キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第191回:映画『バービー』感想と考察

ハイ、バービー!という事で今回は現在公開中の映画『バービー』を語っていこうと思います。毎度のことながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

世界中で愛される…といっても日本にはリカちゃん人形という対抗馬が居るのでどうなのか分かりませんが、アメリカのファッションドール「バービー」を題材にしたコメディ映画。例のミーム便乗問題に関しては年末の映画ニュース振り返り回で徹底的に語り尽くそうと思います。依然モヤモヤして考えがまとまらない事もあるので。

ピンクに彩られたハッピーな世界「バービーランド」。そこに暮らす女性は皆が「バービー」であり、男性は皆「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、定番タイプのバービー(マーゴット・ロビー)は、ボーイフレンドのケン(ライアン・ゴズリング)を始めとした住人たちと、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。ところがある日、彼女の身体に異変が発生。とある考えも頭から離れなくなった彼女はその真相を解明すべくケンとともに人間の世界へと旅に出る。

監督はグレタ・カーヴィグ。例の問題を受け、観に行く事を止めた人も多々居るかもしれませんが、手掛ける監督がこの方の時点で私に観に行かないという選択肢はありませんでした。『レディ・バード』(2017年公開)に『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年公開)と良作を生み出し続ける監督。今作『バービー』は女性監督が単独で手掛けた作品史上最も売れた映画となっているようです。

主演はマーゴット・ロビー。他の回でも結構名前をだしてますが、出演作で一番好きなのは『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年公開)です。あれはド根性スポ根映画としてもなかなか面白いと思うんだよな。

ちなみにバービーランド内に男性で「ケン」と呼ばれていない人物は登場しており、それを演じているのがマイケル・セラ。なかなかいい味出してますが、傑作オタク映画『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』(2010年公開)では主演でしたね。

私は私

まず第一印象を言えば笑える映画だという事です。冒頭の某シュトラウスの旋律映画ネタも無論ですけど、「ジャスティスリーグ」ネタは思わず声出ちゃったよ。そうですかぁ、バービーランドでもジョス版が正式になっちゃってたか。ただ「ゴッドファーザー」ネタは苦笑いでした。私も映画の事になると、一聞かれて十で返そうとするウザい蘊蓄野郎と化すので気を付けよ…。

また、ライアン・ゴズリングが楽しそうにしている姿にもニッコリ。基本どの作品でも悩みと哀しみを湛えた根暗な顔をしてますが、今回はとにかく明るい陽キャ。シム・リウとのわちゃわちゃした感じも幸せそうでした。

ってな感じで難しい話は抜きに肩の力を抜いてフラットに楽しめる仕上りにはなっていますが、テーマ性は非常に巧妙です。巷で言われているフェミニズム映画やトキシックマスキュリティは物語を構成する要素であって、本作の核心となるテーマはそういった考え方や価値観によって「私」自身を見失っていないかどうかだと思いました。誰がなんと言おうと私は「私」でしかないんです。女らしさや男らしさに惑わされて自分を見失いがちな現代人。性別や社会的立場を超えて自分は何がしたいのか?どう生きたいか?今一度自身に問いかけてみる必要がありそうだと感じさせます。

まとめ

以上が私の見解です。

少し「男女」を簡略化して表現しているようにも見えましたが、個人を肯定する優しい映画でした。

一点文句を言うとしたら終盤。事の流れはネタバレになるので端折りますが、ケンの皆さんを意図的に排除し、バービーの皆さんだけで、つまり女性だけで選挙/憲法改正を強行するシーンがあるんですね。えっと…それは容認していいのか?確かに昔は男性に当然の如くあれど女性は持っていなかった参政権。様々な人々の努力によって勝ち得たという歴史の逆転を表現しているとは思いますが、これじゃ異なる意見を持つ人を排除するって事になりません?某政党の代表が放った某異なる思想の政党は無くなればいいとの失言を思い出しましたよ。どんな思想を持ってようが選挙に行く権利はある思うんだけどなぁ、それが民主主義でしょ?

はい、難しい話はおしまい!今作はおもちゃ映画でもあったわけですが、おもちゃには子供だけでなく親の思い出も詰まっているって視点にグッと来ました。そうだよ、おもちゃは子供の成長がリンクしてるんだもんな。

というわけでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※ちなみに

私が観に行った際、後ろ座っていたのは3人組の小学生~中学生ぐらいの女の子たちでした。あ~夏休み~♪ を感じましたし、観に行く作品のナイスチョイスをしたなと思います。また、会場を見渡すとヒジャブを付けたアラブ系の女性グループも見かけました。現在、イランでは女性のヒジャブ着用義務が厳粛化されるなんてニュースもありますが、なんだろう、届いて欲しい人にしっかり届いている そんな気がしました。