キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第253回:映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

殺し屋女子2人組のアクションと日常を描いた”べビわる”シリーズ第3弾。なお、現在ドラマシリーズ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も放送中です。このドラマシリーズって時系列的には何処にあたるんでしょう。前作と今作の間かな?ちさとさんはいつの間に料理を腕を上げたんだってぐらい毎回美味しそうな料理が登場する飯テロドラマとなっています。

プロの殺し屋コンビ 杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)は、仕事で宮崎県を訪れていた。しかし二人はバカンス気分。まひろの20歳の誕生日も相まって仕事どころではない様子だったが、チンピラを殺すために訪れた宮崎県庁で謎の同業者 冬村(池松壮亮)と鉢合わせ事態は急変する。

監督は阪元祐吾。インディーズ映画界隈では最も勢いのある監督でしょう。いやもうインディーズではないのか。シリーズは映画からTVドラマになる珍しいモデルとなりましたし、今後様々な作品を手掛けていく監督でしょう。逆にならない方が可笑しいでしょ。

主演は髙石あかり&伊澤彩織。髙石あかりが宮﨑出身らしいので地元映画的な側面もあるわけですね。ちなみにこの二人の共演は同監督の『ある用務員』(2021年公開)でも確認出来ます。また水石亜飛夢、中井友望のお馴染みメンバーに加えて前田敦子池松壮亮が出演。前田敦子は久々に見た気がします。TVドラマとかにはちょくちょく出てたのかな?そして池松壮亮となると今までのシリーズ史上最もビッグネームじゃないですか。この辺からもインディーズではなくメジャーに成長した事が伺えます。血塗れの姿を見ると『宮本から君へ』(2019年公開)を思い出すなぁ。一ノ瀬ワタルと殴り合ってさ。

↓前作についてはこちら

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敵役だって不器用

本シリーズは邦画では観た事のないようなアクションを魅せるってのが大きなテーマになっていると思いますが、実は不器用な人たちが頑張りも1個のテーマだと思っていて、それを如実に感じる3作目でした。

割と何でも上手く出来るけど何処か抜けてるちさとさんと著しく社交性に欠けるまひろさん。そのせいで社会に馴染めず悪戦苦闘する日々が前2作では描かれましたが、今回は一味違って「チームで仕事をする」という課題に直面。チームを組むことになる地元の2人組も不器用な性格なもんだから困りもの。いつも刺々しいコミュ障女と心優しい天然筋肉マンですからね。そして不器用なのは今回の敵役 冬村かえでも。

この冬村演じる池松壮亮がとにかく素晴らしかった。今年度ベストアクト最有力候補です。殺しとバカ真面目に向き合う孤独なアスリートサイコパス。仕事を日記に残してしっかり反省する殺し屋なんて初めて観ました。ビジネス用語的に言えばKPT(ケプト)じゃないですかw そんな真面目過ぎるが故に周囲から疎まれ、仲間が出来ないというのが何とも泣けます。そんなキャラクターに哀愁をプラスし味わい深くするのが池松壮亮力(りょく)。つい最近まで放送していた月9『海のはじまり』でも思いましたが、切なさを演じさせたら今一番の役者かもしれません。あれだ、ライアン・ゴズリングと同じ。そう言うと『ドライヴ』(2011年公開)と似た雰囲気にも感じてきます。おまけにあれだけ動ける身体能力ですから脱帽です。勿論スタントダブルの方の功労もあると思いますが、どこまで本人でやっているかが気になります。

ともあれ映画において何でも完璧にこなすエリートを見せられたところでさほど面白くはありません。そんな実用書に出てくる”成功者”じゃないんだから。どこか抜けていたり頑張っているけど空回りをする。そんな人たちが魅力的に輝くのがフィクションの世界でしょうし、現実社会もそうであったらもっと平穏な世の中になるだろうとも思えてきます。

まとめ

以上が私の見解です。

シリーズ総じて面白いので当然期待はしてましたが、それを優に超えてきました。これはおかわり案件かも。

最後に銃の話を。ちさと&まひろコンビが使用するのはサプレッサ搭載可能なガバメント系のモデル。毎作品使用する拳銃は異なるので、特にこだわりは無いようです。対する冬村が愛用するのがIMIのジェリコ941、通称ベビーイーグル。「手に馴染むんだ」と話していた辺り相当こだわっている事が分かります。こうした使用する銃器からもキャラクターの性格が見えてきます。なお個人的にはスーパーショーティーが拝めたのがアツい。MPXといいコンパクトな銃器をチョイスする感じは殺し屋っぽいね。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。