キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第69回:Netfilxオリジナルドラマ『火花』が面白過ぎた件

今回は、映画とは少し異なるようで地続きな話を。

先日、Netfilxで配信されているオリジナルドラマシリーズ『火花』を完走したのですが、本作は今こそ観たい作品ではなかと思ったのです。その理由をちょっと偉そう&うざったくなるかもしれませんが語っていきます。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

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イントロダクション

お笑い芸人の又吉直樹芥川賞を受賞したことでも話題となった中編小説『火花』を原作としたドラマシリーズ。

売れない漫才コンビ スパークスの徳永(林遣都)は、営業先で強烈な個性を放つ先輩芸人の神谷(波岡一喜)と出会う。真の笑いを追求し続ける神谷を師と仰ぎ交流しながら、売れようともがく10年間が描かれます。

ちなみに私、小説は読了済み。普段漫才やコントはあまり見ないので弱冠の掴みずらさはありましたが、青春群像劇としての感動と芸人の世界奥深さみたいなものを感じた記憶が残ってました。

 

文化やエンタメの「面白い」って何だ?

今こそ観たいと思った理由はずばりこれです。全編にわたってひしひしと感じられた「面白い」とは何か。それも世の中で評価される「面白さ」とは一体何なのかという事です。

ドラマの中盤にさしかかるとネタを争う選手権やTVなどへの出演をする事になっていくスパークス。ネタ選手権では比較的分かりやすいネタでオーバーなリアクションをする芸人が優勝したり、TV局サイドから「ポップで明るい」や「キャッチー」といった事を要求されます。要するに「分かりやすい面白さ」が常に付きまい、自分たちが面白いと思っている事に蓋をしたりして苦悩する姿が描かれているのです。

今の世の中で評価される面白さの一番の理由は「分かりやすさ」かもしれません。元々人間は分かりやすい物に飛びつく傾向はあると思いますが、それだけが理由ではないでしょう。SNSや動画配信、ネットニュースなど一目で分かるようなメディアの発達がそんな風潮に拍車をかけているとも考えられます。便利になると人は考えるのを止めるのと同じですね。最近の話題だと俗に言う「ファスト映画」と呼ばれるネタバレ動画の横行や倍速視聴をして分からない部分はWikiで調べる人間が蔓延している的な話も、分かりやすさを求めるニーズが生み出した現象といっても過言ではないでしょう。

そんな「分かりやすい」を求める風潮に迎合して、単純な作品が量産されるのは私個人から言わせてもらえば余計なお世話。オーディエンスをバカにすんなって話です。例えば最近TVドラマ見てると人物関係や設定を分かりやすくするためか、注釈や関係図が表示されることありますよね。あれ、好きじゃないです。なんかバカにされた感じがします。

そもそも何でもかんでも分かろうとしなくても良いのではないでしょうか?世の中には自分の知らないこと理解が出来ない事の方が多いはず。恥じる必要はありません。寧ろ「分からない」を「分かろう」として持てる知識をフル活用したり、想像力を働かせるのが文化・芸術を楽しむ方法の一つですし生きていくうえでも大事だと思うのです。

 

もう一つ言及したいのが最終話の終盤。神谷は「面白いだろう」という理由だけで、ある体の一部に整形を施したことが発覚します。それは今のご時世じゃまぁーアウトなネタ。意図していなくても人を傷つける可能性を秘めているのが文化や芸術の宿命であることが伺えます。

人によってネタの受け止め方、殊更下ネタや暴力・暴言といった過激なネタは温度差が生じるのは明白な事実です。私自身はフィクションとリアルは完全に切り離して考えることが出来る人間ですし、意図や根拠さえしっかりしていれば、どんなネタでもウェルカムなスタンスですが、皆が皆がそうではないですからね。

しかし、だからといって規制や配慮でがんじがらめになると面白いものが生まれることはないと思います。昨今じゃ時代錯誤があるという理由で配信停止になった過去の作品もありましたし、今後は社会風潮に淘汰される作品が多くなっていくのかもしれません。果たしてそれで良いのか?表現と社会のギリギリのせめぎ合いを今後も考えていく必要がありそうです。

 

まとめ(※映画版の比較して)

以上、とりあえず言いたい事をぶちまけただけになりましたw。

ちょっと映画の話もしますか。この期会に徳永を菅田将暉、神谷を桐谷健太が演じた2017年公開も映画版も観てみました。まぁ決して悪くはなかったですが、やはりドラマのトータル約10時間に対して映画は2時間ですからね。どうしても濃度が落ちているように感じちゃいました。ドラマは原作には無いオリジナル要素で上手いこと作品が拡張されていることも要因ですが。

また林遣都菅田将暉。同じ主人公を演じていながらアプローチの仕方が全く違って見えたのは面白かったです。お笑い対する「熱」の表現の仕方が真逆というか、同じ人物のはずなのに異なる人物を見ているかのようでした。ベースは同じでもそれに縛られる事なく個性を活かしてパフォーマンスをするといったところでしょうか。いやー役者さんってスゲーな。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。