キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第190回:映画『イノセンツ』感想と考察

またまた久方ぶりとなりました。いやね、記事の下書きが保存になってなかったようで一度書き直したんですよ。勘弁してくれよなぁ。そんな今回は現在公開中の映画『イノセンツ』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも出品されたノルウェー産サイキックスリラー。

自閉症の姉(アルバ・プリンスモ・ラームスタ)を持つ主人公の少女 イーダ(ラーケル・レノーラ・フレットゥム)は、家族と共にノルウェー郊外の住宅団地に引っ越しをしてくる。姉ばかりに構う母親に不貞腐れていたところ、ある男の子(サム・アシュラフ)と知り合う。彼は手を触れずに物を動かす事の出来る奇妙な能力を持っていた。そんな能力を使って無邪気に遊んでいるうちに恐ろしい事が発生し始める。

監督はエスキル・フォクト。2021年公開の『わたしは最悪。』で米国アカデミー賞脚本賞にノミネートされています。日本は丁度去年ぐらいに公開してましたよね。見逃したなぁ。また、インスピレーション元になったのが大友克洋の漫画『童夢』なんだそうです。大友克洋といえば『AKIRA』が有名でしょうか。漫画/アニメ弱者な私でも映画は観たことありますし、様々な映像作品で例のバイクのシーンがよくオマージュされています。今年だと『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』にありましたね。

静かなる覚醒

ここ最近、まことしやかに北欧発のスリラーやホラー系統の作品が映画界を席巻しています。日本でも話題となったの『ミッドサマー』(2019年公開)をはじめ、『ボーダー 二つの世界』(2018年公開)や『ハッチングー孵化ー』(2022年公開)などが相次いで公開。ちなみにロードムービーですけど『ロスバンド』(2018年公開)や『コンパートメントNo.6』(2021年公開)も良かったですね。そんな今勢いにノッてる北欧映画ですが、個人的にはそんな中でも抜きんでたレベルの良作だと思いました。もっと注目されるべきじゃないかな?

物語は主人公とそのお姉さん、彼女たちと友達となる2人で展開していきますが、どうもこの4人には友人関係以上に何か超自然的な繋がりがあるようで、子供たちの超能力が静かに覚醒していきます。この覚醒していく見せ方が上手い。神秘的な雰囲気と“こっからどうなるんだ?”という観てる側の想像力を働かせる映像表現となっています。

そして覚醒した超能力は次第にバトルへと変貌していきます。サイキックバトルといえば「X-MAN」シリーズをイメージするかもしれませんが、それとは異なり決してハリウッド大作らしい派手な展開があるわけではありません。しかし終盤はとにかく激アツ。日常の水面下で勃発している感じも良かったですし、他の子どもと動物だけが何か途轍もない事が起きている事を察知しているのもグッと来ました。

ってか中盤ぐらいから私“お姉ちゃん、いけっ!頑張れ!”と心の中で一人応援上映と化していましたね。今年のベストお姉ちゃん映画枠は確定でしょう。(我ながらベストお姉ちゃん映画って何だよw)

まとめ

以上が私の見解です。

思ってた以上にテンションのアガる映画でした。ちょっと変わった出方のするエンドロールを眺めながら“観に来て良かったぁ~”としみじみ感じてました。

また、夜に影がお化けに見えて眠れなかったり、動物や虫への悪戯が過ぎる(さすがに猫への行為はヤバいよ)純粋な暴力性など、多くの人が子供時代に経験したであろう感覚が上手く盛り込まれているのも秀逸でした。私も幼稚園児ぐらいのガキの時、蟻の巣の穴埋めて隙間から出てくる蟻を踏んづけたり、石を投げつけたりしてたもんな。こえー。子供って社会性というか道徳心が未熟だからこそ持ってる残虐さってあるよね。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。