂ったシーンが数多くあるので決して隅には置けませんよ。

主演はアニャ・テイラー=ジョイ。Netfilxのドラマシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』でブレイクして以降、とにかく勢いに乗っています。『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021年公開)や『ノースマン/導かれし復讐者』(2022年公開)と今後のハリウッド映画の牽引していくだろう監督たちとの仕事が多いのもポイントです。ちなみに本作に出るきっかけになったのは『ラストナイト~』のエドガー・ライト監督繋がりだったそうですよ。そんな彼女の宿敵を演じるのがクリス・ヘムズワース。アメコミ映画での雷神さまでお馴染みですが、最強の傭兵 タイラーさんも忘れてはいけない。『キャビン』(2011年公開)での死に様もインパクト大ですが。

さらに注目はイモータン・ジョーの息子の一人 スクロータスを演じているジョシュ・ヘイルマン。この方「怒りのデス・ロード」では、純粋なまでにジョーを信仰し散っていった元ニュークスの相棒 スリットを演じていました。同じシリーズで異なる役で登場する俳優が居るってのがなんか良いですよね。まるで「仁義なき戦い」シリーズです。

こんな続編の作り方があるんだ

「マッドマックス」シリーズ最大の魅力は何なのか?と言われたら私はこう答えます。“目で観て一発で分かる圧倒的な唯一無二感”。

本作でもそれは健在。アクションの面に置いてもそうですが、個人的には美術や衣装がずっと面白いのが最大の特徴だと思っています。例えば序盤に登場する骨で作ったドクロのヘルメットとかイカす!頭に骨を冠る事で2重頭蓋骨になるという謎発想、そしてそれにはジャラジャラと大量の南京錠がぶら下がっているカオスっぷりです。また前作で乳首丸出し燕尾服という衝撃をかましてきた人喰い男爵も更なる衝撃的な出立ちで登場。何ですか、あの股間にぶら下がった長いノズルは!男根の主張ってところでしょうが、絶対歩く時邪魔だってw

そんな奇抜な格好の登場キャラクターたちが、どんな性格なのかやどのようなポジションに属しているのかパッと見で理解し易いのがシリーズを通して評価すべき点だと思います。ほんと毎回キャラ造形が上手いんですよね。それを根拠付けるっていうのも変ですが、私が観に行った会場には聾唖者と思われる方がいらしてました。映画館で見かけるのは初めてのタイプの客層だったかも。爆音も本作の特徴ではありますが、それを抜いても一級のエンタメとして成立している証である事が伺えます。(ちなみに客でいうと妊婦さんも居ましたよ、胎内教育が素晴らしい!)

そんな観客の「目」を楽しませる事を徹底している作品ですが、本作品における「目」の演技がまた凄まじかったです。フュリオサ演じるアニャ・テイラー=ジョイのどんな時でも鋭く光る眼差しや故ヒュー・キース=バーンからイモータン・ジョーの役を継いだラッキー・ヒュームの迫力ある眼。そしてフュリオサのお母さん ジャバサを演じるチャーリー・フレイザーの凛々しい視線。台詞には頼らず「目」で物語ります。Twitter上で「パク・チャヌク監督作品で描かれる復讐ものと類似」という呟きを見かけましたが、これは本当にそうだと思いましたね。復讐のやり方自体もそうでしたが、視線が雄弁に語る作品になっているのが共通点だと思いました。

ただ言いたい事はあります。まずCG(VFX)が荒い。明らかに合成だと判断出来てしまうシーンが幾つかあり違和感を覚えたのは否めません。また妙に俯瞰のショットが多く、時折テンポが緩く感じます。しかしこのテンポが緩めなのはシリーズで言うと1、3作目(2023年公開の『アラビアン・ナイト 三千年の願い』もこんな感じだったような)。2、4作目がシャープ過ぎると考えればさほど問題ではありませんが。その他、音楽がもっとガンガン来て欲しかったとか細かい点は幾つかありますが、こんな続編の作り方があるのかと腰を抜かす傑作でした。

時系列としては前作より前の話をしていて尚且つ1つの物語としても完結はさせている。それなのに、前作の世界観の拡張と魅力を最大限にアップさせる働きをやってしまう続編というのは映画においては画期的ではないでしょか。そんなシリーズって今まであったのかな?これはある種続編の作り方の発明かもしれません。映画表現の可能性ってまだあるんですよ、スゲー。

まとめ

以上が私の見解です。

「怒りのデス・ロード」程の興奮はありませんでしたが、寧ろあれは後世に語られるレベルの大傑作だったという事。前作超えをしなくたって現状今年ベスト映画である事は間違いありません。

とは言え全米での売り上げがよろしくないらしいですね…何てこったぁ!これじゃ次回作が危うくなっちまう。日本での売り上げもそこまで期待しない方が良いでしょう。こうなったら私のようなマッドマックスへの信心深い人間が何度も観に行くしかないのか。次回作や本作の白黒バージョン公開のために雀の涙程度であっても貢献しないといけませんね。今月は頑張るしかない。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。V8!

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↑最後にじゃーん!私のマッドマックス円盤コレクションと可愛いニュークス&イモータンジョーのフィギュアで御座います。右が先日発売された「怒りのデス・ロード」のコレクターズ・エディションです。アートブックが良いのよ。