キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第6回:映画『ミッドサマー』感想と考察 文化の違いって面白いけど怖い(少々ネタバレあり)

今回はまことしやかに話題となっている『ミッドサマー』について語ります。何だか若い女性陣に人気みたいです。確かに私が見に行った会場も女性の方が多い印象でした。こんな不気味な映画がなんで?と思いましが、予告やポスターの感じがおしゃれなので、インスタ映え感覚で見に来たのでしょうか。映画の流行って不思議なことが起きますね。

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はじめに

www.phantom-film.com

 

2018年公開『ヘレデタリー/継承』で話題となったアリ・アスター監督の新作。『ヘレデタリー』は、今作のヒットを受けて各地で再上映するらしいですね。見た人なら分かると思いますが、とにかく不気味な作品。舌を弾いて鳴らす「コッ!」って音を思い出すだけで気味が悪くなります。ご覧になっていない方はこの機会に是非。

次に『ミッドサマー』のあらすじをざっくりと。

主人公の女子大生を中心とした大学生達が、卒論のテーマとしてスウェーデンの奥地を訪れ、90年に1度の祝祭に参加する。昼夜問わず太陽の沈まない夏至の中、明るい雰囲気で行われるこの祝祭、何かがおかしい…。

主人公を演じているのは、フローレンス・ピュー。『ブラック・ウィドウ』や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』にも出演している注目株。ただこの2作品、新型コロナのせいで日本公開が延期になっています。早く見たいなぁー。

では、前置きはこのぐらいにして本題に入りましょう。

 

異文化をどこまで受け止める?

今作は、異文化をどこまで受け止めるかがテーマとなっていると思いました。

例えば序盤にこんな儀式が登場します。村には70歳を迎えたら神に命をお返ししないといけないという考え方が根付いています。その為、その年を迎えた者は村人たちの前で崖から飛び降り自殺をしなくてはいけないのです。しかも自殺に失敗すると代表者が木槌で頭をたたき割るといったもの。そんな公開処刑を見た主人公たちは絶句。「なんで自殺を止めないで見てんだ!」と抗議しても「私たちの伝統だ。」と言うだけまったく通用しないのです。私自身としても死にたくないし、人が自殺するとこなんか見たくないですよ。しかもこれ、日本でやったら自殺の幇助という立派な犯罪になってしまいます。しかし彼らにとっては当たり前なのです。この作品が最も恐ろしいのは、その「当たり前の感覚の違い」なのです。

私たちの住む日本という国は、主に「和」と呼ばれる古来からの文化と「洋」と呼ばれる西欧文化、特にアメリカからの影響の強い文化のハイブリットな環境となっています。よって宗教でいえばキリスト教と仏教的な考え方が潜在的に根付いてます。正月やクリスマスなんかは無宗派な人たちもひっくるめてお祝いムードになりますから。自殺は良くない事となったルーツについて詳しくは知りませんが、恐らくこうした文化や宗教的な側面があるのは確かかと思います。

シンプルに言えば、異文化に触れることは新しい発見や知見が広がったりするので面白いですが、時に恐怖に感じることがあるということです。この異文化の溝を巧妙に使った演出に気付けるかがポイントだと思います。

 

考え方の違いは日常にも潜む

ここまで文化や宗教といった考え方の違いついて考察してきましたが、こうした考え方の違いは普段の生活中にも見え隠れしていることでしょう。

例えば、ある知人と「殺人」について話をした時がありました。私は殺人事件のニュースを見ると「どうしてこうも自分勝手なことが出来るのか。法律や社会的倫理に反しているから怒りを覚える。」と言いました。それに対して知人はこう答えたのです。「殺人はその人に芽生えた欲望や衝動的な感情だから、生物的な視点で考えれば間違ったことではないと思う。勿論自分の近親者に被害が出たら怒りは覚えるだろうけど、ニュースを見たぐらいじゃ何とも思わない。」

確かに視点を変えてみるとそのような見方が出来ると納得しました。しかし、私の返した言葉は「なるほど…」のみ。納得した反面その意見を全面的に受け入れることが私には出来なかったのです。

異なる意見や価値観に遭遇した時、それも自身の理性やアイデンティティをひっくり返し兼ねないような場合、人はどう受け止めるのか?作品にその回答があるわけではありませんが、そんなことを考えさせられる作品でした。

 

まとめ

以上、何だか小難しいことを考察してきました。自分で書いてて頭から湯気が出そうです。なので、純粋なホラー映画を楽しみたいとうい人にはあまりオススメしません。ホラー映画の要素はありつつも、実は答えの見えないテーマを扱ったちょっとジャンル分けの難しい作品だと思いますので、色々心の準備をして鑑賞することをオススメします。神経を逆撫でしてくる描写もありますし、軽い気持ちで見るのは厳禁ですね。

ということで、この辺でお開きです。ありがとうございました。