キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第181回:映画『怪物』感想と考察

今回は現在公開中の映画『怪物』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意ですが、本作は出来るだけ前情報を入れない方が楽しめると思います。これからご覧になる予定の方はどうぞお引き取りを。

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イントロダクション

日本を代表するトップクリエイターたちで製作されたヒューマンミステリー。その一人である今年3月に逝去した作曲家 坂本龍一が音楽を手掛けた事と今年のカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したことでも話題を呼んでいます。

舞台はとある山間の郊外。シングルマザーの早織(安藤サクラ)は小学5年生の息子(黒川想矢)の様子に異変を感じ始める。片方だけしかないスニーカーや突然自分で散髪をしたり等々…もしかして学校で何かあったのではないか?息子に問い詰めると担任である保利先生(永山瑛太)から暴力や暴言を受けた事を口にする。

監督は是枝裕和。監督作である『万引き家族』(2018年公開)ではパルム・ドール、『誰も知らない』(2004年公開)で柳楽優弥が男優賞を史上最年少で獲得。去年には『ベイビー・ブローカー』でソン・ガンホが男優賞を受賞するというカンヌの超常連監督。まぁ個人的には『海よりもまだ深く』(2016年公開)と『三度目の殺人』(2017年公開)が好きなんですけど。

そして見事脚本賞を受賞したのが坂元裕二。映画だと『花束みたいな恋をした』(2021年公開)がありましたけど、同年に放送されたTVドラマ『大豆田とわ子の三人の元夫』が滅茶苦茶面白かった。洗練された洒落乙ギャグとどんな人も肯定してくれそうな会話数々。近年稀にみる仕上がりのTVドラマだったかと思います。ちなみに伝説的視聴率をたたき出した月9『東京ラブストーリー』もこの方の脚本なんですよね。カーンチ!

キャストには安藤サクラ永山瑛太中村獅童高畑充希、田中裕子が名を連ねています。

怪物だーれだ

ここ最近、シネコンに行く度に耳したこの「怪物だーれだ」。その都度、“怪物おーれだ!”とか“怪物きーみだ!”とくだらない変換を頭の中で反芻してきた訳ですがw。そんな事は置いといて、一体怪物が誰なのか?早速結論を言ってしまえば、視点が変われば全ての人間は怪物に見えるって事だと思います。とかく人は見えている部分だけで他人を判断しがち。見えていない部分にその人の本音や真の姿が潜んでいたりするものです。それは教師と生徒の関係、それどころか親と子であっても起きうる現象だというのがこの作品のテーマなのだと感じました。

モンペにも子供思いにも見える母親、不真面目にも生徒思いにも見える教師、生意気な嘘つきキッズにも純粋で優しいお子さんにも見える小学生。この3つの視点で展開されるきめ細やかなドラマは『羅生門』(1950年公開)と似た構成だというのは確かにそうですが、是枝作品で言えば容疑者、弁護士、事件に関わる少女の3視点が交錯する法廷劇『三度目の殺人』が近いように感じました。

という事なので、前述の通り『三度目の殺人』が推しな人間としては飽きずに観られましたが、何となく腑に落ちませんでした。恐らくそれは物語後半で軸となってくる思春期を迎えた子供たちのセクシャリティについて。何でしょうね、描こうとしてるのに向き合っていないというか…。例えば「好きな人がいるけど、それは他人に言えない」と言い出す少年に対して「言えないことは(楽器で)ブーっと吹いちゃいなよ」と言うんですよ。んっ?それって暗に沈黙する事では?お洒落に表現しているようで直接的なアンサーを避けているように見えましたが…違うかなぁ~。

まぁそんなモヤモヤはあれど、いつも通り子供を映し出すのが上手い是枝作品です。キャストで言えば永山瑛太の配役も的確でしたね。あの良い人なんだけど何故か信頼されない人、居るよねぇ。納得いかない事をモゴモゴ喋る感じとか笑顔の硬さも笑えたな。そのタイミングで飴は食うなよw

まとめ

以上が私の見解です。

実は私、本作を観た後KingGnuのライブコンサートへ直行。暫く脳ミソが半狂乱状態になったため弱冠記憶が薄らぼんやりな状態で感想を書いておりました。雑多なメモを頼りになんとか絞り出したぜぇw。今後はライブの前に時間があったとしても映画の観るのは避けようと思います。ちなみに本ライブにて「三文小説」前に「戦場のメリークリスマス」のメロディーを織り込んだの常田大希によるピアノソロが披露されました。サプライズな事で場内はどよめきと拍手が起きてました。私自身“うおぉ!さっき『怪物』観たばっかなんすけど!”と叫びそうでした。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。