キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第166回:映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』感想と考察

今回は現在公開中の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

最近流行りの多元宇宙や並行宇宙と呼ばれるマルチバースをまさかのA24が扱ったカンフーアクション映画。

コインランドリーを経営する主人公のエブリン(ミシェル・ヨー)は、経営難のコインランドリーや認知症の祖父(ジェームス・ホン)の世話に焼かれ、夫(キー・ホイ・クァン)や娘(ステファニー・スー)との会話のままならない手一杯の毎日を送っていた。そんな中、税金の申請で訪れた国税局で夫と同じ姿をしているものの別の宇宙から来た別人だという男が現れ、マルチバース(並行宇宙)を救えるのは貴方だと言われる。そして別次元の旦那の言われるがままにマルチバースの世界に飛び込み戦いに身を投じてゆく。

監督はダニエル・クワンダニエル・シャイナート。「ダニエルズ」コンビとして『スイス・アーミー・マン』(2016年公開)の監督&脚本を担当しています。またシャイナート単体では『ディックロングはなぜ死んだのか?』(2019年公開)を監督しています。どの作品も真面目におふざけをやっているようなネタで、そんな作品を撮ってる監督が全米監督組合賞を受賞となると賞関係者も考え方を改めたのか。

主演はミシェル・ヨー。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年公開)や『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2021年公開)とここ最近精力的に活躍している印象です。そして『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年公開)や『グーニーズ』(1985年公開)に出ていたキー・ホイ・クァンが久々の復活です。どことなくジャッキー・チェン似てる気が観ていて思いました。そしてブギーマンとの決着が早く観たいジェイミー・リー・カーティスも出演。『ハロウィン ENDS』の日本公開は4月だったかな。

A24が本気でエンタメを映画を手掛けた

A24といえばエンタメ大作というようりも独立系のどちらかと言うとアートよりな作品を手掛ける事の多い製作/配給会社。本作も決して大衆向けの大作ではありませんが、エンタメ路線の映画だっていけるんだと勝負に出たように見えます。何しろ扱うテーマが「マルチバース」。絶賛マルチバース拡大中なMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)がやってますし、おまけに製作にMCUで作品を手掛けてきたルッソ兄弟(やっぱMCUの傑作はルッソ兄弟の撮った2014年の『キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー』だよな)を迎えちゃってます。そんな対抗心バリバリスタンスな作品ですが、私がマルチバースで観たかったテーマはこれでした。ぶっちゃけ本作においてマルチバースのルールや構造なんてよく分かりません。映像も忙しく、ツッコミどころなんて探そうものなら頭がパンクします。大事なのはそこではないです。

私以外にもこんな事をふと考えたりしないでしょうか?自分は他の世界線、あるいは過去に別の選択をしていたら今の自分よりも華やかで良い人生を送っているかもしれないと。マルチバースものが流行っているのも、昨今よく聞く「転生したら~」のアニメやライトノベルがジャンルとしてブームになっているのも人生に満足していない現代人が多く居る事の反映なのかもしれません。その「タラレバ」をマルチバースなカオスの中に見てしまった主人公の娘は心囚われ闇落ち。主人公自身もその事に心が揺れ動きます。別の世界じゃ経営難のコインランドリー業者ではなく、アクション女優だったり歌手だったりして脚光を浴びてるわけですからね、そりゃそうだ。

しかしですよ、だからと言って今の人生を全否定する事が出来るでしょうか?たとえ長所や優れた能力に欠ける自分の退屈て無意味に思える人生にだって愛おしい時間は刹那的に存在します。だからその瞬間のために全力で生きろっ!今を愛せ! というメッセージをラストに感じました。あぁ…不覚にもウルっと来ましたね。なんだか人生を肯定してくれるようで。ハチャメチャなルックスとは真逆に優しさの込められた映画でした。

まとめ

以上が私の見解です。

アクションも見応えありました。ウエストポーチの使い方はお見事でしたし、まさかの肩車シーンは流行りなんですか?そしてダニエルズのコンビらしいバカバカしい設定も健在です。ア〇ルに何かを突っ込むとパワー覚醒!とかバカだろw ダニエルズ、推せる!

ただ上映中、盛大にイビキかいてる人もいましたね。まぁジョークはアメリカンテイストですし、さっきも書いたとおりマルチバース設定は基本理解が追い付かないですから。やっぱりA24、決して大衆向けを狙わないちょっと斜め上な映画でした。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。