キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第61回:映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』感想と考察

今回は現在再上映中(と言っても緊急事態宣言か…)の『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

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↑劇場で手に入れたパンフレットの裏表紙。マジかっけぇ。

 

イントロダクション

1999年に公開した「平成ガメラ」シリーズの3作目。1作目で描かれたガメラとギャオスの死闘で両親を失いガメラに対し強い憎しみを持った少女(前田愛)が主人公。2作目のレギオンとの戦いから消息不明となっていたガメラが再び出現し、東京に甚大な被害をもたらしたことを知った主人公は、イリスと名付けて育てていた謎の生物を使って復讐を誓う。

1作目・2作目とは違い、オカルト的なファンタジー要素や青春要素が盛り込まれた作品で怪獣映画としての王道スタイルではないのが特徴的な作品です。公開当時はこれがだいぶ物議を醸したそうですが。

キャストは中山忍藤谷文子の1作目メンバーを中心に仲間由紀恵八嶋智人伊集院光上川隆也津川雅彦などちょい役がかなり豪華。2016年公開の『シン・ゴジラ』もそうでしたが、どんな俳優は出ているのかを見つける楽しみもあります。どうせなら水野美紀(2作目の主役)も何かしらの形で出てたら面白かったのに。

 

私にとっての「ガメラ3」

ずばり私にとっての「ガメラ3」はトラウマ映画でした。初めて観たのは小学生かもっと小さい頃だったか。ガメラの敵として登場するイリスと呼ばれる怪獣が食料として人を襲うのですが、その襲われた人のミイラ化した死体がまぁー怖くて仕方がなかった。直視出来ず、顔を隠しながら観ていた記憶が残ってます。そのせいあってか1作目『大怪獣空中決戦』と2作目『レギオン襲来』はつい最近の再上映まで観たことがなかったのです。

そんな10年近くの時を経てトラウマとの対面。それを映画館という大画面・大音響でやっちゃったわけですが、幾多の修羅場シーンを観てきて育まれた強靭な精神はビクともしませんでした。よく言えば「大人になった」、悪く言えば「純粋さを失った」ということでしょうけど、あの時の自分とは違います。寧ろ“えっ、こんなに面白かったっけ?”という驚きと感動があったのです。

まず、随所のショットがとんでもなく格好良い。戦闘機と並走するガメラ、月をバックにダイナミックに飛び立つイリス、燃え盛る渋谷や京都の街並み等々思わず声が出てしまうような画力です。ショットのカッコ良さは3部作を通して言えることではありますが、今作はより強く感じられた気がします。

またパンピー視点に立った怪獣映画としても面白いです。3部作の皆勤賞の一人である大迫さん(螢雪次郎)というキャラクター。1作目では怪獣(ギャオス)の発見された島の警察官。2作目では怪獣(レギオンソルジャー)に襲われたビール工場の警備員として登場しますが、今作では渋谷でホームレス生活をしていたところガメラとギャオスハイパーの対決に巻き込まれてしまいます。なんと“彼の居るところ、怪獣が現れる”というめちゃめちゃ災難な一般人なんです。そんなことあるわけねぇーだろと思うかもしれませんが、「怪獣」を「災害」に置き換えて考えてみれば有り得ない話ではないと思います。圧倒的な力を持って街を破壊し人の命を奪う「怪獣」はある種「災害」のメタファーが込められていることを改めて感じました。

 

実はこんなテーマが

改めて観て気付いた点がもう一つ。それは“ヒーローが戦うと犠牲が出ちゃうぞ問題”が描かれいることです。このテーマはアメコミ映画でも見かけるテーマで、MCUでは『シビルウォーキャプテンアメリカ』、DCEUでは『バットマンvsスーパーマンジャスティスの誕生』なんかがありました。ヒーロー映画に置ける命題とも言えるテーマでしょう。

そもそもガメラはヒーローなのかが微妙です。今作におけるガメラのポジションは「地球の守護者」であり、決して「人類の味方」というわけではありません。この設定って『ゴジラvsコング』の公開が待ち遠しいモンスターユニバースのゴジラと同じような感じです(あれは地球の生態系のバランスを保つ存在ですが)。だから人間が巻き添えくらうことはほとんどお構いなしです。序盤の渋谷での戦闘なんてバンバン人が死んじゃってますから。ただ時々特定の人間を救う場面があるので悩ましい。たまたま視界に入ったから救っただけとか?w

まぁとにかくこの事から感じられるのが“ヒーローが戦うと犠牲が出ちゃうぞ問題”です。犠牲者及び遺族にとっちゃ人類やら世界を救う為の行動であったとしても納得いかないのは当然です。少し拡大解釈をすれば、これは「個人」を重視するか「全体」を重視するかという緊急事態宣言で混乱するこの日本社会にも言える問い。答えを出せる人がきっと居ない超難問を「ガメラ」という存在が問いかけていると思います。

 

まとめ

以上が私の見解です。

いやー子供の頃のトラウマ映画を改めて観返してみると新たな感動があるものですね。私自身のトラウマ映画は他にあったかどうか覚えていませんが、恐らく1つぐらいは誰にでもあるでしょうから一度向き合ってみるのもありだと思います。

なんかこの勢いで令和版ガメラをやってくれないかなぁ…と思いを馳せながらこの辺でお開きです。ありがとうございました。